フィンランドのセキュリティ企業エフセキュアは2022年2月10日、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として浸透したテレワークが、人々にとって“デジタル不安”を増大させる原因になっている」という調査結果を発表した。同調査は、日本とブラジル、フランス、ドイツ、メキシコ、オランダ、スウェーデン、英国、米国の9カ国で、各国800人を対象に実施したものだ。
調査結果によると、自宅でテレワークしている人の3分の2が“デジタル不安”を感じていることが分かり、これはオフィス勤務者よりも高い結果となった。
デジタル不安とは? なぜテレワーカーはデジタルへの懸念を強めているのか
デジタル不安とは、実際には何も問題が起きていないにもかかわらず、オンライン上のセキュリティやプライバシーについて懸念を持っている状態を指す。調査結果ではテレワーカーの67%がデジタル不安を感じており、オフィス勤務者の58%と比較して高い数値を示す結果となった。
英国のノッティンガム・トレント大学のサイバー心理学上級講師で、従業員のサイバーセキュリティ対策順守などを研究テーマとしているリー・ハドリントン博士(Dr. Lee Hadlington)によると、人々が急にテレワークに移行したことで、オンライン上の脅威に対する不安が高まったことは理にかなっているという。
「オフィス勤務時のサイバーセキュリティは会社の誰かが責任を負うべきもので、自分にとっては二の次だと考えていた。コロナ禍によって人々は孤立し、ほとんど何の準備も、トレーニングも、適切な設備も与えられないまま、テレワークという『ニューノーマル』に直面した。多くの人がアクセスできる唯一のものであるインターネットへの依存度が高まった。テレワーカーの多くは自宅の仕事環境が理想的ではない。作業スペースの確保やインターネット接続環境、IT関連の知識の欠如といった問題を抱えている中、サイバーセキュリティ関連のネガティブなニュースを目にする機会が多い場合には、セキュリティリスクへの不安が高まる」(ハドリントン氏)
調査結果によると、全ての回答者がレベルの違いはあるものの、オンラインセキュリティやプライバシーに関して懸念を抱いていた。ただ、オフィス勤務者に比べてテレワーカーは、次の点について懸念を抱いている人の割合が高かったという。
- 「インターネットがより危険な場所になってきていると感じ、インターネットの利用習慣を変えた」と回答した人の割合は、オフィス勤務者の54%に対してテレワーカーは65%
- 「最近数カ月でデータのプライバシーに関する懸念が高まり、インターネットの利用習慣を変えた」は、オフィス勤務者の48%に対してテレワーカーは63%
- 「インターネットに接続している自分の機器が、ウイルスやマルウェアに感染したり、ハッキングされたりしないか不安」は、オフィス勤務者の64%に対してテレワーカーは71%
- 「セキュリティ上のリスクを考えると、公共のWi-Fiに接続することに強い抵抗を感じるようになった」はオフィス勤務者の63%に対してテレワーカーは70%
調査結果を受け、エフセキュアのセキュリティコンサルタントであるトム・ガフニー氏(Tom Gaffney)は、「自宅で仕事をする際、自分自身とプライバシーを守るために、デバイスとソフトウェアを常に最新の状態にアップデートしておくこと、個人のデバイスにセキュリティソフトウェアがインストールされていることを確認すること、そしてその他の基本的な情報セキュリティ対策をすべきだろう。さらに、プライベートと仕事のオンライン活動を分けて考えることは、これらの対策と同じくらい重要だ。各デバイスでどの時間帯に何をするかの線引きをすることは、デジタル不安を解消するために不可欠な方法だ」と話す。
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