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最適なツール選びとデータ中心アプローチがRPA導入を成功させる──システナ、アステリア共催セミナーレポート

2021年9月13日、RPA BANK はキーマンズネットに移管いたしました。
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RPA BANK

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入する際、どのツールにすべきかで迷う例は多い。また導入した後も、うまく使いこなせずに成果が出せない、自動化できる範囲が限られている、といった課題が生じがちだ。では、スムーズかつ効果的なRPA導入をどう実現するべきか。

その解決策を得るためのセミナーが、2019年10月25日に都内で開催された。RPAツールの導入支援を行う株式会社システナと、各種システム間のデータ連携ツールを開発・販売するアステリア株式会社が、それぞれの立場からRPAツールの活用方法を解説した。セミナーの様子を一部抜粋してお伝えする。

■記事内目次

  • 四大RPAツールの得意・不得意。何が違う?
  • 導入事例に見る、RPA導入成功の3パターン
  • RPAの弱点をデータ連携ツールで補い、DXの推進を

四大RPAツールの得意・不得意。何が違う?

最初に登壇したのは、システナ RPAソリューション事業部の飯沢俊彦氏。システナにはRPA技術者が約100名在籍し、各種RPAツールの導入支援を行っている。飯沢氏は、四大RPAツール(WinActor、UiPath、BizRobo!、Automation Anywhere)それぞれの概要や特徴を解説していった。


株式会社システナ フレームワークデザイン本部RPAソリューション事業部 飯沢俊彦氏

「WinActorは日本語インターフェイスで操作がかんたん、UiPathはきめ細やかなロボット開発が可能で大規模向き、BizRobo!はバランスが良く、バックグラウンドで動かせるのが特徴、Automation Anywhereはセキュリティや拡張性の高さが売り、というようにそれぞれ強みがある。どんな作業を自動化するかが、導入ツールを選ぶ際の基準になる」

続けて同氏は、四大ツールのどれを選ぶにしても共通点があると語る。

「どのツールでも、ほぼコーディングなしでロボットを作成できるという点は共通している。ただし、プログラミング言語を扱う場面も少なからずあり、戸惑ってしまうユーザーもいる。また、予想していたよりも作業時間がかかることや、全社展開を進めていくには運用ルールの整備が必要になるという点も共通する」

肝心のロボット作成のプロセスはRPAツールの特徴がもっとも現れる部分だ。飯沢氏は、同じ処理を行うロボットを4つのツールでそれぞれ作成した動画をスクリーンに並べて映し、細かな違いを解説した。

「ロボット作成の画面や手順は少しずつ違う。タスクを縦につないでいくものもあれば、横に並べていくものもあり、好みが分かれるところだ。また、作ったロボットを実行する速度もツールによって差がある。1回では数秒の差でも、何千回、何万回と繰り返すシナリオになればトータルで大きな差が生じる」

導入事例に見る、RPA導入成功の3パターン

では、RPA導入に失敗しないためにはどうするべきか。システナでは、「STEP1 導入前の準備」から、「STEP2 検証・トライアル導入」「STEP3 全社展開」の各段階で独自のメソッドを持っているという。

なかでも大切なSTEP1におけるポイントとして、(1)責任者の理解/同意、(2)現場部門の意識改革、(3)費用対効果の策定を挙げた。そして「特に責任者がしっかりと理解することが重要になる」と強調した。

また、これまで数多くの企業の導入例を見てきたなかで、成功する進め方には3つのパターンがあるという。

1つめは、非IT部門が中心となって、専任者を任命して取り組むパターン。2つめは、日々の運用は非IT部門が担うものの、大がかりなシナリオ作成はIT部門か開発会社に任せるパターン。3つめは、すべてをIT部門か開発会社に丸投げするパターンだ。これ以外のパターンでは失敗に終わることが多い。

成功例の1つが、あるソフトウエア会社のケースだ。同社はシステナの支援によりRPAツールを導入し、レポート集計などの作業を自動化。月303時間の作業時間削減といった定量的成果に加え、部署間のコミュニケーション向上、業務改善に対する問題意識の向上、属人化の解消といった定性的効果も発揮された。

システナでは、環境構築・導入から業務整理・管理、シナリオ作成、保守、内部展開まで、トータルでRPA導入を支援しているという。松竹梅の3プランで展開し、「試しに1業務から」の依頼も受けていると語った。

RPAの弱点をデータ連携ツールで補い、DXの推進を

セミナー後半では、アステリア株式会社 エンタープライズ本部 営業部の菊地雄氏が、RPA導入の肝となる「データ中心アプローチ」についてプレゼンテーションを行った。冒頭で菊地氏は、まずRPAの課題を指摘した。

「RPAは、画面上の操作をロボットに代行させるためのツールなので、大量の処理を苦手とする。また、Excelマクロを動かす処理は得意だが、マクロそのものは人間が用意する必要がある。このように苦手な作業も多いため、人の操作をRPAに代行させるだけでは、本当の意味での業務自動化は実現しない」

続けて、幅広い業務領域で自動化を進めていくために必要なこととして、同社の製品「ASTERIA Warp」を提案した。ASTERIA Warpは、ノンコーディングで約100種類のサービスやシステム間の連携を実現するEAI(Enterprise Application Integration/複数システムを連携させ、データやビジネスプロセスを統合させる)ツールだ。

RPAツールでは画面上の操作をロボットが代行するが、ASTERIA WarpはAPI/DB/ファイルを通じて、システムあるいはデータそのものを直接操作し、さまざまな処理を自動化する。そのため、RPAよりも幅広い領域での自動化に対応するという。

たとえば、「複数の取引先からメール添付書類として送られてくる注文書を解析し、在庫DBにアクセスして在庫を参照し、納期回答メールを返信する」といった処理や、「Active Directory上で人事異動者の情報を更新したら、社内ポータルやメーリングリストなど、社内の別システムの情報も自動で変更されるようにする」といった複雑な処理も、ASTERIA Warpを使えば可能になる。

つまりASTERIA Warpによって、データ同士をバックエンドで、フォーマットを気にすることなく連携させ、業務を自動化する。同氏は、これがアステリアの提唱する「データ中心アプローチ」だと語った。


アステリア株式会社 エンタープライズ本部 営業部 技術支援担当 菊地雄大氏

ただし、ASTERIA Warpにも弱点はある。APIやインターフェイスが用意されていないレガシーシステムや、画面上でボタンを押さないと実行できない処理などには対応できないのだ。そのようなケースはRPAツールが得意とする処理だ。そこで、RPAツールとASTERIA Warpをうまく組み合わせることで、自動化できる範囲が大きく広がる。

最後に菊地氏は、企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)進展の足かせとなっている原因はレガシーシステムにあると指摘した。

「古いレガシーシステムを最新のクラウドサービスなどと連携させるには、RPAが適している。しかし、RPAには苦手分野もある。RPAとASTERIA Warpを組み合わせることで、業務の完全な自動化が実現できる。最適なツールを選択し、DX推進につなげていただきたい」と締めくくった。

これからRPAを導入し業務の自動化に取り組もうと考えている企業、あるいはRPAを導入したものの、まだ十分な活用ができていない企業にとって、示唆に富むセミナーとなった。

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