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ニューノーマルに向けた新アプリを発表したServiceNow Japanが指摘する“デジタル後進国”の改善策とは

緊急事態宣言が全面解除されたからといって「元通りの状態」に戻ることは難しい。日本企業はコロナ禍で露呈したデジタル化の課題とどう向き合っていけばいいのだろうか。

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のため、在宅勤務に切り替えた多くの企業は、オフィス勤務の再開に向け従業員を適切にサポートできているだろうか。企業は、政府による緊急事態宣言が全面解除された今、コロナ禍以後の新しい働き方“ニューノーマル(新常態)”を目指す必要がある。

 こうした状況の中、ServiceNow Japanは2020年6月9日、従業員の職場復帰をサポートする企業向けのサービス「ServiceNow Safe Workplace」を発表した。同サービスは、オフィスの従業員受け入れ体制が十分かどうかを可視化するものや、従業員がオフィスに復帰したいかといった精神面からも状況を把握できるものなど4種類のアプリとダッシュボードで構成されている。

 各従業員の意見を収集しフィードバックすることで従業員が職場に戻るための状況を可視化するアプリが「Employee Readiness Surveys」だ。オフィスに復帰したいかどうか個人的な心の準備や関心について従業員に質問を提示し、回答を収集することで、従業員の職場復帰に対する準備状況を確認できる。「Employee Health Screening」では従業員の体温チェックやマスクの着用などオフィスへの入室要件を確認し、職場別の傾向や動向を可視化する。


Safe Workplaceとは(1)(出典:ServiceNow Japan)

 その他、オフィスの清掃や安全状況を一元管理するアプリ「Workplace Safety Management」と従業員のために準備したマスクなどの在庫管理アプリ「Workplace PPE Inventory Management」を備える。


Safe Workplaceとは(2)(出典:ServiceNow Japan)

 これらのアプリで収集した情報はServiceNowのクラウドプラットフォーム「Now Platform」を介してSafe Workplaceのダッシュボードに集約できる。ダッシュボードではさらに、感染率などの公開データを記したマップと重ね合わせて表示することで地理的な感染状況の広がりを確認でき、職場周辺の感染状況と従業員と職場の準備状況に基づいてオフィスを再開すべきかどうかを判断する指標を示す。

日本企業の誤ったデジタル化を改善するには


ServiceNow Japan 村瀬将思氏

 これらの機能を提供することでニューノーマルへ向かう企業を支援するServiceNow。会見では、アプリの紹介に加えてServiceNow Japan社長の村瀬将思氏はアプリの紹介に加え、日本はデジタル後進国であることが明らかとなったという指摘やデジタル化の実現策を示した。同社のクラウドプラットフォーム活用事例とともに紹介する。

 村瀬氏は「従来、日本の組織が推し進めてきた『ICT活用』は単なる『デジタイゼーション』にすぎない」と指摘する。村瀬氏が指摘する日本における「一般的なICT活用」の例としては帳票を使ったワークフローが挙げられるだろう。紙の帳票を「Microsoft Excel」「Microsoft Word」ないしPDF形式にした“だけ”のデータが流通し、それぞれが印刷して手書きで記入、手書きの用紙をスキャンして電子メールで送信。受信者はかき集めたファイルの中から手作業で必要項目を探し出して作業するといったものだ。古くからある書類作業を電子ファイル化しただけで、人手や時間コスト、人的エラーの可能性は何も改善できていない。

 「(日本では)押印業務のために出社をするなど、本質的な働き方改革が進んでいませんでした。デジタル成熟度の低さは企業だけでなく学校や行政など社会全体で共通しています」(村瀬氏)

 デジタイゼーションから「デジタライゼーション」、そして「デジタルトランスフォーメーション」へ向かうにはどうすればいいのか。

 村瀬氏はSercviceNowによるデジタル成熟度のモデルを示して次のように段階を踏むことを提案する。

 「まずプロセスを清流化し、人と機械でやるべきことを仕分け、省力化と迅速化、精度向上を実現するべきです。この段階では、従業員が入力したデータを基に業務に応じてワークフローがデータを自動で処理し、自動で通知したり承認を取得したりする環境を実現してください。他システムとも自動で連携し、最新で正確な必要情報を他の従業員も参照できるようにしておくべきです。その後、ICTを最大限活用してビッグデータやAI(人工知能)を用いたデータの解析、推論や将来予測をするDXを実現してほしい」


デジタル成熟度のモデル(出典:ServiceNow Japan)

 会見では、複数の採用事例も発表された。広島県では2020年5月1日から県職員向けに職員体調管理アプリと行動記録アプリを提供。職員体調管理アプリでは、チャットbotを利用して職員の体調を管理し、長期休暇明けの出勤も調整し職員間の感染、職員から県民への感染の防止に活用する。より簡易的に運用できるようモバイルアプリの利用も検討しているという。行動記録アプリは、接触者の早期発見のための行動登録に使われており、参加した打ち合わせなどの「同席メンバー」「三密状況」「時間」「場所」を登録して管理している。その他、アフラック生命保険では出社率管理を「1週間」で構築したという事例も紹介された。


アフラック生命保険の事例図説(出典:ServiceNow Japan)

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