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リモートワークを導入できない企業は何が“やばい”のか、成功企業が得るもの

コロナ禍で従業員の働き方に対する意識が変化し、新しい人材を採用することが困難な傾向にある。この逆境を切り抜け、優秀な人材をひき付ける企業にはある特徴がある。

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HR Dive

 現在は企業にとって奇妙な時代だ。よく耳にするのは、「仕事はあるが、人材が見つからず、どうすればいいのか分からない」という言葉だ。新型コロナウイルス(COVID-19)が市場に大きな打撃を与えた前例のない15カ月を経た後、景気回復の兆しが見えてきた。しかし、労働者が自分のキャリアの選択を再考し、一部の従業員が職場を去ることで、企業は新たに従業員を採用することが難しいと感じている。雇用主は、この新しい世界に適応し、取り残されないために必死になっている。

 新型コロナウイルスのパンデミックの結果、職場は永久に変わったと感じるかもしれないが、実際には、進化はかなり前から起きていた。パンデミックは単に影響を加速させたにすぎない。機敏で創造力のある雇用主は、最も優秀で才能のある人材をひきつける。

 成功するリーダーは、今日の労働者が自分の職場を過去と違った目で見ていることを認識しなければならない。求職者は今、彼らが新たに知るようになった文化的規範を反映した職場を望んでいる。成功する企業は、従来の偏見を排除し、多様性が育つ健康的で柔軟な職場を促進するためのルールとシステムを構築している。これらの企業は、パンデミック、人口動態の変化、テクノロジーの使用の増加など、コントロールできないイベントによって引き起こされる混乱に適応するだけでなく、それを受け入れることができる。

 雇用主は優れた人材がいる場所を積極的に探す必要がある。障がい者の採用を考えてみるとよい。最も多様性のある企業でさえ、障がい者の採用は見過ごされがちだ。歴史的に黒人の多い大学での採用に力を入れるべきだ。LGBTQコミュニティーのメンバーが集まる「Lavender Law Conference and Career Fair」を利用するとよい。ミレニアル世代とZ世代にリーチするには、ソーシャルメディアとオンライン求人掲示板を最大限に活用する。つまり、多様で広大な人材プールを活用することが重要だ。

 しかし、熟練した労働力も見落としてはならない。例えば、年配の従業員を対象とした「リターンシップ」の導入や、経験豊富な従業員と若い従業員を組み合わせたメンタリングプログラムの導入により、両グループのモチベーションが高まり、生産性が向上することが分かっている。

 多様な働き方を推奨するギグエコノミーの成長とその職場への影響を無視してはならない。ギグエコノミーは大不況の中で爆発的に広まり、アメリカの労働力を大きく変えた。今日、アメリカ人の3分の1以上が何らかの形で仕事に参加していると報告しており、35歳未満の成人の49%が「ギグ」な働き方をしている。ギグワークには確かに賛否両論がある。「従業員」であることの本当の意味を定義するのに議員や裁判所が苦労しているため、この問題は継続的な論争になると思われる。しかし企業は、特に若者の間で、ギグで働くことに魅力を感じている人が多い実情を無視するわけにはいかない。

 ギグワークのより厳しい現実(従業員が享受する福利厚生や受給権保護の欠如)にもかかわらず、若者たちはこの働き方にますます魅了され、切望している。若い労働者たちは、自分で時間を設定したり、遠隔地から出勤したり、家族の用事のために特に急に休暇を取れることを好む。この柔軟性を提供できる企業は、将来繁栄する企業だ。「定職」が提供できる経済的安定と、ギグワークに伴う自由な感覚の両方のメリットを、従業員に提供することがポイントだ。

 そこで、リモートワークが有効になる。コロナ禍により、多くの職場でこれをリアルタイムで試す必要があった。多くの場合、結果は良好だった。以前はそのようなポリシーを提供することをためらっていた企業は、生産性が急上昇するのを見て驚いた。在宅勤務がうまくいくと、従業員の生産性、創造性、士気を向上させられる。

 完全なリモートワークは現実的でなく、実用的でもないことがよくあるが、雇用主は何らかの形のハイブリッドワークの柔軟性を提供することで有能な人材をひきつけられる。若い従業員が望む一番のこと、つまり仕事と生活の統合を常に念頭に置くべきだ。ある調査によると、回答者の4分の1近くが、仕事を選択する際に考慮する最も重要な要素は、社内での昇進よりも、柔軟性、専門能力の開発または福利厚生だという。職場の文化を形成する際には、この真実を全ての意思決定に反映するべきだ。

 従業員が不定期または常にリモートで勤務できるようにすることを推奨する。在宅勤務は、従業員に柔軟性を与える唯一かつ最大の要因だ。多くの場合、リモートワークによって、長時間の通勤(交通費もかかる)、育児のジレンマ、学校の保護者面談のキャンセルなどが解消される。しかし、仕事に何が必要かを正直に伝えることは必要だ。リモートワークに伴う制度が有効な場合は言うことはないが、うまく機能しない場合にそれを放置すると、長期的には雇用主と従業員の両方が不幸になる。多くの場合、ハイブリッドワークが良い解決策になる。

 原因がパンデミックであっても、社会の大規模かつ急速な変化であっても、企業は人材獲得の競争に勝つために変化に対応する必要がある。過去1年間のように、ビジネスが中断されたことは今までになかった。混乱の先手を打とうとする企業は、創造的な戦略を使用し、優秀な人材をひきつけて採用するために柔軟に対応しなければならない。それが可能になれば業績も上がるだろう。

 執筆者であるリック・グリマルディ氏は、労働、雇用、公民権、従業員福利厚生、移民法の分野でのみ経営陣を代表する米国大手の法律事務所であるFisher Phillipsのパートナーであり、『フレックス:アメリカの職場で機動力を維持し、変革を成し遂げるためのリーダーズガイド』(原題:FLEX: A Leader's Guide to Staying Nimble and Mastering Transformative Change in the American Workplace)の著者。本稿の見解は著者自身のものだ。


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