Googleトップのドメインが気付かぬうちに売られて大騒動?:626th Lap
あのGoogleのトップページが気付かぬうちに一般ユーザーに売却されて大騒動になった。しかも激安価格で。そんなことってあり得るのか?
インターネット上の住所的な役割を担う「ドメイン」。企業やサービス事業社は独自のドメインを取得し、管理する。
なんとあのGoogleトップページのドメインを一般ユーザーが手に入れてしまい、大きな騒ぎとなった。一体、どのような方法で手に入れたのか?
この件は、南米各国の情報をカバーするニュースサイト「MercoPress」が2021年4月22日に報道し、世界へと拡散された。
Googleのドメインを“うっかり”手に入れてしまったのは、アルゼンチンに住むWebデザイナーのニコラス・クロナ氏だ。
クロナ氏は2021年4月21日、依頼を受けたWebサイトのデザインをしていたところ、メッセージアプリ「WhatsApp」で友人から「Googleのサイトがダウンしている」というメッセージを受け取った。
クロナ氏は試しに、アルゼンチンのGoogleのトップページ「www.google.com.ar」にアクセスしたところ、確かにサイトはダウンしていた。「これは何かある」と考えたクロナ氏は、アルゼンチンのccTLD(Country Code Top Level Domain:国別コードトップドメイン)「.ar」を管理するNIC Argentinaのサイトをチェックした。
すると、ドメイン「google.com.ar」の有効期限が2021年4月21日をもって切れていることが判明した。ドメインの有効期限が切れればそれは誰のものでもなくなり、誰でも購入できる。
クロナ氏は「まさか」と思いながらも、その場で「google.com.ar」ドメインの購入手続きをしたところ、購入できてしまったのだ。購入に関わる請求書もメールで送られてきたという。その価格は270ペソ(約590円)。そんなわずかな価格で、クロナ氏はGoogleのドメインを入手してしまった、
クロナ氏はNIC Argentinaのデータベースを確認して、確かに自分がgoogle.com.arの正式な所有者となっているこどに「固まってしまった」という。一方で、クロナ氏は特にサーバを立てたわけではないから「www.google.com.ar」にアクセスした人はサーバダウン状態のエラー画面を目にするばかりで、多くのユーザーがザワつく事態となった。
戸惑いつつもクロナ氏はTwitterで「google.com.arのドメインを買った」とツイートすると、多くのユーザーはそれに注目した。約8万もの「いいね」が付き、大きな騒ぎになってしまった。クロナ氏が「さてどうしたものか」と戸惑っていると、今度はNIC Argentinaから連絡がきた。
まさかGoogleが高額で買い戻すのかと思いきや、NIC Argentinaの説明によると、本来、ドメインの期限はもう少し先に設定されていて、なんらかのトラブルで3カ月前に期限切れのステータスになってしまったという。後に有志が調べたところ、ドメインの期限は2021年7月8日に設定されていたそうだ。
もちろん、Googleの担当者がドメイン更新を怠っていたわけではなく、同社に責任はない。全てNIC Argentinaにおける不慮の「事故」であるということで、クロナ氏のドメイン購入は無効となった。当然Googleからの買い戻し金はない。それどころか、クロナ氏が支払った270ペソの返金もなかったという。Googleの手に戻った「google.com.ar」は、程なくして通常の状態に戻ったそうだ。
クロナ氏にとってはなんとも貴重な経験だったわけだが、これについてGoogleは「調査中」というコメントを出すのみで、NIC Argentinaも特に事態を説明していないという。
なんとも不思議な出来事であったが、このニュースを耳にした多くの担当者は、自社のドメイン期限をいま一度確認したことだろう。もしあなたが担当者なら、念のためにドメインの期限をチェックした方がいいのではないだろうか。
上司X: Googleのドメインが他人の手に渡っていた、という話だよ。まぁ、一時的にだけど。
ブラックピット: ほんとに一瞬じゃないですか。でもGoogleにとっては肝を冷やす出来事だったでしょうね。
上司X: アルゼンチンでのドメインだったけど、それでもその国のトップだもんな。日本だったら「google.co.jp」が誰かに取られちゃった状態だ。
ブラックピット: そりゃビックリしますよね。しかしGoogleのドメインを取れたら取れたでビックリするでしょうけど。
上司X: まあ普通はドメインが失効しても、レジストラが猶予期間を設定しているはずだから、切れからといってすぐ買うのも難しいと思うけどな。
ブラックピット: まあ何かトラブルがあったんでしょうね、やっぱり。
上司X: そうなんだろうな。「何か」は不明だけどな。こうウヤムヤな感じで収まって、Googleはノーダメージで、まあ良かったね、というところだろうか。それにしても、せめて270ペソは返してやれよとは思うけどな。
ブラックピット: 確かにそうですね。でも、Googleが買い戻しのお金を払うようなハメになっていたらもっと面白い事態になっていたんじゃないかな、なんて思ったりもするんですけどね。
上司X: 面白がるんじゃないよ。最近はあまり耳にしなくなったけどドメインの乗っ取りとか転売は時々起こるからな。レジストラの方も今回の件の原因を究明しておかないと、後々大きなトラブルになるかもな。
ブラックピット(本名非公開)
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
上司X(本名なぜか非公開)
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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