「メタバースってただのブームでしょ?」と言っていられない4年後の世界:649th Lap
現実とは異なる仮想空間で人々と会話したり遊んだりできる「メタバース」。4年後には、われわれの生活にも大きく関わる可能性があるという。
「Meta」に社名変更した旧Facebookをはじめ、MicrosoftやAppleなど、メタバースに参入する企業が増え始めた。メタバースとは現実と異なる仮想空間のことで、そこで他人とコミュニケーションを取ったり遊んだり、仕事や買い物を可能にする。
「自分とは無関係だ」と思う人もいるかもしれないが、どうやらそうでもなさそうだ。メタバースの“未来予想図”が発表された。今後、われわれにどのような影響をもたらすのだろうか?
メタバースという言葉が独り歩きして話題になっているが、その仕組み自体は十数年前から存在する。2005年前後に大きな話題を呼んだ「Second life」がその走りとされる。マルチプレイゲーム「Fortnite」や「Minecraft」もメタバースの一種だという考えもある。
Gartnerが2022年2月7日に発表したプレスリリース「メタバースに関する展望」によると、「2026年までに、人々の4分の1は、1日1時間以上をメタバースで過ごすようになる」という。
Gartnerのバイスプレジデントであるマーティ・レズニック氏は、「メタバース世界の構築は既に進んでおり、仮想授業への出席やバーチャル空間での土地購入、住宅建築などは現在は別々に行われているが、将来は単一の環境で行われるだろう」と述べる。同氏はメタバースがフレームワーク化され、特定のベンダーの持ち物ではなくなると予想する。
メタバース空間では、デジタル通貨とNFT(非代替トークン)によって経済圏が形成され、消費者が集うさまざまなビジネスに影響を与えると考えられている。さらにメタバースは働き方にも影響を与えるとされる。レズニック氏は「オフィスを導入し、従業員がそこで“働く”ことで、より良いワークスタイルやコミュニケーション手段が得られる」とも主張する。
また、コロナ禍でリアルイベントに代わってオンラインイベントが盛況を見せたが、同様のイベントが今後はメタバース空間で行われ、参加者に没入感を与えることで人気を博するだろうとも考えられている。
レズニック氏は「2026年までに世界の企業や組織の30%がメタバースに対応した製品やサービスを持つようになる」と主張した上で、メタバースを取り巻くこうした状況から「2026年までに、人々の25%は仕事やショッピング、教育、ソーシャル、エンターテインメントに1日1時間以上をメタバースで過ごすようになる」と語る。
本当にそこまでドラスチックな変化が訪れるのかという疑問もあるが、今後のメタバースの展開を注視していきたいものだ。
上司X: 最近よく耳にする「メタバース」。なんでも2026年には人類の4分の1が1日1時間以上をメタバース空間で過ごすようになるのだそうだ。
ブラックピット: はーそうですか。実現化されたらあらためて評価させていただきますよ。
上司X: ずいぶんとさめた反応じゃないか。
ブラックピット: 冷静なだけです。今までMMORPG(Massively Multiplayer Online Role Playing Game)やFPSゲームをやっていた層にとっては、別世界でアバターを操作して「これがメタバースだ!」と言われてもピンとこないといいますか……。ちなみにセカンドライフはリリースから15年以上たった今も運営されていますけど、特段はやっている感じでもないですけどね。
上司X: セカンドライフは早すぎたメタバースなんだよ。これから新しいメタバースプラットフォームが登場して盛り上がるかも。ほら、没入感とかマシマシで今後は!
ブラックピット: あ、それそれ、メタバースについてネットで見ると、皆さんVRゴーグルとかつけちゃってますけど。ゴーグル必須で「没入感マシマシ」とか言われても……。PCから離れてスマホにどっぷりのZ世代が、わざわざゴーグルつけてバーチャルにダイブしますかねえ?
上司X: もう! せっかく盛り上がってるのにあまりネガティブな発言はしないでおくれよ!
ブラックピット: ネガティブじゃなくて冷静に観察しているんですってば。いずれ毎日必ずメタバース空間に訪れるようなことになるんでしょ? そうなったら、あらためてガッツリ利用させていただきますって。ああ楽しみだなあ。
上司X: そうかそうか。最期のせりふがやや棒読みなのは気にならないでもないが。ともかくだ、メタバースが開花するのは時間の問題だ。いずれ俺たちもバーチャル世界へ日参することになったら、たっぷり使い倒していこうじゃないか。
ブラックピット(本名非公開)
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
上司X(本名なぜか非公開)
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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