コロナに乗じてサイバー犯罪が増加 火事場泥棒に注意:560th Lap
“火事場泥棒”という言葉がある。新型コロナウイルス感染症への対応で世界中のビジネスの現場が変化している今、サイバー犯罪が増えているという。
緊急事態宣言発令後、テレワークや時差出勤など普段とは違う働き方をするビジネスパーソンが増加した。そんなタイミングで、サイバー犯罪も急増しているという。分析したのは、米連邦捜査局(FBI)だ。“火事場泥棒”ともいえるサイバー犯罪の驚きの実態とは──?
サイバー犯罪の増加について言及されたのは2020年4月16日、米Aspen研究所が主催したオンラインディスカッションでのことだ。そのディスカッションにはサイバーセキュリティ企業Oktaのエグゼクティブディレクター マーク・ロジャース氏とAspen研究所のジョン・カーリン氏、そしてFBIのサイバー部門副アシスタントディレクター トーニャ・ウゴレッツ氏らが参加していた。
中でも、ウゴレッツ氏による発言が波紋を呼んでいる。ウゴレッツ氏によると、FBIが運営する米国内のサイバー犯罪情報を収集する組織「Internet Crime Complaint Center」(以下、IC3)に寄せられる報告が2020年の年初から急増したという。
以前は、1日1000件ほどだった報告件数だが、ディスカッション開催時点で、1日当たり3000〜4000件に上っている。ウゴレッツ氏は「新型コロナウイルス感染症が流行し始めた時、FBIの関係者たちは『サイバー犯罪者も人の子、この非常事態に乗じるサイバー犯罪者はそう多くないだろう』と予想したが、その見込みは完全に裏切られた」と語っている。
FBIの想定を上回るハッキング被害は、多くのビジネスパーソンがテレワークになり、自宅回線を利用する機会が増加したためと推測されている。不正なドメインを立ち上げてフィッシング詐欺に利用したり、偽物のコロナウイルス対策のチャリティーサイトを開始したり、マスクの購入後に不正な支払いを要求したりと、多様なサイバー犯罪が起きているようだ。
中には、ワクチンの開発を進める研究機関や治療に取り組む医療機関などのシステムへの不正侵入、情報の奪取も発生しているという。具体的にどの機関が被害に遭ったかは明示されていないが、同様の問題についてはNCSC(米国家防諜安全保障センター)も警告をツイートしている。
同ディスカッションは米国で起きているサイバー犯罪を中心に展開されたが、日本も同様だ。トレンドマイクロによれば、日本国内でも2020年4月26日までに6500件を超えるサイバー攻撃の被害情報が報告されている。今回のFBIの注意喚起は対岸の火事ではないと認識しなければならないだろう。
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上司X: ウイルス禍でサイバー犯罪が3〜4倍に跳ね上がっている、という話だよ。
ブラックピット: 1日に3000件以上も報告されるって異常ですね。
上司X: しかも研究所や医療機関にまで犯罪者の手が伸びているというのはまずいよな。
ブラックピット: 今、足を引っ張るべきじゃないことくらい自覚してほしいですね。
上司X: そこはFBIもある程度期待してたみたいだけどな。まあ犯罪者に期待しても……、ということなのだろう。とはいえこの大変な時期に、許せないな。
ブラックピット: 個人的にもネットに頼らざるを得ない毎日ですが、そこで火事場泥棒的な犯罪が起きていると思うとやるせないですね。そして医療従事者の皆さんがサイバー犯罪でさらに負担を背負っていると思うとやるせないです。
上司X: 今回のディスカッションでは具体的にどうするという話までは及ばなかったが、ともかくできる限りの自衛はしておこう。怪しいサイトや偽装メールには要注意だよ。
ブラックピット(本名非公開)
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
上司X(本名なぜか非公開)
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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