「ウェアラブルデバイス」シェア(2019年第4四半期、通年)
音声アシスタント技術の進展により2019年第4四半期および通年のウェアラブルデバイス市場は耳装着型デバイスが大きく躍進した。2019年第4四半期および通年で世界と国内のウェアラブルデバイス市場のトップ5を占めたベンダーはどこか。
IDC Japanは、2019年第4四半期(10月〜12月)および2019年通年のウェアラブルデバイスの世界および国内の出荷台数を発表した。
耳装着型デバイスが前年比235.1%増と大幅成長
IDC Japanが発行する「Worldwide Quarterly Wearable Device Tracker 2019Q4」によれば、2019年第4四半期の世界のウェアラブルデバイス出荷台数は、前年同期比82.3%増の1億1894万台となった。このうち、腕時計型は3071万台の出荷で前年同期比15.3%の増加、リストバンド型は2134万台の出荷で前年同期比17.7%の増加となり、耳装着型デバイス(音声アシスタント対応イヤフォン、ヘッドフォンなど)は6575万台で前年同期比235.1%増と著しい成長を示した。
また2019年通年で見ると、世界のウェアラブルデバイス出荷台数は、前年比89.0%増の3憶3650万台となった。腕時計型は9243万台の出荷で前年比22.7%の増加、リストバンド型は6935万台の出荷で前年比37.4%の増加となりました。耳装着型デバイスは1億7047万台で前年比250.5%増と高い成長を遂げた。
米国IDCのレイモン・リャマス氏(ウェアラブルデバイスチームのリサーチディレクター)は、「2019年はウェアラブル市場が大いに躍進した一年であった。耳装着型ウェアラブルデバイスは、新製品の投入ならびにスマートフォンが従来のイヤフォンのようなケーブルを必要としなくなったことで、多くのユーザーに購入された。また、スマートウォッチとフィットネストラッカーは、両方とも低価格モデルが多く登場したことで、出荷台数の年間記録を更新した」としている。
また米国IDCのジテシュ・ウブラニ氏(Mobile Device Tracker リサーチマネージャー)は「ウェアラブルデバイスの市場では、速い速度で市場の寡占を進める“巨人”が他のベンダーにプレッシャーをかけている」とコメントする。
国内のウェアラブルデバイス出荷台数については、「Worldwide Quarterly Wearable Device Tracker 2019Q4」によれば、2019年第4四半期の出荷台数は211.9万台で、前年同期比115.0%の大幅増となった。成長を促進させた要因は耳装着型デバイスにあり、145万1000台の出荷で前年同期比173.1%の大幅増となった。この背景には、多くのベンダーが音声アシスタント機能に対応したミドルレンジの商品を投入してきたことが挙げられる。
2019年通年では、国内のウェアラブルデバイスの出荷は617万台で、前年比198.7%の伸びとなった。耳装着型デバイス(通年400.7万台、前年比303.5%増)のほか、腕時計型も135.1万台の出荷(前年比70.2%増)がこの成長に大きく貢献した。
IDC Japanの菅原 啓氏(携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリスト)は、「音声アシスタント機能はミドルレンジのイヤフォンやヘッドフォンではほぼ定番の機能となり、それが耳装着型デバイスの大きな躍進につながっている。5G商用サービスが開始される今後は、5Gならではのサービスと音声アシスタント機能を組み合わせることで、耳装着型デバイスはさらに活躍するだろう」とコメントする。
ベンダーシェアから見る世界と国内のウェアラブルデバイスの覇権争い
ここからは、2019年第4四半期で世界のウェアラブルデバイス市場のトップ5を占めたベンダーを見てみよう。また、2019年通年と国内市場の動向についても併せて見ていく。
1位のベンダーは2019年第4四半期に4340万台を出荷し市場をリードしたが、供給不足が発生し、1位のベンダーの製品ラインアップのうち一部の製品は前年比で5.2%減少した。
2位のベンダーは1284万台の出荷で、このうち941万台(73.3%)を占めたのはリストバンドだった。このベンダーがウェアラブル市場全体を占めるリストバンドのシェアは、2018年第4四半期の81.8%から減少した。耳装着型デバイスの増加と腕時計型デバイスが徐々に市場における地位を確立しているためだと考えられる。
3位のベンダーは、ガジェット愛好家層や健康やフィットネス愛好家から支持を得て需要が拡大した。また、ウェアラブルデバイスをスマートフォンにバンドルする戦略を展開し、キャリアとの協業を推し進めた。
4位はウェアラブルデバイスの出荷を63.4%増加させた。リストバンドの出荷量が大部分を占めたが、子供用腕時計とスマートウォッチの出荷も大きく成長した。
5位のベンダーは、第4四半期に関しては過去2年間は出荷台数が減少していたが、2019年第4四半期に出荷台数が回復した。5位のベンダーは、出荷台数の多くをフィットネストラッカーに依存しているが、スマートウォッチの一部製品を割り引きしたことにより、年間の出荷台数を600万台にまで伸ばした。
2019年四半期と通年のデバイス別出荷動向
2019年第4四半期と通年でのデバイス別出荷台数を見ると、耳装着型デバイスは引き続き強力な前進を続けて、年間で1億7047万台が出荷された。2018年に出荷された4864万台と比較すると、250.5%の成長となる。ノイズキャンセルやコーチング、言語翻訳、スマートアシスタントなどの多くの機能を搭載する耳装着型デバイスは、オーディオ以外の追加のユースケースを強調している。
リストバンドの2019年の出荷は6935万台となり、2018年に出荷された5047万台から37.4%増加した。腕時計型デバイスの2019年の出荷台数は9243万台となり、2018年の7534万台から22.7%増加した。
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