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比べて選ぶ、業務改革の“最適解”──「RPA DIGITAL WORLD FUKUOKA 2019」イベントレポート

2021年9月13日、RPA BANK はキーマンズネットに移管いたしました。
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RPA BANK

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)をテーマにした国内最大規模のイベントで、九州初開催となる「RPA DIGITAL WORLD FUKUOKA 2019」(RPA BANK主催)が2019年9月26日、福岡市で開かれた。

RPAの検討・試用を経て、本格導入への移行が目下拡大しつつある九州の産業界。この日、国内展開する主要なRPAツールが出そろい、また地域の実情を熟知する販社も多数出展した会場では、念入りな比較検討を通じて自社への“最適解”を探る来場者の姿が終日絶えなかった。

本記事では、同イベント展示会場で行われたセミナーの模様と、展示内容の一部をピックアップして紹介する。

■記事内目次

  • 1.【セミナー】注目の「ツール比較」「AI-OCR」がテーマ。立ち見も出る盛況
    • SBモバイルサービス株式会社
    • RPAテクノロジーズ株式会社
  • 2.【展示ブース】主要RPAツールと関連ソリューションが集結
    • 株式会社NTTドコモ
    • Blue Prism株式会社
    • 株式会社日立ソリューションズ西日本/オートメーション・エニウェア・ジャパン株式会社
    • 富士ゼロックス福岡株式会社
    • 株式会社九州日立システムズ

【セミナー】注目の「ツール比較」「AI-OCR」がテーマ。

会場では、実際のツール操作を交えてRPAの活用方法を解説するセミナーを2社が実施。両社各7回のプログラムは、立ち見も相次ぐ盛況ぶりをみせた。

SBモバイルサービス株式会社

ソフトバンクグループのコールセンター業務を担い、RPAの社内活用で月2万6,000時間超のリソース創出に成功したSBモバイルサービス株式会社は、自社の知見をもとにマルチベンダーでのRPA導入支援・教育事業を展開している。

この日のセミナーでは、同社が福岡で講習を開いているRPAツール「WinActor」「UiPath」「SynchRoid」を対象に、機能や操作性の比較を行った。

担当者はまず、WinActor、UiPath、そしてSynchRoidのベースとなったツール「BizRobo!」の国内シェア合計が8割を超えていることを説明。この3ツールが「単体のPCへのインストールで素早く導入できる」「ユーザーコミュニティが活発で、学習環境が整備されている」など共通の特長を備えていると紹介したのに続き、ロボットの実装を想定したツール間の比較検証に入った。

このうち「Excelファイルのデータをもとに日付を自動表示する実装」では、操作画面、設定項目の分かりやすさや、「データ型」「関数」などの知識が不要といった点から「特別ITに詳しくない現場の担当者がもっとも開発しやすいのはWinActorだ」と判定した。

一方「Webサイト上のダウンロードボタンを押し、資料データを入手する実装」では、ボタンを認識する技術的な方式の違いで精度に差が出ることを指摘し、この点ではUiPathとSynchRoidの2ツールが優れているとした。

さらに「Webサイト上の表組みから複数のデータを取得し、Excelファイルに転記する実装」では、「個別項目単位や行単位にとどまらず、表全体のデータを一括して取得できる」ことから、UiPathが最も適していると結論づけた。

セミナーの担当者は「RPA導入では、自社の用途に合った『ツール選定』だけでなく、実装が容易なところから着手するための『業務選定』や、ロボットの運用を定着させるまでの『推進体制づくり』も重要」と説明。それらを総合的にサポートできる自社の強みをアピールしていた。

RPAテクノロジーズ株式会社

RPAテクノロジーズ株式会社のセミナーでは「入力のデジタルデータ化」をテーマに、AI inside株式会社のAI-OCR「DX Suite」による帳票認識などを実演。自社のRPAツール「BizRobo!」に関する説明は最小限という構成だった。

その狙いについて、ブースの担当者は「RPAを使うかどうかに関わらず、非効率な作業をなくすことが重要。西日本で特に根強い『紙文化』の悩みを解決したかった」と説明。紙文書の処理を効率化するAI-OCRの活用に加え、紙の介在そのものをなくす抜本的な解決策として、手書き認識技術を用いたソリューション「BizRobo! Paper-free」も紹介した。

BizRobo! Paper-freeは同社と株式会社スカイコムが共同開発した、タブレット端末への手書き文字をデータに変換してRPAによる後続処理につなぐサービス。?紙媒体の物理的な移動がなくなり、処理速度が向上 ?キーボード入力よりも汎用的 ?書き順が把握でき、認識精度面でOCRより有利 ?手書きが正しく認識されたか記入者が確かめるため、後工程に送られるデータの信頼性が高い、など多くのメリットがあるという。

「移行への協力を得る関係上、完全なペーパーレス化は社内の事務手続から始めるのが現実的。既にさまざまな企業で応用が進んでいる」(同)といい、この日の参加者からも強い関心を集めていた。

【展示ブース】主要RPAツールと関連ソリューションが集結

15社が出展した展示ブースでは、幅広い応用領域に向けたRPA製品と関連ソリューションが多数提案された。以下では、このうち6社の模様をピックアップする。

株式会社NTTドコモ

九州各県、さらに沖縄でもRPA導入支援の実績を持つNTTドコモは、先進事例をパネルやビデオで紹介。取り扱うRPAツール「WinActor」に関するEラーニングのプログラムや、Web会議を利用したオンラインサポートを提案した。

担当者によると、地元大手企業などを皮切りに始まった九州地域でのRPA活用は現在、従業員100人以下の中堅・中小企業にまで拡大。一方で対象業務選定や、それに先立つ業務の棚卸しに手間取っているユーザーも依然少なくないという。

企業が処理するデータの「入口」と「出口」をつなぐRPAの活用支援にあたり、モバイル端末や音声入力、チャットボットなどのソリューションを持つ同社は、データの“入口側”から、多様な業種の最前線を見てきた強みがある。担当者は「全国各地での導入支援で得た知見を九州にも還元できれば」と話していた。

Blue Prism株式会社

サーバー型RPAツール「Blue Prism」の国内販売元からは、パネル展示などを通じて同製品の最新情報が提供された。

動作の証跡が全て残るなどの高いセキュリティー性を特徴とするBlue Prismは多くのグローバル企業がユーザーに名を連ね、九州を地盤とする国内最大規模の地銀グループ「ふくおかフィナンシャルグループ」でも採用されている。

大企業への豊富な実績の一方、2018年にはライセンス体系を見直し、中堅・中小企業での活用も現実的な選択肢となった。

ブースの担当者によると「昨年来、特に高度なセキュリティーを求める経理・監査部門からの理解が企業規模を問わず進み、既に他社のRPAを導入している企業が用途に応じてBlue Prismの併用を検討するケースも出てきた」という。

同社は、さる6月にも福岡で活用事例セミナーを開いている。担当者は「福岡は先進テクノロジーの活用において、国内有数の積極的な市場。今回得られた生の声をもとに、産業別やテーマ別に絞った活用提案も検討したい」と話していた。

株式会社日立ソリューションズ西日本/オートメーション・エニウェア・ジャパン株式会社

サーバー型RPAツール「Automation Anywhere」の国内販売元は、同ツールの販売代理店である日立ソリューションズ西日本と共同出展。AIの活用により、OCRで読み取る帳票類の判別や項目抽出を自動化する日立ソリューションズの製品「活文 Intelligent Data Extractor」との併用を提案した。

九州地域に多くの顧客企業を持つ日立ソリューションズ西日本は、金融をはじめとする多くの業種でAutomation Anywhereの導入支援プロジェクトを推進。世界的に導入事例が豊富なエンタープライズ向けのライセンス体系に加え、必要最小限の構成に絞った「スターターパック」も用意し、企業規模を問わない活用に対応している。

ブースの担当者は「RPAの活用拡大に欠かせない『現場主導』の運用手法が首都圏などで確立してきた一方、九州での定着は、これからが本番。地場企業へ常駐し、業務の実情に通じている当社のエンジニアと協力しながら『失敗しないロボット化』を広めていきたい」と話していた。

富士ゼロックス福岡株式会社

富士ゼロックス福岡株式会社は「RPAによる業務効率化への関心の高まりとともに、複合機ユーザーからの注目度が高まってきた」(担当者)という帳票処理のソリューションをブースで実演した。

帳票業務プロセス改善ソフトウエア「Smart Data Entry」は、手書き文字の読み取りにも対応したAI-OCRなどの機能を提供するクラウドサービスだ。最小限の構成からすぐ始められるクラウドならではの利点に加え、一定期間使用するとAI-OCRの読み取り結果に対する「確信度」が判定され、人間による確認・修正作業を最小限に抑えられるといった特徴も備えている。

富士ゼロックスの複合機や、文書管理ソフト「DocuWorks」などとの連携に優れる一方、スキャン画像から読み取ったデータをCSVファイルで出力することから、担当者は「出力データをRPAに渡し、後続の処理まで自動化する構成も可能」とアピールしていた。

株式会社九州日立システムズ

九州日立システムズは、取り扱っているRPAツール「BizRobo!」とAI-OCR「DX Suite」、さらに業務の整理・可視化からRPAやOCRを用いた改善提案、BPOでの運用支援までを一体のソリューションで提供する日立システムズの「業務効率化支援サービス」を紹介した。

担当者によると、今回の会場では「RPAそのものの説明よりも、既にRPA製品を導入しているユーザーからの具体的な質問に答える場面が増え、RPAの浸透を実感した」という。

同社のブースには「この帳票がOCRで読めるか」と、実際に業務で扱う書類のサンプルが持ち込まれるケースがあったほか、AI-OCRを念頭に検討していた来場者が途中で「手書き認識タブレットへの移行も有効」と気づく例もあったという。

業務改善を何から・どこから始めればよいか、なお模索中の企業が多い実態を踏まえ、担当者は「当社の幅広いソリューションを通じ、多様なお悩みの解決に役立てれば」と話していた。

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