KDDI版ジョブ型人事制度とは? 日本でも定着するか
国内企業では「新卒一括採用の見直し」や「成果主義制度」など、過去に人材の採用や評価方法の見直しが提唱されながらも従来の価値観が根強く残っている。そのような中、KDDIはジョブ型人事制度への移行を進めている。その狙いは。
日本IBMとSAPジャパンは2021年6月9日、KDDIがクラウド型タレントマネジメントシステム「SAP SuccessFactors」の利用を同年4月に開始したと発表した。これに伴い、KDDIは新たな人事制度を推進するという。
全従業員が対象、KDDI版ジョブ型人事制度の狙いとは
KDDIは、SAP SuccessFactorsの採用を決定した。採用や配置、能力開発、評価、処遇といった人材管理に強みを持ち、全ての人事業務を遂行できることに加え、短期間での段階的な利用開始が可能なこと、業務の高度化に向けた適合性、柔軟性、拡張性が高いことなどを評価したためだ。
システム利用者数は17000人で、KDDIの全ての正規雇用従業員を対象とする。同社はSAP SuccessFactorsを核として「KDDI版ジョブ型人事制度」への移行を促進するとしている。
SAP SuccessFactorsは社員一人一人が能力を発揮するための人材管理機能と人材育成機能を備える。例えば上司と部下の間で継続的な双方向コミュニケーションを促す仕組みや新評価制度への対応機能、公募や副業による人材交流を活性化させる機能などを持つ。
KDDIのジョブ型人事制度に関するコンサルティングからシステム構築までを担当した日本IBMは、自社でSAP SuccessFactorsを利用している。そのノウハウや、人材管理やデータ分析に関する知見などを活用して、構想策定からシステム導入、保守運用までをワンストップで支援した。SAP SuccessFactorsの標準機能を最大限に利用することとし、追加開発を避けることで、限られた期間で複数のモジュールを一括導入できたという。
KDDIは「人生100年時代を見据えた、プロを創り、育てる人事制度の構築」を目指して、独自のジョブ型人事制度の導入と、社内のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める。迅速かつ柔軟に利用でき、将来の人事業務の高度化にも対応できるITシステムとしてSAP SuccessFactorsの導入を決めたという。
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