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電帳法とは? 令和3年度改正の背景と対応ポイントを解説IT用語3分リーディング

デジタル化とオフィス分散を背景に要件が緩和され、これまでシステム化が難しかった中小企業でも業務の効率化や生産性の向上が図れるようになる。

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  • 令和4年度の主な改正点
  • 対応のポイント
  • 関連用語

 電子帳簿保存法(以下、電帳法)とは、国税関係の帳簿をデータで保存する際の要件を定めた法律を指す。

 令和3年度改正では、税務署長の事前承認制度の廃止や検討要件の緩和、クラウドサービス活用の推進などが盛り込まれた。

令和3年度の主な改正点

 DXの推進により官民でペーパーレス化や経理業務のデジタル化が進んでいる。令和3年度改正はそれを後押ししつつ記帳水準の向上を図るものだ。これまで電子化が遅れがちだった中小規模の企業をターゲットに保管のハードルを下げ、一方で不正に対してのペナルティは強化した。

 令和4年度の改正では、これまで帳票の電子保存に際して必要だった税務署長の事前承認を不要とする。また、要件を満たしたシステムにインセンティブを付与して導入を奨励する。書類の入力時に義務付けられていた相互けん制や定期検査の体制(適正事務処理要件)を廃止する。電子取引に関する帳票はデータでの保管を義務化する。「紙とデジタルが混在するなら紙で一元管理する」という状況から、デジタル管理を標準にする狙いがある。

 一部の文書に関しては、改ざんや隠ぺいに対しては重加算税のペナルティが課せられる。不正を排除して適正な保存と会計処理ができる仕組みの構築が求められる。

対応のポイント

 電帳法は1998年の施行以来、社会情勢に合わせて改正が続いている。今後もビジネスのデジタル化に向けた改正が予想されるため、柔軟に対応できるシステムの利用が有効だ。

 昨今の急速なオフィス分散を背景としたモバイル端末とクラウドサービスの利用ニーズに対応して証拠書類のスキャナ保存の要件が緩和され、データの訂正や削除履歴が残せるクラウドサービスを利用していれば、これまで必要だったタイムスタンプの付与や原本との照合といった事務作業も不要になった。

 要件を満たしたクラウドサービスを導入すれば、例えば「従業員がモバイル端末で領収書を撮影しクラウドにアップして原本は廃棄する。画像から情報を抽出して電帳法対応の会計システムと連携する」といった運用が可能になり、事務負担を大幅に軽減できる。

 一方で、不正があった際の罰則が強化され、法令をより厳格に順守することが求められる。電子取引情報を書面に出力して保存することは禁じられるため、新たに電子保存するための仕組みが必要だ。

関連用語

 税務や会計分野は頻繁に法改正があり、その都度対応するシステムやサービスが発表される。以下では昨今の会計関連で取り上げられる用語との関係を解説する。

IFRS(国際会計基準)との関係

 IFRSはIASB(国際会計基準審議会)がFASB(米国財務会計基準審議会)と開発した会計基準で、日本ではこれを取り入れた会計基準「収益認識に関する会計基準」が開発された。同基準は令和2年4月より適用され、電帳法改正対応とあわせてシステム移行する際の検討材料の一つとなっている。

インボイス制度との関係

 インボイス制度は仕入税額控除を受ける際に仕入先からの適格請求書(インボイス)を必要とする制度だ。これが電子インボイスとしてメールなどのデータで発行された場合、事業者は電帳法に則って保存する必要がある。そのため、適格請求書事業者との取引を行う際には電帳法への対応が必要となる。

SaaSとの関係

 電帳法対応のクラウド型会計SaaSを利用すれば、帳簿類の保存要件を満たすとともに、アップロードされた証拠書類の訂正や削除履歴を客観的に証明できる。導入によって現在の業務の負荷軽減と将来的な改正への対応が期待できる。

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