2021年9月13日、RPA BANK はキーマンズネットに移管いたしました。
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2017年7月のサービス開始以来約1年半で、500社、2500アカウントのユーザーを獲得しているRPAツールがある。BizteX株式会社の「BizteX cobit」だ。2018年度グッドデザイン賞を受賞するなど注目が高まっているこの「BizteX cobit」は、専門知識不要で誰でも使えるロボットを目指し、現場の業務担当者に対する入念なインタビュー調査のうえで開発された国産クラウド型RPAである。
「テクノロジーで新しいワークスタイルをつくる」をミッションに掲げる同社の代表取締役 Founder/CEOの嶋田光敏氏は、2018年11月に開催された「X-CONFERENCE(クロス-カンファレンス)」で「今まさに、第三次労働革命が訪れようとしている」と語った。
では、今の日本企業にはどのような課題があり、これからワークスタイルをどう変えていくべきなのか。RPA活用で作られる新たなワークスタイルの未来について、「BizteX cobit」を開発した経緯とともに話を聞いた。
■記事内目次
- RPAでワークスタイルが変われば、マネジメントも変わる
- 「誰でも使える直感的な操作」を実現するために行った工夫とは
- 「RPAツール二刀流」の企業も。進むRPAツールの使い分け
RPAでワークスタイルが変われば、マネジメントも変わる
――まず、現在の日本企業のワークスタイルにはどのような課題があるとお考えでしょうか。
日本企業によくある典型的な仕事の進め方は、ピラミッド型組織体系のなかで、下の階層にいる若い方が定型業務を担い、上司がチェックするというものです。そして従来言われている通り、諸外国と比べても労働生産性が低い。いっぽう、アメリカなど他国の企業は日本よりも面積が広く、地理的な距離感があるために、業務効率を重視する傾向にあります。営業は移動にコストがかかる訪問型ではなくメールや電話で非対面の営業するインサイドセールスが中心で、サービスもネットで完結する方法が発展しています。組織文化もピラミッド型などではなく、フラットな傾向です。
インターネットが発達して、意思決定に至るまでのコミュニケーションツールも多様化しているなかで、日本企業の働き方はもっと効率的なものに変えていかなければなりません。
――環境の違いは致し方ないにしても、技術が進化していくならば伴って働き方も効率化していくべきということですね。
はい。そのためにも、これからはRPAのようなツールが一層求められていくことでしょう。多くの人がRPAのスキルを身に付ければ、定型業務のほとんどはRPAが担うようになり、人間がコミュニケーションや企画などのクリエイティブな業務に使える時間が増えます。組織が変われば、働き方を柔軟にするような経営マネジメントが浸透し、文化・制度が変わっていきます。そうなれば、従来のピラミッド型ではなくフラットな組織体系の実現も可能になるでしょう。
――ワークスタイルや組織体系に変化が訪れる今、経営者としてはどのようなことに取り組むべきとお考えでしょうか。
経営者は、この新しい時代に沿ったマネジメントスタイルを模索する必要があると思っています。最近では、自社だけでなく異業種・異分野の組織や団体が協力しあう「オープンイノベーション」に取り組む大企業が増えていますよね。なぜかというと、テクノロジーの進化のスピードが速くなってきて、自前主義では限界が出てきてしまうからです。今後もこのように、テクノロジーの進化に追随するスピード重視のマネジメントスタイルがより求められていくと考えます。
――確かに、大企業では、RPAやAIなどの新しいテクノロジーを導入する流れは加速しています。中小企業ではどうでしょうか。
本来は中小企業にこそ必要なのですが、まだまだ導入は進んでいないのが現状です。中小企業は大企業と比べるとITリテラシーが低かったり、新しい情報が届かなかったりする場合が多く、ギャップがあります。日本企業の売上高に対するIT投資比率は平均2%ほどですが、地方企業の投資比率はそれよりもずっと少ないのが現実です。パソコンが1人に1台なかったり、インターネット環境が遅かったり、10年前の基幹システムを使っていたり……なかには、未だにFAXを現役で使っている企業や自治体もあります。
しかし、クラウドサービスを利用すれば、リーズナブルに迅速に新しいシステムを使えますよね。これから、従来の古い設備やシステムがSaaS型(Software as a Service/必要な機能を必要な分だけ利用できるようにすること)のサービスに置き換わっていく動きがさらに加速していきます。そうなると、当社のサービスで自動化に貢献できる領域も広がっていくと考えています。
「誰でも使える直感的な操作」を実現するために行った工夫とは
――クラウド型のサービスは、SaaS型であるがゆえに中小企業にとって導入しやすいということですね。御社の「BizteX cobit」もクラウド型のRPAツールですが、どのような経緯で開発されたのでしょうか。
他社のRPAも優れた製品だと思いますが、ハイスペックかつ高価格なものがほとんどで、結果として大企業向けになっています。そんなRPAをクラウドにすることで、リーズナブルかつ迅速に導入できるようにすれば、中堅中小企業の課題解決に役立つのではないか。そう考え、2015年に当社を創業し、製品開発を始めたきっかけです。
開発にあたって大事にしたのは、現場の業務担当者が直感的に操作できるプロダクトにするということです。専門知識不要で誰でも簡単にロボットづくりができ、定型業務を効率化できるようにすることを心がけました。
ユーザー目線の開発をするために、さまざまな企業にご協力をお願いし、実際に現場業務を担当している方々にインタビューを実施しました。日頃の業務の進め方やシステムの使い方について、かなりの数のお客様に、半年ほどかけて話を伺いました。そこで得た知見をベースに初期から含めると約1年の期間をかけて開発しました。
――実際に使っているユーザーの反応はどうでしょうか。
リリースから1年数カ月で500社を超える企業に導入いただいていますが、実際のユーザーは、私たちの想定していた通り、ITリテラシーの高くない現場担当者レベルの方が多いという印象です。「使いやすさ」が認められているのだと思います。
実際に、文系出身でプログラミング経験などない現場担当者の方でも無理なくお使いいただいているという声もあり、嬉しく思いますね。
――「使いやすさ」や「直感的な操作」を実現するために、どのような点を工夫されましたか。
ユーザーの声を吸い上げた細かな改善ですね。「BizteX cobit」の画面の左側にあるメニューバーの設計です。メニューには各機能の項目を並べていたのですが、ユーザーの「欲しい機能」を取り入れるうちに機能が増えすぎて、逆に「メニューに並ぶ項目が多くて、どれを使ったら良いのか迷ってしまう」という状況になってしまったことがありました。そこで、開発チームでアイディアを出し合い「はじめは大項目だけ表示し、クリックしたら小項目が開くようにする」というような改善を行いました。
「RPA二刀流」の企業も。進むRPAツールの使い分け
――BizteX cobitは他のRPAと比較して、どのような点で選ばれているのでしょうか。
BizteX cobitが選ばれるのは、より現場に近い、ブラウザーベースの業務へ導入するようなケースが多いです。また、アカウント数を無制限として提供しているモデルなので、たくさんの現場担当者に配布したいというニーズが強いお客様にも選ばれています。
RPAツールにはいくつかありますが、システム要件や自動化したい業務によって、それぞれのツールを上手に選定されているお客様が多い印象を受けています。基幹システムには他社RPA、現場業務にはBizteX cobitというような、二刀流のお客様も増えています。現在は大手企業での導入が多いですが、将来的には多くの中小企業に使っていただきたいですね。
――これから目指す方向性をお聞かせください。
クラウドサービスの特長を生かして日々バージョンアップし、誰でも使える、シンプルな操作性を極めていきます。同時に、グローバル展開も考えています。RPAはもともと欧米から発祥した分野なので、すでに欧米には大きなマーケットがあります。そこに日本製品として切り込んでいきたいですね。日本のみならず世界中のワークスタイルを、新しいテクノロジーで変えることにチャレンジしていきます。
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