非エンジニアの救世主「ノーコード」 日本で普及なるか
にわかにブームとなっている「ノーコード」。プログラミングの知識がなくともWebサイトやアプリ、ソフトウェアを作れるツールだ。コードの書けない人の救世主となるのか。
近年、にわかにブームとなっている「ノーコード」。コーディングやデータモデル設計、UI設計などの知識がなくとも、Webサイトやアプリ、ソフトウェアを開発できるツールとして、にわかに注目を集めている。「開発の民主化」を促すとして期待を集めるが、日本で普及の兆しはあるのか。
IDC Japanは4月12日、「国内のローコードおよびノーコードプラットフォームの動向に関する調査結果」を発表した。同レポートは、2020年8月に、国内企業435社に対してローコードおよびノーコードプラットフォームの導入状況について調査した結果を基にしている。
ローコードやノーコードに普及の兆しはあるのか
IDC Japanによれば、ローコードおよびノーコードプラットフォームをアプリケーション開発に使用している企業が8.5%、導入に向けてテストあるいは検証中の企業が12.4%とあり、本格的な普及には至っていない。一方で、23.9%の企業は導入の計画や検討をしていると答え、導入が進むのではないかと同社は見ている。
ローコードおよびノーコードプラットフォームを導入している企業の45.1%は、導入の理由として開発スピードの向上を挙げる(図1)。
IDC Japanは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を背景に、企業のIT部門が速いスピードでシステムの開発や変更、拡張を要求されていることを指摘し、開発工程の中で最も時間がかかるコーディングを減らせるローコードおよびノーコードプラットフォームに期待が集まると考察。
ローコードおよびノーコードプラットフォームを使用すれば、人事担当者が従業員情報を管理するアプリケーションを作る、あるいは総務担当者が申請手続きのアプリケーションを作るなど、非エンジニアの従業員が業務効率化や自動化を実現できるとして、システム開発を内製化する鍵だと強調した。
なお、IDC Japanは2024年までに従業員1000人以上の企業において、従業員の30%がローコードおよびノーコードプラットフォームを活用し、アプリケーションの開発や業務の自動化を担うようになると予測する。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティのグループマネジャーである入谷光浩氏は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応に向けた業務アプリケーションやテレワークの作業効率を高めるアプリケーションを業務の現場で担当者が開発する事例も多く見られ、開発の民主化が着実に進んでいる」と述べた。
同社はローコードおよびノーコードプラットフォームを、「ドラッグ&ドロップによるビジュアルモデリングによって、アプリケーションのデザインから開発、テスト、デプロイメント、実行、管理まで、アプリケーションライフサイクル全体の統合環境を提供するソフトウェア製品またはクラウドサービス」と定義する。
ローコードおよびノーコードプラットフォームを提供する企業としては、OutSystems、Amazon Web Services、NTTデータ・イントラマート、Claris、Google、サイボウズ、ServiceNow、セールスフォース・ドットコム、Microsoftなどを挙げた。
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