IDC Japanの調査によると、2019年第3四半期の外付型エンタープライズストレージシステムの国内支出額は454億9600万円で前年同期比1.2%減となった。
フラッシュが減少してHDDが伸びた理由
アレイタイプ別で見ると、成長が続いていたオールフラッシュアレイ(AFA)は113億3600万円で前年同期比16.5%減となる一方で、ハイブリッドフラッシュアレイ(HFA)は175億6800万円で同6.5%増、オールHDDアレイは165億9200万円で同3.8%増となった。2013年の調査開始から初めてオールフラッシュアレイがマイナス成長となり、オールHDDアレイはプラス成長となった。
この結果、2019年第3四半期の外付型エンタープライズストレージシステムの支出額に占めるAFAの比率は24.9%(前年同期29.5%)に下降し、オールHDDアレイの比率は36.5%(同34.7%)に上昇した。AFAの減少を受けて、外付型への搭載メディア容量においても2013年の調査開始から初めてフラッシュが前年同期比でマイナス成長となった。
AFAの減少は、AFAが使われる比率の高いサービスプロバイダー向け案件のいくつかが遅延したことなどにより、前年同期にあった大型案件に含まれるAFA支出を補えるほどの売り上げがなかったために発生した。一方、オールHDDアレイの増加は2つの要因が考えられる。一つは前年を通して低調であったオールHDDアレイが使われる比率の高いメインフレーム向け支出の反動があったこと、もう一つは、2020年1月に迫った「Windows Server 2008 R2」のサポート終了に伴い、長期間運用されていたサーバが更新の必要性に迫られ、接続するストレージも更新されたことが挙げられる。
2019年第3四半期の国内外付型エンタープライズストレージシステムの売上額は431億3900万円。ベンダー別売上額の上位5社は、1位が18.6%、2位が18.0%、3位が13.3%、4位が9.0%、5位が8.4%であった。
IDC Japanの加藤慎也氏(エンタープライズインフラストラクチャ シニアマーケットアナリスト)は、「今期のオールフラッシュアレイのマイナス成長は案件動向に伴う一時的なもので、まだ成長する余地は大きいとみている。しかしフラッシュが成熟期に入って容量単価が下落してきたことで、外付型以外のストレージでもデータ保管のためにフラッシュの採用が進み、市場が大きく動く可能性がある。ストレージベンダーは、外付型を採用する価値の向上にあたり、NVMeなどの新技術の採用に加えてその価値を発揮できるワークロードの推進へ向けたエコシステムの構築に一層取り組んでいくことが求められる」と分析する。
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