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コミュニケーションツールの利用状況(2020年)/後編

COVID-19の流行によって企業の働き方は大きく様変わりしたが、COVID-19の流行以前と以後でコミュニケーション、情報共有方法はどのように変わったか。読者に尋ねた。

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 キーマンズネットは2020年7月27日〜8月7日にわたり「情報共有ツールの利用状況」に関する調査を実施した。全回答者数70人のうち情報システム部門が25.7%、製造・生産部門が44.3%、営業・販売・営業企画部門と総務・人事部門が同率で4.3%、経営企画部門が2.9%などと続く内訳であった。

 今回は、勤務先で利用しているビジネスチャットなどコミュニケーションツールについての「満足度」をはじめ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行による「情報共有方法への変化の有無」や「情報共有についての問題点や課題」など、企業における情報共有への取り組み状況を把握するための質問を展開。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。

プロジェクトでツール乱立……情報共有に関する不満の中身

 前編では、ビジネスチャットやメッセージングアプリなどのコミュニケーションツールの導入および検討割合が全体で65.7%と約7割に迫ることなどに触れたが、後編ではツールの満足度や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響で勤務先の情報共有の在り方にどのような変化があったかなどを調査した。

 ビジネスチャットなどのコミュニケーションツールを勤務先で「利用している」とした回答者に対して、ツールの満足度を聞いた。その結果「満足」が23.9%、「まあ満足」が57.9%、「やや不満」が18.4%となり、「満足」と感じている人は合計で81.8%だった。

 「満足」とした回答者からは「会議以外にも、議事録の作成やメールの管理などいろいろと役に立つ」「会話の証跡が残るので、食い違いが減った」といった、スピーディーな情報伝達はもちろん情報の管理や再利用などでメリットを感じているとのことだった。

 一方で「不満」とした回答者からは「画像、音声品質が悪いときがある」「使い勝手が悪い。やりたいことをどうやればいいかが分かりにくい」「デスクトップ版、ストアアプリ、ブラウザで機能が微妙に異なり、資料共有が使いにくい」など、機能や使い勝手に対する不満が多く挙がった。

 他にも「一つのプロジェクトでも複数のツールを使っているから」といった運用面での課題もあった。前編でも触れたが、コミュニケーションツールを利用している人の約3割が複数のツールを併用しているようで、組織やプロジェクトチームでツールが乱立しているケースも少なくないのだろう。こうした点は定期的に運用状況を確認し、効果的な運用ルールを設定し直すなどの工夫が必要となりそうだ。

COVID-19で働き方が変わり、情報共有方法はどう変化したか

 2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が世界規模で広がり、国内でもテレワークへのシフトなど働き方の転換を迫られた。働き方が変わるということは、当然業務の進め方や組織のコミュニケーション、情報共有方法にも何らかの変化がみられるはずだ。その仮説の下、COVID-19の流行以前と以後で勤務先のコミュニケーションや情報共有の方法に変化があったかどうかを尋ねた。

 変化が「ある」とした割合は38.6%、「ない」は61.4%となり、意外にも影響を受けなかったとする割合の方が高い結果となった(図1)。


図1 新型コロナウイルス感染症の流行前後で情報共有方法に変化はあったか

 「変化があった」とした回答者に対して、どのような変化があったのかを尋ねたところ、以下のようなコメントが寄せられた。

  • メールとファイルサーバでの共有方式からTeamsに一気に舵を切った
  • テレワークの頻度が増え、報告資料の作成負荷が高まった
  • 従来の会議では紙の資料だったが、Web会議にシフトすると、オンラインでの資料共有が増えた

 コメントには、メールや電話といった従来型のコミュニケーション手段に加えて、チャットやWeb会議の利用頻度が高まったといった意見が目立った。

 関連して「テレワーカーとのやりとりはチャットツール主体、オフィス出勤者とのやりとりはメールや対面が主体」「メールとチャットの利用区別を作ろうと検討中」といった声もあり、今後を見据えてテレワークをする従業員も含めたコミュニケーションの最適化を図る企業もあるようだ。

共有嫌いなメンバーも……現場で生じる情報共有の“壁”とは

 最後に、読者の勤務先におけるコミュニケーションや情報共有に関する課題、問題点を調査した。

 「勤務先でコミュニケーションや情報共有に関する課題や問題点はあるか」と尋ねたところ「ある」が65.7%と、2019年6月に実施した同様の調査時よりも11.9ポイント増加した(図2)。情報共有についての問題点や課題が「ある」とした回答者に詳細を聞いたところ、大きく2つに分類できる。


図2 情報共有の問題点/課題点の有無

 1つ目は情報共有の方法や運用ルール、認識の違いなどにより効率的な情報共有ができていないという課題だ。具体的には、「情報共有に関するルールが曖昧」「個人による情報発信の頻度や量の差が大きい」「各部署内で情報の横展開がされていない」「情報の錯そう、陳腐化、共有の不備」などの声が挙がった。

 また「情報を自分のものとして考えていて手元に置いておきたがり、人と共有することを嫌う」といった声もある。こうした課題にはプロジェクトやチームで情報を共有することの必要性をあらためて認識させることや、情報共有、組織へのナレッジ共有を人事評価の項目に含めるのも一つの対応策として考えられる。

 2つ目はツールを活用したコミュニケーションに関する課題で「在宅勤務ではWeb会議でコミュニケーションをとっているが、他人の会話からの気付きや後輩の様子からのアドバイスがやりにくい」「コミュニケーションツールのみの会話では、相手の真意が読み取れない」など、特にテレワーク下でのツールを介したコミュニケーションにやりづらさを感じる声が多く挙がった。

 また「情報共有のタイミングに課題を感じる」「一方的な通知もあり、マナーを考えてほしいときがある」など、対面とは異なり、場の空気や声掛けのタイミングが図りづらいといった問題もあるようだ。

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