2022年のペーパーレス化予算調査 いまだ残る“紙業務”の課題とは
「ペーパーレス化に伴う2022年度予算」に関する調査結果によると、2021年度に社内のペーパーレスを推進した企業の割合は約7割に上った。その一方で社内ではいまだ残存する“紙業務”が課題となっているようだ。
企業の経理や総務、法務領域のペーパーレス化を支援するペーパーロジックは2021年12月27日、「ペーパーレス化に伴う2022年度予算」に関する調査結果を発表した。同調査は同月13〜15日まで、東京に本社がある企業の経営者や役員105人を対象として実施した。
2022年1月には、経理手続きなど従来の紙業務のデジタル化を推進するために書類の電子保存におけるルールなどを定めた「改正電子帳簿保存法」も施行されるが、各企業のペーパーレス化の現在地はどうなっているのだろうか。
7割の企業がペーパーレス化に取り組むも紙の課題が多く残る結果
調査結果によると、2021年度に社内のペーパーレス推進を実施したかどうかについて「積極的に行った」と回答した割合が31.3%、「ある程度行った」が41.0%となり、合計で72.3%の企業がペーパーレス化を推進していることが分かった。
「積極的に行った」または「ある程度行った」と回答した人に、ペーパーレス化を進めるために導入したシステムを複数回答で聞くと、「電子ワークフロー(稟議書・申請書など)」と回答した割合が71.1%、「勤怠管理システム」が65.8%、「経費精算システム」が61.8%、「見積書・請求書発行システム」が56.6%、「電子契約(一部導入を含む)」が51.3%だった。
社内でペーパーレスを推進した理由では、「新型コロナウイルス感染症の影響によるリモートワークへの対応」や「SDGs(Sustainable Development Goals)への取り組み」などが挙がった。
2021年度にペーパーレス化を進めた企業に、2022年度のペーパーレス化システム導入に向けた予算配分を聞くと、「予定している」と回答した割合は36.8%、「検討している」は38.2%だった。これに対して2021年度にペーパーレスを推進していない企業では、その約6割が2022年度にペーパーレス化システム導入のための予算配分を予定も検討もしていなかった。
解決できていない“紙の課題”とは
一方、2021年度にペーパーレスを推進した企業の割合は72.3%に上っているにもかかわらず、現在、社内でペーパーレスが「非常に感じる」と回答した割合は31.4%、「少し感じる」は46.7%となり、約8割がいまだ社内でペーパーレスに関する課題を感じていることが分かった。
具体的に、ペーパーレスに関する課題を感じる場面を聞くと、「紙により無駄なコストがかかっている」(59.8%)、「紙によって業務が非効率になっている」(50.0%)、「セキュリティ上紛失や情報漏えいのリスクがある」(35.4%)との回答がトップ3だった(複数回答)。
ペーパーロジックは、今後もテレワークが継続することや、各所でSDGsの取り組みが進むことなどから、企業のペーパーレス化への意識はより一層高まると予測する。ただ、今回の調査では、コスト面での課題を挙げた声が多いとしており、システムやサービスを慎重に吟味する必要があると指摘している。
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