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フリック入力なんてもう古い これからは「思考入力」の時代?:627th Lap

予測変換などの入力補助機能でスマホやPCへの文字入力の負担は軽減された。しかし、今ではそうした便利機能に慣れてしまい、もっと簡単に文字を入力できる方法はないかと考えてしまう。もう手入力なんて必要ない「思考入力」が現実のものになろうとしているようだ。

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 電車や街中で、超高速でスマートフォンに文字を入力している人を目にすると、その素早さに感嘆してしまう。頭の中で思い描いた言葉がそのままデバイスに入力されたら……とSF映画に出てきそうな技術に期待する人もいるのではないだろうか。

 その期待がもしかしたら現実のものになるかもしれない。夢に見た「思考入力」「思考操作」が可能になりそうだということが専門誌で取り上げられた。

 なかなか信じ難い話だが、それってホントなの?

 米国ハワード・ヒューズ医学研究所の研究チームが「思考」によるタイピングの実験を行い、その結果が論文として2021年5月12日に科学ジャーナル「Nature」で発表された。

 研究チームが試みたのは、「頭の中でイメージした手書き文字」をコンピュータの画面に出力するというもの。研究チームは、手足を動かせず物理的にキーボードやそれに類するデバイスを操作することが困難な人にとって、コミュニケーション手段の一つになる可能性があるとして研究に取り組んできた。

 研究チームは首から下が思うように動かせない人に協力を仰ぎ、実験を行った。被験者の脳の運動前野には、脳波を受信するインプラントが2基埋め込まれている。

 被験者に「自身が紙の前でペンを握っている様子」をイメージしてもらい、イメージの中でペンを使って紙に書く、その行為を強く意識することで脳内で文字を書くときに脳波が発現しやすくなるのだという。それをインプラントが拾い上げてコンピュータに送信し、特殊なアルゴリズムによって文字を判別し、デコードして出力する。

 実験では1分当たり約90文字を出力できたという。思考と文字表示の遅延もわずか0.5秒ほどで、エラー率は約5%、オートコレクト機能を使えばエラー率は1%ほどに低減でき、十分に実用可能性があるようだ。

 研究チームは同様の研究で、被験者に画面に表示されたキーボードを見せ、イメージでカーソルを動かしてタイプする実験も行ったところ、文字入力数は1分当たり約25文字だった。この結果から考えると、イメージによる文字入力では、カーソル移動よりも「手書き」をイメージする方が効率が良いということが分かる。

 ポイントはインプラントが運動前野に埋め込まれているということだ。運動前野で被験者が運動を実行しようとする「意志」「意図」が脳波として検知されていると研究チームは考える。

 この実験の模様については、Tech系サイト「Ars Technica」の記事で取り上げられ、記事では「思考タイピング」の動画も公開された。

 なお、発表時の文字化の精度は94%で、質疑応答のようなやりとりをしつつ文字を入力すると、スピードがやや低下して1分当たり約75文字ぐらいの出力になり、わずかにエラー率も上がるという。また今のところこの被験者1人に対して開発されたプロトタイプシステムであり、他の人にも対応できるものかどうかは、現時点では不明だという。脳内にインプラントを埋め込む必要がある点もハードルになり得る。

 しかしながら、自身の身体を使ってコミュニケーションを図るのが難しい人にとっては一筋の光明となるだろう。ぜひ実現化してもらいたいものだ。そして将来は、スマホにも標準搭載されるほどの身近な技術になることを願うばかりだ。


上司X

上司X: 脳で考えるだけで文字を入力できるシステムが実現化しつつある、という話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: なるほどね。「頭の中で文字を書く」というのがいいじゃないですか!


上司X

上司X: そうだな。身体を動かすことをイメージすることによって出される脳波を拾うというアイデアは面白い。


ブラックピット

ブラックピット: 新たなコミュニケーション手段ですよね。これは、他のことにも転用できるかもしれませんね。腕を動かすイメージでロボットアームを動かすとかもできそう。


上司X

上司X: それは、もう実現できているんじゃないか。


ブラックピット

ブラックピット: そうですよねぇ。僕ごときのアイデアを、研究チームの皆さんがトライしていないわけないというね。


上司X

上司X: まぁ、そう卑屈になるなよ。俺なんてそもそも自分のキー入力が遅いことを理由にいろいろ調べてこのニュースを見つけたぐらいだしな。


ブラックピット

ブラックピット: ふふ、まあそうですね。動機がいかにも……。まぁそれはいいとして、いずれは脳内インプラントなんかもなしで、みんな思考だけでスイスイと文字入力できるようになるかもしれません。思考がダダ漏れしないように気を付けないといけないかもしれませんが……。


上司X

上司X: ははは、確かにキミみたいにいつも妄想しているとそれが文字で漏れる可能性もあるな。まだだいぶ先のことだろうが、今はただこの新技術が、コミュニケーションが困難な人の力になってくれることを願うばかりだよ。

川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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