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RPA×APIが導くさらなる効率化への道──PCA 伊藤氏が語る、未来の仕事のあり方とは

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ビジネスシーンでの業務は往々にして分断されており、部門ごとの業務は個々に稼働しているものだ。専門性を持って業務に打ち込めるメリットがある一方で、その部門間の橋渡しにも工数が発生するのが一般的である。だが、それらの業務をシームレスに接続することができれば、業務削減を図ることができる。そうした業務間を連結するための手法が、API(アプリケーションプログラムインターフェース)というものだ。

このAPIは、単独で用いても橋渡し業務を削減できるが、近年、企業での導入が増えているRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と合わせて活用することにより、橋渡し業務のみならず、業務全体のさらなる効率化が実現する。そう提唱するのが、ピー・シー・エー株式会社(以下、PCA) 営業本部 戦略企画部 次長 伊藤真一郎氏だ。

本記事では、2018年6月13日(水)に東京都内にて開催されたPCA主催による『PCAフェス2018!クラウド&ソリューション in 東京』での『仕事の未来はどうなる? PCAクラウド「APIとRPAで実現する業務自動化のすすめ」』と題された、伊藤氏によるセッションをレポートする。

APIとRPAを活用すれば分断された業務をつなげられる

今、時代は労働人口の減少という大きな転換期を迎えている。そこで重要となるのが減少する労働力への対応である。そのためには、「経営者自身を含め、人々がより積極的にITを使えるデジタル社会を作って行く必要がある」と伊藤氏は指摘した。

伊藤氏は今後5年先の動向として、「働き方改革」「スマート社会への対応(ソサエティ5.0)」「新しいテクノロジー」の3つをキーワードとして挙げ、特に日本政府が掲げる、ソサエティ5.0「末来投資戦略」が重要になっていくと語った。

「未来投資戦略」とはIoTやAIなどをあらゆる産業や社会生活に取り入れ、さまざまな社会問題を解決するための取り組みである。「労働人口の減少の前に準備すべきことは、無駄の削減やリスクへの対応です。そのためには、販売管理や生産管理、メールなどが分断され個々にバラバラで動くのではなく、全部がつながって、流れるように作用しあう必要があります」と伊藤氏は語る。

伊藤氏は続けて、そのような分断されている業務をつなぐ役割を担うのがAPI(アプリケーションプログラムインターフェース)であり、RPAと合わせて活用することでシームレスな機能が実現すると語った。APIとは、機能の一部を、他のソフトやサービスでも簡単に利用できるようにするため、機能の呼び出しやデータの受け渡しなどの手順を定めたルールをいう。APIとRPAを活用し、オンプレからクラウドに移行することで、シームレスなデジタル社会の創造が可能になり、それこそがPCAが目指す未来であると語る。

1日かかる作業をRPAで約3分に短縮

PCAでは昨年1年間で社内ヒヤリングを行い、業務をPRAで自動化する取り組みを行ったという。その結果、RPAに適した業務の種類には、「定型業務」「大量データ(入力/チェック)」「繰り返し作業」「排他処理」「複数のシステムに同じ内容を転記」などがあると説明した。同社によるRPA導入事例は以下のようなものだ。

まずPCAの見積センターにて、保守契約更新にあたっての見積書の自動作成にRPAを導入した。同センターでは、ソフトウェアを利用している顧客に対する保守契約の更新案内を、代理店を通してアナウンスしている。その業務の手順は、2か月後に更新時期を迎える企業のリストを毎月作成し、CSVファイルをメールで各拠点に送信するというものだ。そして各拠点では、営業担当が見積を作成する企業としない企業を選別し、その回答をまたメールで送信。そのデータをもとに見積センターが手作業で見積書を作成するというフローで行われていた。この見積書入力作業にRPAを導入することで、熟練者であっても5時間を要していた作業を2時間に短縮できたという。


見積書入力作業にRPAを導入することで、作業時間が5時間から2時間に短縮された

そして経理部では、支払い経理承認の作業がRPAの導入対象となった。業務内容としては、顧客への支払い処理の際に、経理部が各拠点からの支払い申請を受領し、ワークフローシステム上で経理支払日の入力と最終承認の処理を行うというものだ。受領した時点ですでに支払い日が迫っていることも多くあるため、先にExcelで支払先一覧を作成し、支払い管理システムに投げた後に、ワークフローシステムに最終の支払い承認作業を送る、という別工程による作業を行っていた。そのワークフローシステム上では、毎月約500枚ある支払伝票を1件1件呼び出し手作業で承認していたため、1日かかる作業だったが、その承認作業をRPAで自動化したことにより3分強で終わらせることができるようになった。


1日がかりの支払い承認作業をRPAで自動化し、作業時間は約3分に短縮

さらに、経理部でのもうひとつの導入事例も紹介された。同社では全国で2000以上の口座取引があり、各取引先の発注をまとめたExcelの明細資料と、自社販売管理システムより出力したExcelの売上明細の資料に基づき確認の突合をするという一連の作業をすべて手作業で行っていた。これらの明細資料の作成から確認の突合作業までをすべてRPAに置き換え、自動的に処理するようにした。これにより、1取引先あたり約4時間かかっていた突合作業が3分30秒に改善された。


突合作業の自動化により、1取引先あたりの作業時間が約4時間から3分30秒に改善

これらの成果について伊藤氏は、「RPAを導入し、自動化を推進したおかげで、会計処理に伝票を打つことがなくなりました。他部門でも導入して自動化をしていく計画です」と、今後ますます拡大させていく展望も語った。

RPAとAPIを組み合わせればあらゆる展開が可能に

伊藤氏はこうした経験にもとづき、「請求書や納品書、毎月の決算書や管理帳票、給料明細などの出力といった、原始的な繰り返し作業はほとんどRPAで自動化できます」と語る。同社は、自社での導入成功の知見をもとに、パートナー企業に向けたRPAの提供を行っている。例えば販売管理ソフト「商魂」においては、請求書を発行する際に発行メニューを選び、出力指示をして請求書をプリントするという一連の作業が必要であったが、RPAで夜に処理するよう自動化の設定を行うことで、次の日に出社すると請求書ができている、という状態にすることも可能だ。

さらに、APIとRPAの組み合わせとして、クラウドサービス間連携(Web-API)を自動化させた事例も紹介された。現在、同社はPCAの商魂クラウド、サイボウズの業務改善プラットフォーム・kintone、ヤマト運輸のB2クラウド(送り状発行クラウドサービス)をつなげるサービスを展開している。これは、商魂で入力した受注と売上伝票をkintone経由でB2クラウドにAPIでつなげ、RPAによって、経理明細(元帳・試算表・管理会計系帳票)の自動出力や、仕訳明細の自動取り込み・他システムからの仕訳自動連係、連結決算(グループ会社決算)資料などを自動作成で処理することができるというものだ。これらはRPAとAPIの組み合わせの一例であり、アイディア次第であらゆるデジタルデータの壁をなくすことができると伊藤氏は語る。「皆様が想定できる業務シナリオを自分たちでも作りながら情報提供を行い、新たな仕事の未来を実現できるサービス展開をこれからも続けていきたい」と締めくくった。

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