Web会議システムはTV会議と何が違う? 無料版は? メリット、デメリットを解説
テレワーク推進やコスト削減のためWeb会議システムを検討している企業は多いだろう。しかし従来のTV会議システムと何が違うのか? 実はそれぞれに向いた利用目的がある。今回はそれぞれのメリット、デメリットを見ていこう。
遠隔地同士で打ち合わせする手段として、これまで多くの企業がTV会議システムを取り入れてきた。現在も利用中の会社もあるだろう。しかし急速に利用が進むのがWeb会議システムだ。TV会議システムとWeb会議システムは何が違い、どう使い分けるとよいだろうか。Web会議システムにデメリットはないだろうか。
Web会議システムとTV会議システムの上手な使い分け方
TV会議システムを使う主な目的は「多人数に向けての意思伝達や、多人数による情報の共有・調整」だ。互いの表情や話し声がよく分かるように、画像や音声がクリアであることが求められる。専用の機器を使うこともあり、TV会議の開催場所も静かな専用会議室が選ばれることが多い。TV会議システムを使った会議は必要に応じて開催されるというより、あらかじめ日時を決めて調整した上で開催されることが多い。従って、役員クラスあるいは複数拠点の支社長や支店長クラスが行う「遠隔地同士の定例会議」や「説明会・製品発表会」などに向いているといえよう。
Web会議システムを使う主な目的は「個人同士、少人数グループによる場所を選ばない迅速な打ち合わせと資料共有・共同作業」だ。PC、スマートフォン、タブレットなどで、ネット回線につながるところであれば、どこでも映像を見ながら打ち合わせができる。製品によっては資料の共有や編集などもリアルタイムで実施できる。実務者同士の打ち合わせというイメージだろう。「少人数の実務者同士の会議」「オンライン(インサイド)セールス」「オンラインサポート」などに好適だ。
Web会議とテレビ会議、導入機材とコストは? 導入しやすさは?
ここからはそれぞれのシステムの導入機材やコストを見ていこう。
TV会議システムでは、専用機材の導入が必要だ。専用機を利用する分、映像や音声の品質に優れるが、初期コストはかなり重いと考えた方がよい。導入も専門業者に依頼することになる。機材の操作方法は機材の管理者が熟知する必要がある。
一方のWeb会議システムは、PCやタブレット、スマートフォンなどのカメラとマイクを使うので、特別な専用機材の購入は必要ない。あるとすればヘッドセットマイクを買いそろえるぐらいだ。Web会議システムのソフトウェアには2種類ある。クラウド型(SaaS)と自社で構築するサーバインストール型だ。前者のクラウド型の導入は比較的簡単だ。極論すれば、ID登録すればすぐ使える。後者のサーバインストール型は、クラウド型に比べて初期導入コストがかかる上、使えるのは情報システム部門が設定した後になる。
クラウド型Web会議システムをコスト面で見ると、有料タイプと無料タイプがある。有料でも月額課金制で初期コストがあまりかからないものが多い。無料体験版を使ってから本格導入を判断できるものもある。サーバインストール型では価格はまちまちだ。それをふまえて、導入スピードやコスト感から、クラウド型のWeb会議システムを選択する会社が増えている。
次にそれぞれのメリット・デメリットを見ていこう。
Web会議とテレビ会議、それぞれのメリット、デメリットそして留意すべき点は?
テレビ会議システムのメリットの1つ目は、専用機材故に音声や画質の安定性が高く、映像コミュニケーションに特化した技術が盛り込まれていることだ。メリットの2つ目はウイルスやハッキングなどセキュリティ面での危険性がほとんどないこと。メリットの3つ目は、多くの従業員に使い方を熟知させるなどの教育の手間もかからないことだ。ただし、進め方について発言の合図など一定のローカルルールを決める企業が多いようだ。
テレビ会議システムのデメリットの1つ目は、やはり専用機材であるための大きなコスト負担と導入までの期間がかかることだろう。また、専用機材ゆえ、他に使い回しはむずかしい上、修理対応にも費用や時間がかかる。デメリットの2つ目は、必要に応じてすぐ開催という機動的な活用法がむずかしい上、資料の共有や加筆など「リアルタイムの共同作業」も得意ではない。つまり実務者同士の打ち合わせには向かない部分か多い。
Web会議システムのメリットはクラウド型で考えてみる。メリットの1つ目は、導入のコストが低くて済み、導入スピードも速いことだ。試用版で使い勝手を試してから導入を本格検討できる。試用版で使い勝手を試してから導入を本格検討することもできる。
メリットの2つ目は、資料の共有や共同作業などに向いていることだ。Web会議システムは単に映像コミュニケーションだけのものではなく、コラボレーションシステムといえる。
ここで主な機能を上げてみよう。
- テレビ会議機能
- 音声会議機能
- チャット機能
- ドキュメント共有機能
- ソフトウェア共有機能
- デスクトップ共有機能
- リモートコントロール機能
- ファイル転送
- 会議内容の記録と再生
- アンケート/集計
そして近年、Slackなどのプロジェクト共有ツールとクラウド型のWeb会議システムと連携させて利用する会社も増えている。
Web会議システムの1つ目のデメリットは、インターネット回線を使うシステムであり、回線の品質、状況によって音声や画質にトラブルが起きることもある上、セキュリティの心配があることだ。特に無料版のWeb会議システムは注意が必要だろう。またトラブルの際も、日本語サポートがないと復旧に手間取り、遠隔での打ち合わせどころではなくなる可能性もある。ただしサーバインストール型のWeb会議システムは、コスト面では不利だが自社サーバで構築する点で、自社セキュリティポリシーに即して運用しやすい点はメリットになるだろう。
Web会議システムの2つ目のデメリットは、運用ルールの整備が必要になる点だ。利用する従業員が増えることの裏返しではあるが、従業員全体への教育や利用に際してのルール作りが重要になる。自分のPCにヘッドセットマイクを取り付けて正常に動かせるかといった操作方法の習得や、セキュリティなどについての教育も必須だ。特にPCを社外に持ち出してWeb会議に参加するメンバーやモバイル端末で参加するメンバーには注意が必要だ。デバイス管理を含め会社全体のセキュリティポリシーを変更する必要がある場合も想定しておこう。
なおテレビ会議システム、Web会議システムのどちらを使うにしても「音声品質」がかなり重要とされる。映像よりむしろ音声の途切れなどがコミュニケーションに悪影響を与えることが多い。TV会議システムは集音マイクやスピーカーの性能、設置場所の静音性などを検討すべきだし、Web会議システムはインターネット回線と使用するPCのCPU性能の強化を検討しておきたい。
しかし、どちらにおいても、「移動コストの削減」「印刷コストの削減」「参加機会の拡大」「資料の正確で迅速な共有」などの効果が期待できる。最近は感染症対策の一環として、会社ぐるみでWeb会議を推奨し、在宅勤務に踏み切る企業も出てきている。いざ全社的にWeb会議システムによる事業継続を実践する際には、本稿を参考に準備や検討を進めてほしい。
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