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「モノの管理」から「ユーザー中心の管理」へ、Device as a ServiceでIT管理者はどこまでラクになるのか

Device as a ServiceはPC運用を簡素化するだけでなく、IT担当者を「モノの管理」から解放する手段でもある。Device as a ServiceでIT管理者はどこまでラクできるのか?

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 連載第3回となる本稿では、日本マイクロソフトが提唱し、段階的に進めるDevice as a ServiceのSTEP2「ユーザー中心の管理モデル」について解説します。第2回で説明したSTEP1では、Device as a Serviceによってハードウェアとソフトウェア、クラウドサービスを一括月額で調達することで、人材の流動性を考慮し、短期利用ニーズに合った調達が必要だと解説しました。レンタルPCを基礎としたこのSTEP1を基に、PCの調達、運用をさらに簡素化するための考え方がSTEP2となります。


マイクロソフトが提唱するDevice as a Serviceの運用に関する4つのステップ(資料提供:日本マイクロソフト)

著者プロフィール:松尾太輔(横河レンタ・リース)

自社開発ソフトウェア「Flex Work Place」の開発責任者を務める。「デバイスをサービスとして提供するとはどういうことか」「モノのサブスクの本質とは何か」「企業のPC運用のベストプラクティスとは何なのか」を問い続けながら、「Windows 10」の導入コンサルティング、Device as a Serviceの啓蒙(けいもう)活動を行う。


Device as a ServiceでIDをベースとした「ユーザー中心のPC管理」へ

 「as a Service」の大原則は、あくまで人にサービスを提供するということです。つまり、第1回で述べたDevice as a Serviceのキーワード「ユーザーへ直接」ということです。現在のPC運用は調達から運用の全てをIT管理者が担っていますが、Device as a Serviceはベンダーと従業員が直接つながり、PC調達から運用までを事業者が「サービス」として提供するものです。社内のIT管理者が面倒をみていたものが、Device as a Serviceでは社外の人(サービス提供事業者)が面倒を見るようになるということです。社外の人が顔も知らない従業員の端末の面倒を見るわけですから、IDを基にして全てを管理する必要があります。ユーザー認証もIDをベースにする必要があるのです。

 となれば、セキュリティもIDベースのゼロトラストを前提に考える必要があります。デバイスの供給から運用までをIDベースで管理することで、PCの運用管理を簡素化できます。IDをベースとすることがユーザー中心の管理の第一歩です。

Device as a Serviceのコストにまつわる誤解とは

 PCなどのハードウェアとソフトウェア、クラウドサービスを一括月額で調達するのがSTEP1、STEP2でPC運用をユーザー中心の管理に乗せることで、IT管理者の負担を軽減します。第1回でも触れましたが、モノの管理、資産管理(在庫管理)は、IT管理者にとって相当な負担です。モノを調達して運用するという思考からモノの調達、運用をサービスとして受けるという思考に変えることでIT担当者の負担の軽減を可能にします。

 入社した人が試用期間の3カ月で辞めてしまって、せっかく調達したPCが無駄になったという経験をしたIT管理者もいるでしょう。その場合、せっかく新規調達したPCを他の従業員に回すという発想になりがちですが、それでは資産管理(在庫管理)が発生してIT管理者の大きな負担になり、悪循環を招きます。人材の流動性を考慮して短期ニーズに合わせたPC調達であれば、人材の出入りに合わせてDevice as a Serviceを契約、解約するだけで済み、無駄な資産管理は必要なくなるのです。

 よく誤解される点がコストですが、Device as a Serviceでは長期で利用しようが短期で利用しようが均等に月額化され、例えばPC1台当たり月額1000円として、3カ月なら3000円、24カ月なら24000円で使えるというものではありません。クラウドサービスならば期間によって、均等月額課金での利用も可能ですが、モノは限界費用が高く、それではビジネスが成り立ちません。モノは、動かせば配送費用がかかります。返却して次の人に貸し出すにもリファービッシュ(使用済みのPCをクリーニングしたり、データ消去したりして再利用可能にすること)や再セットアップという工程を経る必要があります。限界費用とはリニアに増加するコストのことです。クラウドサービスは、ユーザーが使った分だけ増えるコストよりも開発や運用といった固定費の方が多い(限界費用が低い)ため、例えばフリーミアム戦略(まずは無償で使わせて、継続利用で課金するなどの方法)が取れますが、モノのサブスクでは無理です。

 この点から、「モノのサブスクは成り立たない」とか「メーカーにしかできない」とおっしゃる方がいますが、それは短絡的な考えです。モノを購入するよりもコストがかからないということ(さすがに3カ月の利用で、買うのと同じだけの金額を請求されることはない前提です)、またそれ以上に人に合わせることで調達の機会を単純にして、予算計画を簡素化すること(人数と月額が分かればいい)、そしてモノの資産管理(在庫管理)から解放されることに大きなメリットがあります。

「クラウドとデバイスの調達一元化」によるメリットとは

 従業員の入社、退職に合わせた短期のニーズにも対応できるようになれば、さらに調達を簡素化するために「調達元の一元化」をお勧めします。せっかくDevice as a ServiceによってPC調達管理がサービスとして提供されるようになっても、クラウドサービスやデバイスをさまざまなベンダーから調達していれば、Device as a Serviceを利用する意味がありません。

 ただ単に月額で、調達元をまとめただけでは、人の動きにモノを合わせるという調整が発生し、調達が簡素化されません。予算計画なども分かりにくいものになるでしょう。モノとして月額化されても、固定的な予算ゆえに余剰品を自分たちの手元で管理してしまっているケースもあります。解約金がもったいないという理由なのかもしれませんが、それは本末転倒というものです。人に合わせることで、予算の柔軟化が可能であり、調達が簡素化され、モノの管理(資産管理、在庫管理)から解放され、IT管理者の負担が軽減されるというものです。そのうえで一元的に調達することで、よりシンプルになります。それを踏まえずに、ただ調達元を一元化しただけではせいぜい請求書が一枚にまとまるだけの話でしかなりません。

 IDをベースにして、サービスとして受けることがいかに運用負荷を軽減することにつながることが分かっていただけたでしょうか。これが、STEP2「ユーザー中心の管理モデル」で達成すべきポイントになります。

 次回は、STEP3「クラウドベースの管理基盤」について解説します。STEP2までは達成されている企業は少なくありません。しかし、STEP3からぐっとハードルが上がります。そのハードルとは、オンプレミスの「Active Directory」なのです。PCが管理されていれば、必ずあると言っても過言ではないActive Directory。それが「as a Service」のハードルになる、その理由と乗り越え方を次回は、解説します。お楽しみに

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