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「やり方おかしくね?」ケンカを売ってきた企業にFacebookがした“仕返し”とは?:612th Lap

行動ターゲティング広告で大きな収益を得ているFacebook。同社の広告戦略に疑問を感じたある企業はこれにかみ付いたが、返り討ちに遭ったという。Facebookが、ケンカを売ってきた企業に対して採った“仕返し”とは?

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 行動履歴を基に、そのユーザーが興味を持ちそうな広告を優先的に表示する「行動ターゲティング広告」。ユーザーが興味関心を持ちそうなトピックに絞って広告を表示するため、広告掲出側も高い費用対効果が見込める。

 最近、5億件超のユーザー情報が流出したことで話題のFacebookも、この行動ターゲティング広告で大きな収益を得ている企業の1社だ。しかし、Facebookのやり方に文句を付ける企業が出てきた。同社にかみ付くその企業に対して、Facebookはある方法で仕返しをしたのだが、どのような方法で報復したのか?

 今回の騒動のきっかけとなったのは、2020年12月8日に施行されたAppleのプライバシー情報に関するポリシー改定だ。iOS向けアプリについて、自社アプリ、サードパーティー製アプリにかかわらず、提供者がユーザーの行動情報をどれだけ収集しているかを明確にすると同時に、ユーザーの許可制にするという新ポリシーをAppleは制定した。

 この動きに対して、行動ターゲティング広告で収益を得ている企業や広告業界は困惑した。広告によるエコシステムが破壊される事態にもなりかねないからだ。

 特に収益の大部分を行動ターゲティング広告から得ているFacebookはこれに激しく抵抗した。Appleがポリシー変更の施行から数日後の2020年12月16日に、Facebookは『The Wall Street Journal』や『The New York Times』『The Washington Post』などに全面広告を打ち、「Appleがインターネットを悪い方向へ導く」と告発した。

 しかし、Appleのポリシーは予定通り改定され、アプリのバージョンアップのタイミングで、「App Store」で提供される全てのアプリはどのような個人情報を収集するかを明示しなければならなくなった。

 こうした行動ターゲティング広告に固執するFacebookの必死な姿をやゆする企業が登場した。その企業とは、プライバシー保護を大きな特徴としたメッセンジャーアプリ「Signal」を提供する非営利団体のSignalだ。

 この件は、2021年5月5日にTech系サイト『The Register』をはじめ、幾つかのサイトで取り上げられる事態となった。

 Signalは、やりとりされるメッセージをエンドツーエンドで暗号化し、該当者以外に漏れないよう配慮がなされている。しかもSignalはこのアプリを無償で提供しており、広告収益なども得ず、ユーザーからの寄付などで経営を維持している。非営利で活動しているSignalにとっては、行動ターゲティングに固執して他社までも非難するFacebookの姿勢が奇妙に映ったのだろう。そこで、Signalはちょっと変わった方法でFacebookをやゆしてみることにした。

 その「変わった方法」とは、まさに行動ターゲティング広告を利用したものだ。Facebook傘下のInstagramの広告枠を購入し、行動ターゲティングを利用して文字ベースの広告を表示させるというものだ。そこには、その広告を目にしたユーザーがどこに住んでいて、どんなニュースやブログに興味を持っているか、どんな職種であるか、といったユーザーの個人情報が表示される。

 これにはテンプレートがあり、行動ターゲティングによって収集された情報を基に、ユーザーによって広告の内容は変化する。何も知らずにこれを目にしたユーザーは、ギョッとするだろう。Signalはこの広告によって、ユーザーがどれだけの個人情報をFacebookやInstagramに握られているのかを知らしめようと試みた。

 FacebookはこのSignalの“奇襲”に対して措置を講じた。それは、なんとSignalの広告アカウントを停止するという一手だった。運営サイドによる“垢BAN”という強硬手段だったのだ。

 Web記事によれば、Facebookは「この件はSignalの捏造(ねつぞう)」としていて、「広告枠の購入もなかった」と主張しているという。これに対して、Signalは同社のブログで一連の流れを説明しているが、広告掲載断念に至った理由は「垢BANだった」と主張している。

 結局アカウント停止の真相は闇の中なのだが、Facebookが広告収益を得るために、行動ターゲットに強い執着を見せていることは事実のようだ。しかし当然ながら行動ターゲティング広告を「悪」と断じることはできず、Signalの手法も必ずしも正攻法とは言えないだろう。行動ターゲティングについては、仕組みを理解しながら折り合いを付けるしかなさそうだ。


上司X

上司X: Facebookが、自分の広告戦略をやゆした企業のアカウントをBANしたという話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: Facebookのアカウントじゃなくて、傘下のInstagramの企業アカウントじゃないですか。


上司X

上司X: まあ関連企業ってことでね。大きくくくってみました。


ブラックピット

ブラックピット: 別にいいですけどね。でもまあSignalはなんでまたこんな面倒くさいことを……。


上司X

上司X: Signalの企業活動を考えれば、こうした意見が出てくることもあるだろう。


ブラックピット

ブラックピット: 広告で何をわざわざ……という気もしますけどね。


上司X

上司X: ターティング広告については賛否あるだろうから、これで考える人が出てくれば、と思ったのだろう。単にFacebookをからかいたいだけだったのかもしれないけどね。


ブラックピット

ブラックピット: なにはともあれ実験的な試みではあるようで、このことが大きく報道されれば、Appleのポリシー変更も相まって、いろいろ考える人も出てくるでしょう。僕もまさにその1人。この一連のやりとりを“観戦”するに、考えてもしょうがないかな、という考えに至りました。


上司X

上司X: いや、そこは放棄しないでもう少しさ……。ともかく、ユーザーがサービスやアプリを無償で利用できる理由の一つにターゲティング広告があったりもするしな。個人情報とトレードオフということを考えると、俺もよく分からなくなってきた。キミと同様に、しばらくは様子見でいくとするか。

川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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