2021年9月13日、RPA BANK はキーマンズネットに移管いたしました。
移管に関する FAQ やお問い合わせは RPA BANKをご利用いただいていた方へのお知らせ をご覧ください。
労働人口減少や働き方改革をきっかけに「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」がもてはやされている。しかし、人手不足が深刻で自動化・効率化が急務と思われる中小企業は大企業ほどRPA導入が進んでいない。その背景には、RPAツールのコスト面、RPAツールを使いこなす時間や人材確保が困難といった運用・保守面での課題があるようだ。
こうした課題に対し、RPA業界では中小企業での利用拡大に向けて変化が起きている。既存の高機能で汎用的なRPAツールに対し、個人の業務自動化を目的としたRPAツールや、特定の業20務・業界に特化したRPAツールなど、より低価格でより簡単に扱えるRPAツールが登場している。
本記事では月々1万円以内で利用できるRPAツールとRPA機能がついた自動化ツールを紹介する。
■記事内目次
- 低価格RPAツール 各製品の概要と特徴
- RPA機能が付いた低価格な自動化ツール
- まとめ
低価格RPAツール 各製品の概要と特徴
特に低価格な4つのRPAツールについて、各ツールの概要と特徴を解説する。
年額1万円!パソコン初心者でも使える「nalgo-bot」
概要
「nalgo-bot」は日本アルゴリズム社が手がけた国産RPAツールで、2019年7月にサービスをスタートした。「安い、早い、簡単」をコンセプトにしている。
販売元:日本アルゴリズム株式会社(本社:日本)
特徴
- 作業を記録して再生するだけの簡単操作で、プログラミングの知識は一切不要
- 記録した操作内容をタイムライン形式で可視化し、業務のブラックボックス化を回避
- 作成したシナリオは実行ファイル(EXEファイル)に出力でき、実行ファイルは「nalgo-bot」のインストール不要で自動再生可能
- 統計レポートにより削減時間を見える化
- シナリオをスクリプトに変換でき、プログラミング知識があれば高度な自動化も可能
価格
1ライセンス(パソコン1台)1万円 / 年
※ライセンス契約は最低10ライセンスから
※ソフトウェア利用料金となっておりサポート料金は含まれない
事例ロボット/導入事例
- 見積もりや売上を転記する作業を自動化
- 大量のExcelデータをWebサイトへ登録する作業を自動化
- 毎朝の作業環境準備を自動化
- 複数の端末でのインストール作業を自動化
月額2,000円で手軽に始められる「My Automation!」
概要
「My Automation!」は、ミツイワ社による国産RPAツールで2019年9月にリリースされた。個人業務の自動化に焦点を当て、「安価で簡単・手軽」をコンセプトとしている。
販売元:ミツイワ株式会社(本社:日本)
特徴
- マウス操作での記録を主とし、誰でも1日で習得可能なため人材育成コストが不要
- 月額制で初期費用もなく「とりあえず始めてみる」を可能とする価格設定
- 個人使いツールを想定しているため、運用体制やロボット管理が不要
価格
1ライセンス 2,000円 / 月
事例ロボット/導入事例
- ブラウザからのファイルダウンロード
- 発注書情報の取りまとめ
高機能で低価格!世界中で支持を集める「WinAutomation」
概要
「WinAutomation」は2008年に開発されたギリシャ発の中小マーケット向けのRPAツールで、低価格ながら豊富な機能を備えており、世界中で9,000社以上から支持を得ている。2019年3月より日本でもサービス展開を開始した。
開発元:Softomotive社(本社:イギリス)
パートナー:ロジウム株式会社(本社:日本)
特徴
- OCR(光学文字認識)機能やスケジューリング機能、AI(人工知能)機能連携などの高機能を搭載
- 1つのロボットが同時に複数のプロセスを実行可能
- 上位版のサーバー型RPA「Process Robot」へ簡単に移行でき拡張性が高い
価格
1ライセンス 1,068$ / 年(日本円:約11万円 / 年)※為替による
事例ロボット/導入事例
- 会計システムの自動操作
- 申込書をOCRで読み取り基幹システムへ自動入力
- BI(Business Intelligence)ツールから経営用レポートを定期的に自動出力
- 大量のトランザクションデータの分析、KPI(Key Performance Indicator)作成
インストールも開発も不要ですぐに使える「RoboRobo」
概要
「RoboRobo」はクラウド型のRPAサービスで2019年8月にスタートした。自動化する業務を限定することで、自分たちでの開発や外注での開発が困難という課題を解決する。サービスを提供するオープンアソシエイツ社は、人気のRPAツール「BizRobo!」を販売するRPAテクノロジーズ社のグループ会社である。
販売元:オープンアソシエイツ株式会社(本社:日本)
製品ラインアップ
- RoboRobo リクルーティング(採用担当者向け)
- RoboRobo スカウトメール(人材紹介会社向け)
- RoboRobo リスクチェック(法務・管理向け)
- RoboRobo 楽楽精算RPAパック(楽楽精算 利用ユーザー向け)
特徴
- クラウド型のためツールの購入や面倒なインストールが不要
- 特定の業務に特化している
- あらかじめロボットが開発されているため即日利用開始可能
価格
5,000円 / 月〜
事例ロボット/導入事例
- 応募者情報を採用管理システムへ自動転記
- スカウトメール送信
- 反社チェック
- 経費申請の重複チェック
RPA機能が付いた低価格な自動化ツール
RPAツール以外にも、既存サービスにRPA機能を追加し自動化を推進するサービスが登場している。各サービスの概要と特徴を解説する。
Webアプリ作成サービスにRPAエンジンを融合した「CELF」
概要
「CELF」はExcel感覚で誰でも簡単にWebアプリケーションが作れるサービスで、SCSK社が提供している。2018年4月より、「CELF」に拡張オプションとしてRPA機能が追加された。
販売元:SCSK株式会社(本社:日本)
特徴
- システム開発機能を備え、標準化されていない業務を「CELF」でシステム化し、RPAオプションで自動化を実現する
- 個人の業務をロボットが自動化
- 導入しやすいコスト
価格
1台 35,000円 / 年
※実行ライセンス・開発ライセンス込み。その他初期費用不要
※別途CELF本体の購入が必要
事例ロボット/導入事例
- 他システムで入力された売上データを販売管理システムへ登録
- 支払先からの請求データと販売管理システムの支払予定データを照合
- 販売管理システムの売上データを元に分析資料を作成
Microsoft社が手がけた世界中で注目度の高い「Power Automate」
概要
元々Microsoft社が提供していたワークフロー自動化エンジン 「Microsoft Flow」に、RPA機能「UI flows」が追加され2019年11月に「Power Automate」として再リリースされた。Microsoft社が提供するデジタル変革をもたらすためのサービス「Power Platform」を構成するサービスの1つでもある。
販売元:日本マイクロソフト株式会社(本社:日本)
特徴
- API(Application Programming Interface)対応のアプリケーションは信頼性の高いAPIで連携し、API非対応のデスクトップアプリケーションやWebアプリケーションはRPA機能で連携する
- 「Power Platform」を構成する他サービスとデータ連携することで、より強力なビジネス ソリューションを構築可能
- コミュニティに参加することで、世界中にいる数万人のメンバーとアイデアを共有したり専門家から学ぶことができる
価格
1ユーザー 40$ / 月(日本円:約4,000円 / 月)
※為替による
※2020年4月2日よりRPA機能が正式版としてリリース予定
事例ロボット/導入事例
- メールの添付ファイルをドライブに保存
- ファイル共有・情報共有サービスに新しいファイルが追加されたらメールを送信
- タスク管理ツールにタスクが追加されたらチャットツールに通知
まとめ
月々1万円以下で利用できる低価格なRPAツールと、RPA機能が付いた自動化ツールを紹介してきた。安かろう悪かろうではなく、各ツールの特徴を理解し利用用途に応じてツールを選択することが重要だ。
低価格なRPAツール・簡単に扱えるRPAツールの登場により、コスト面、運用・保守面の課題からRPA導入に踏み切れなかった企業でも、RPA活用ひいては業務自動化・効率化を推進することが可能になる。また既にRPAを導入している企業でも、業務内容に合わせてRPAツールを使い分けることで、コストを抑えつつ自動化の範囲を広げられる。低価格RPAツールの台頭により、ますますRPA活用が進むことが期待される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.