迫る期末、2カ月で決算業務のリモート対応を実現した方法とは
2回目の「コロナ禍中の決算」が来る。2020年は「決死の出社」で乗り切った企業が目立ったが、2021年はどうなるか。同じことを繰り返さないために、2カ月で決算をリモート化した企業がある。
BCPや働き方改革の一環で財務会計業務の一部でテレワークに対応していた企業はあった。しかし、決算業務となると出社ゼロでこなせるように準備していた企業は多くなかった。この状況に、コロナ禍が変化をもたらした。
2020年は国税庁が法人税や消費税等の申告と納付期限を延長して対応する事態となったが、2回目の「コロナ渦中の決算」はどうなるだろうか。
2021年も前回同様の緊急対応で乗り切るか、それとも決算業務のデジタル化を進める。そのような中、2カ月で決算業務のリモート化を実現した企業があった。
導入2カ月で第3四半期単独決算業務をリモート化
ブラックラインは2021年3月2日、日本ガイシがクラウド型決算プラットフォーム「BlackLine」を導入したと発表した。これによって日本ガイシは、2020年12月期の単独決算業務の一部をリモートで実施した。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴って緊急事態宣言が発出された2020年4月、日本ガイシは、政府が推奨する在宅勤務でも決算業務を実施できる体制の整備を急いでいた。もともと同社経理部門は、台風や水害といった自然災害で在宅勤務が余儀なくされる非常事態を想定し、従来の業務プロセスの改善策として、オフィス外から利用可能なクラウド型決算プラットフォームの導入を模索していた。
決算業務のリモート化に向けた日本ガイシの課題は「進捗管理」「ペーパーレス化」「監査法人対応」の3点だ。これまでの決算業務では、決算スケジュールの管理者が直接担当者に問い合わせて決算の進捗を把握していた。基幹システムのデータを印刷して紙で回覧し、押印で承認していた。監査法人に対しては紙の書類を手渡しで、電子データは電子メールなどで共有し、内容に関する質問はその都度担当者が電話や電子メールで対応していた。決算業務をリモート化するには、これらを改める必要があった。
BlackLineは、単一のプラットフォームで決算業務管理と経理業務の自動化を可能にするクラウド型決算プラットフォームだ。ブラックラインでは、決算業務プロセスのデジタル化やリモート決算が可能だとしている。
日本ガイシは2020年10月にBlackLineを導入し、ペーパーレス化と承認ワークフローの見直し、タスク管理業務の改善を実施した。これによって同年12月の第3四半期単独決算業務をリモートで実施した。2021年3月期本決算となる単独決算業務も、リモートで実施する予定だ。今後は基幹システムとのデータ連携機能や自動仕訳作成機能を活用して決算業務の一部を自動化し、決算業務の効率化を図るとしている。
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