コロナ禍の影響は? 富岳は? AIシステム市場の行く末
IDC Japanは、国内AIシステム市場の予測を発表した。2020〜2025年の年間平均成長率を25.5%と見込み、2025年の市場規模は4909億8100万円になると予測する。成長をけん引するものとは。
AI(人工知能)技術の活用によって業務を効率化したり、新たな事業を創出する事例が聞かれる。だが一方で、「導入に踏み出せない」「PoC(Proof Of Consept)でつまずく」「効果を出せない」など、一筋縄では導入できない印象を持つ人も多いのではないだろうか。実際にAIシステムはどれほど活用が進んでいるのか、あるいは進むのだろうか。AIシステム市場を見てみよう。
IDC Japan(以下、IDC)は2021年6月2日、国内AI(人工知能)システム市場の予測を発表した。2020年の市場規模は、対前年比47.9%増の1579億8400万円。2021年は、同34.1%増の2119億1600万円の見込みだ。
2020年は、ソフトウェア市場とハードウェア市場、サービス市場のいずれも好調だった。ソフトウェア市場は、ユーザー企業によるAIアプリケーションの利用が増加し、前年と比べて45.2%増加した。ハードウェア市場は、「富岳」などスーパーコンピュータの需要の高まりとハイスペックサーバの前倒し導入によって、同104.2%増となった。サービス市場は、ビジネス変革支援やITコンサルティング、アプリケーション開発、運用支援のニーズが高まり同24.8%増だった。成長をけん引するものは何か。
国内AIシステム市場は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるマイナスの影響を大きく受けておらず、さらに同感染症によって新たに対策を講じる必要がある投資重点領域にAIが認識されたことで、2021年も継続的に成長する見込みだ。2022年以降は、それまでと比べると成長率は鈍化するものの、AI投資が企業の中期投資計画に組み込まれていることなどから、成長を続けるとIDCは見ている。IDCでは、2020〜2025年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を25.5%と見込み、2025年の市場規模は4909億8100万円になると予測する(図)。
IDC Japanでソフトウェア&セキュリティのリサーチマネージャーを務める飯坂暢子氏は、「成長期を迎えている市場ではAIを活用し企業価値を得ている先駆者とそうでない者、企業変革を再認識し取り組みを加速する後発者という形でユーザー企業の層別化が顕著になっている。ITサプライヤーはユーザー企業の共通課題であるデータマネジメントにフォーカスし、レベルに応じた柔軟な支援が求められる」と述べている。
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