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「6億円でも欲しい!」ソースコードが超高値で売れたワケ:624th Lap

オークションでは、意外なものが思いもよらぬ金額で落札されることがある。先日、ある「ソースコード」がオークションに出品されて話題となった。しかも落札額は6億円という超高値だ。入札者が欲しがるのはワケがあった。

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 オークションが一般の人に広まったのは、インターネット普及以降のことだろう。特に「ヤフオク!」(旧「Yahoo!オークション」)の影響が大きいのではないだろうか。

 オークションには時に意外なものが出品されることもある。先日、ある「ソースコード」がオークションに出品され、大きな話題を呼んだ。落札額はなんと約6億円だという。

 単なるソースコードになぜそんな超高値が付いたのか?

 オークション業者サザビーズが2021年6月に、ティム・バーナーズ=リー氏が「世界初のWebブラウザ」をオークションに出品したと伝え、ネットで話題になった。

 世界初のWebブラウザとは、バーナーズ=リー氏が開発した「WorldWideWeb(WWW)」のことだ。「WWWはブラウザではなく、Webの仕組みでは?」と思うだろう。WWWは一般的に言う「インターネット」の象徴であり、「WWW=インターネット」と捉えている人も多いはずだ。

 そもそもWWWはバーナーズ=リー氏が発明したもので、HTMLで記述されたハイパーテキストを、Webブラウザで読めるようにした仕組みだ。WWWを初めて表示可能にしたのが、原初のWebブラウザ「WorldWideWeb」というわけだ。「WorldとWide」「WideとWeb」の間に空白がないものがWebブラウザだ。1990年12月に完成し、翌年8月に公開された。

 当初はあの「NeXT Computer」で開発され、WWWが動き出した1990年頃には、WebブラウザのWorldWideWebしか閲覧手段がなかったという。その後WorldWideWebはWWWとの混同を避けるために「Nexus」と名称が変更された。

 こうしてバーナーズ=リー氏が開発した「WorldWideWeb」のソースコードが、サザビーズに出品されたのだ。とはいえ、ソースコードを売りに出しても価値はあるのだろうか。

 その疑問を解決するのが「NFT」(Non-Fungible Token:非代替性トークン)だ。この仕組みは、ブロックチェーンによってデジタル資産が唯一無二であることを証明できる仕組みだ。バーナーズ=リー氏が開発したWorldWideWebは、NFTによって「唯一無二のデジタル作品」として認定された。だからこそオークションにかけられる価値があるのだ。

 WorldWideWebのソースコード(当時のタイムスタンプ付き)に加え、「コードを視覚化したもの」「バーナーズ=リー氏による解説文」「Pythonによって元のソースコードから作られたポスター」が付属して出品され、2021年6月23日に落札金額1000ドルからスタートしたオークションは2021年6月30日に無事落札。最終的な落札金額はなんと543万ドル(約5億9000万円)となった。

 世間的には「15世紀にドイツで発明された印刷機」に次ぐ発明とされるWorldWideWebだが、まさかこれほどの高値が付くとは驚きしかない。なおバーナーズ=リー氏は、落札金をチャリティーに寄付するとしている。

 これで歴史的ソースコードが後生まで語り継がれると思えば、「良いオークションだったのでは」と思われる。


上司X

上司X: ティム・バーナーズ=リー氏の「WorldWideWeb」がオークションに出品されて、6億円ぐらいで売れちゃった、という話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: WorldWideWebって「World Wide Web」とは別なんですね。なんともややこしい。


上司X

上司X: そこは否定できないな。


ブラックピット

ブラックピット: 世界初のブラウザがWorldWideWebで、いわゆる「www」がWorld Wide Web、っていう理解でいいんでしょうけど。


上司X

上司X: うん。当時のボキャブラリー不足というかね。WorldWideWebってネーミングすらたいしたもんだよ。特に「Web」てのがすごい。カッコイイ。


ブラックピット

ブラックピット: そうですね。もともとは「蜘蛛の巣」ですもんね。それが今や……しかし6億円って!


上司X

上司X: お、食いつくのが遅いね。まぁ、買う人がいるからそういう高値が付くんであって。


ブラックピット

ブラックピット: いったい誰が落札したんでしょう。そこは明らかにされていないんですね。いろいろな意味でスゴいなぁと思いますよ。それにしても6億円って。


上司X

上司X: 6億って2回言ったね(笑)。ソースコードは、突き詰めるとただの文字列が書かれたファイルだけど、NFTのおかげで唯一無二の「作品」として認められたわけだ。バーナーズ=リーの偉業にはそれぐらい価値があるという証左だし、今後もこういうことがあるかもしれないよ。俺たちもオークションに傷跡を残せるような人生を送ってみようじゃないか。な?

川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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