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これだけはやっちゃいけない……USB 3.0の「タブー」が発覚:613th Lap

デバイスと周辺機器をつなぐ規格としてなじみの深い「USB」。USBの規格の一つで、データ転送の高速化をうたうUSB 3.0は、「あること」をするとその恩恵を受けられない可能性があるという。

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 PCなどの機器と周辺機器を接続する規格として長い歴史を持つ「USB」。ご存じの通り、USBには複数の規格があり、現在は「USB 2.0」と「USB 3.0」が主流だ。

 USBの規格の中でも特にUSB 3.0には注意が必要だ。2008年に登場したUSB 3.0は、USB 2.0よりもデータ転送速度が高速なのが特徴の一つだが、「あること」をするとその恩恵を受けられない可能性があるという。USB 3.0の転送パフォーマンスを落し得るその行為とは?

 USB 3.0に潜む問題が発覚したきっかけは、Twitterに投稿されたあるツイートだった。2021年5月1日、とある個人ユーザーが、「PlayStation 4」(PS4)用の外部ストレージとしてUSB接続の外付けSSDを購入したのだが、初回のフォーマットをしようとしてもうまくいかなかった。

 ツイートの投稿者が購入したのは出自の怪しい製品ではなく、バッファロー製で、もちろんPS4への正式対応をうたっているSSDだ。普通ならば何の問題もなく認識され、フォーマットもできるはずなのだが、どうやらPS4に非対応のUSB 2.0ドライブとして認識されてしまったことが原因らしい。

 その投稿者が独自で調査したところ、USBポートにUSBコネクターを素早く差し込めば問題は解決することが判明した。なんでもUSB 3.0ポートを備えるデバイスは、PCやPS4のUSBポート、もしくはUSBハブのUSBポートにUSBケーブルのコネクターをゆっくり挿すと、USB2.0として認識されることがあり、間違いなくUSB 3.0として認識させるためには素早く差し込む必要があるというのだ。

 投稿者は半信半疑だったが、実際にコネクターを素早く挿すことで、購入した外付けSSDは問題なく認識され、フォーマットも完了したのだという。

 バッファローも、この問題は決して不具合ではなく、USB 2.0とUSB 3.0のコネクターの仕様によって発生する事象だと認めている。

 USB 3.0のコネクターは、USB 2.0への後方互換を保つために、コネクターを拡張した設計となっている。コネクターの先端部分はUSB 2.0とUSB 3.0で共通であり、USB 3.0はコネクター深部に専用の端子が存在する。この深部の端子を認識することで、接続する機器がUSB 2.0かUSB 3.0かを判別するのだ。

 そのため、コネクターをポートにゆっくり挿してしまうと、USB 3.0専用の端子が認識される前にその接続デバイスが「USB 2.0だ」と誤認識されてしまう。誤認識される前に素早くコネクターを挿し、深部のUSB 3.0専用端子を認識させることが、問題発生を防ぐ手段なのだ。

 この問題はデジタル機器でありながら、意外にもアナログな理由で発生したものだった。なお、USB 3.0デバイスがUSB 2.0と誤認識されてしまったときは、コネクターを挿したまま接続機器を再起動すれば問題が解消することもあるという。電源の投入とともに最初からきちんとUSB 3.0専用端子が認識されるからだ。

 意外なほどアナログな理由で解決したこの問題。USB 3.0ポートに接続していても、パフォーマンスがUSB 2.0と変わらないと首をひねっているようなら、この問題にハマっているかもしれない。コネクターを挿す速度を調整してみるのはいかがだろうか。


上司X

上司X: コネクターを差し込む速度でUSB 3.0がUSB 2.0に誤認識されることがある、という話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: まさかそんなことがあるなんて。それは意外ですね。


上司X

上司X: コネクターの仕様を聞けば納得だ。


ブラックピット

ブラックピット: コネクターの先っぽはUSB 2.0とUSB 3.0で共通仕様で、奥側のコネクターが違うと。まあ、そういうところまでは誰も知りませんからねぇ。


上司X

上司X: メーカーとしては既知の現象だったようだし、今回の件でこの問題が大きく広まればいいきっかけになるじゃないか。


ブラックピット

ブラックピット: ですねぇ。それにしても昔は「IEEE 1394」とかもありましたけどね。USBと同期の規格じゃなかったでしたっけ? しかし、いつの間にやらUSBが一強になってしまいました。


上司X

上司X: また懐かしい規格を思い出したもんだな。IEEE 1394も「FireWire」も今は昔ってな……。しかし消えた接続規格なんて山ほどあるんだし、挙げたらキリがないよ。


ブラックピット

ブラックピット: まあ確かに。栄枯盛衰はテクノロジーの歴史の常ですしね。僕らもどうせこのITの歴史に埋もれていくのでしょう……。


上司X

上司X: まあ俺もキミもお互い歴史に名を残すようなことは全くしてないからさ、そんな心配は無用ってもんだよ。それはともかく、USBはすでにUSB 4.0まで策定されていて、これからも使われ続ける規格であることは間違いない。この先も続く歴史の中で、この「ゆっくり/素早く」問題もきっと語り継がれていくことだろうな。

川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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