9月14日にITベンダーのPayscaleが682人を対象にしたフィールド調査の結果を発表した。レポートによると、81%の企業がリモートワーク従業員に特化した給与戦略を設けていないという。さらに約70%の企業は、雇用主や従業員の所在地などの要因に基づいて給与を決定しているか、または所在地による給与体系と所在地を考慮しない給与体系を混合した戦略を採っているかのどちらかだった。約30%の企業は「どちらともいえない」と回答した。
調査対象の企業は、リモートワーカーの賃金を下げることをためらう傾向があり、69%が在宅勤務者の賃金を下げる予定はないと答えた。同様に、62%は将来雇用するリモートワーカーの賃金を下げる予定はないと回答している。だが、リモートワーカーに対する給与戦略は業界によって異なる。
Payscaleによると、テクノロジーセクターの企業は、従業員の居住地に基づいて報酬を支払う傾向があるが、コンサルタント企業は、会社の所在地または全国の中央値に基づいて報酬を支払う計画があると回答した。また、グローバル企業は従業員の居住地に基づいて報酬を支払うことが多いという。なお、グローバル企業は多くの地域における給与体系を考慮しなければならないため、通常は大規模な報酬チームを組織して正確なアプローチを取れるようにしている。
家賃が下がれば給料も下がる、Facebookの給与戦略
2020年に企業が従業員をリモートワークに切り替えた際、誰もが「これからもリモートワークが続くのか?」という疑問を抱いた。パンデミックが拡大し、従業員が新たな制度に適応するにつれて、その答えが明らかになった。
リモートワークは、柔軟な働き方を可能にするものとしてあらゆる職種で期待されている。従業員は、リモートワークなどの職場環境に関する柔軟な選択肢がない仕事に魅力を感じないと述べている。
しかし、従業員が長期にわたり自宅で仕事を続けることで、雇用側は幾つかの課題を抱えることになる。報酬に関する課題は最も差し迫ったものだ。Facebookは、従業員の大多数が在宅勤務を望んでおり、従業員の居住地に基づいて賃金を調整している。サンフランシスコのベイエリアからミシガン州のカラマズーに引っ越した場合、企業はその従業員の賃金を下げることになる。
Payscaleの調査が示すように、全ての企業がこの選択をするわけではない。PayscaleのCHRO(最高人事責任者)、 シェリー・ホルト氏は「リモートワークや職場の柔軟性を高めるための給与戦略には多くの方法が考えられますが、有能な人材を求める企業が差別化を図るには、ユニークなソリューションが必要です。しかし、本当に重要なのは報酬プログラムに競争力と一貫性があり、公正であることです」と述べている。
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