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ディープラーニングを用いたAIは企業に浸透するのか

ディープラーニングを中心に盛り上がってきた第3次AIブーム。ディープラーニングを活用したAI企業システムが汎用(はんよう)化される日は来るのだろうか。

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 「AIはパターンマッチングにすぎない」「RPAで事足りている」。これは、キーマンズネット編集部が実施したAI(人工知能)導入に関するアンケート調査(参考記事)に寄せられた声だ。

 昨今、「AIを取り入れた」とうたうサービスは次々と登場し、メディアでもAIの文字を見ない日はない。先述したアンケートでも、また先述したアンケートでは、回答者の約9割が「AIが必要だ」と回答した。しかし一口にAIというが、そもそもどういったものだろうか。

 「令和元年版情報通信白書」(総務省)では、AIに関する確立した定義はないとしながら、「人間の思考プロセスと同じような形で動作するプログラム、あるいは人間が知的と感じる情報処理・技術といった広い概念」とされている。

 現在、企業で広く使われ始めているAIは、アルゴリズムに基づき、入力データを基にコンピュータがパターンやルールを導いて新たなデータを識別するマシンラーニングだ。より注目を集めているのはディープラーニングで、脳の神経回路構造を模倣したニューラルネットワークを多層構造で用いることにより、特徴量抽出を自動で行うというものだ(詳しくは「用語解説:ディープラーニング(Deep Learning、深層学習)」を参照)。


「AI・機械学習・深層学習の関係」(出典:総務省「令和元年版情報通信白書」)

 世間を賑わせている第3次AIブームはこの多層ニューラルネットワークを駆使したディープラーニングの技術的発展を中心に盛り上がっている。自動運転技術などもここに該当するだろう。

 産学官問わず、ディープラーニングの研究開発に乗り出している。2019年には、「全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト(DCON)2019」(主催、一般社団法人ディープラーニング協会)が開催され、全国の高専生がディープラーニングを活用した開発作品の事業性を競い合った。食品会社キユーピーが、ディープラーニングを用いて開発したAI原料検査装置が食品業界を賑わせたことも記憶に新しい。

 とはいえ、高度なAI開発は「自社には関係ない」、開発したいが「AIを扱える人材が不足している」と嘆く企業も少なくないだろう。しかしその懸念は解消されつつあり、AIの活用は遠い世界の話ではなくなっている。米スタンフォード大学のフェイ・フェイ・リー教授が提唱した「AIの民主化」という概念でも示されているように、AI開発に向いたライブラリやフレームワークはオープンソースで多数公開されている。特定の業務特化型で学習済みモデルを構築し提供するベンダーも存在し、比較的低コストで活用できるアプリケーションやプラットフォームが続々と登場している。2020年代、ディープラーニングを活用したAIの企業利用が当然の時代となるかもしれない。

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