「ギリギリまでWin 10を使い倒す」ユーザーが語るWindows 11のぶっちゃけ話
「Windows 10」のリリース当時を振り返ると、サポート終了半年前になってもなお「Windows XP」を使い続ける企業が多く、総務省が注意喚起をしたほどだ。2021年10月にリリースされたばかりの「Windows 11」も同じ道をたどるのだろうか。
キーマンズネット編集部は2022年に注目すべきトピックスとして「セキュリティ」「SaaS」「従業員コミュニケーション」「Windows 11」「オフィス」「デジタルスキル」「人事制度」の7つのトピックスを抽出し、読者調査を実施した(実施期間:2021年11月10日〜12月11日、有効回答数678件)。企業における2022年のIT投資意向と併せて調査結果を全8回でお届けする。
今回のテーマは、「Windows 11」だ。
調査サマリー
- 既存OSのサポート終了までは「Windows 11に移行しない」が多数派
- 認知している変更点は「スタートメニュー一の変更」「Androidアプリのサポート」
- OSアップグレードを見据えたクライアントPCのリプレース、新規調達は「予定なし」が最多
Microsoftは2021年10月5日(現地時間)に「Windows 11」をリリースした。「Windows 10」のリリース以来6年ぶりのメジャーアップデートであったものの、ネットからは賛否の声が聞かれた。リリースから半年が経過した現在、企業はWindows 11をどう捉え、今後の対応をどう考えているのだろうか。
気になるのは消えた「Cortana」よりもAndroidアプリ
本稿公開時点ではWindows 10の延長サポート終了は2025年10月とされている。まだ3年間の猶予があり、OSのアップグレードタイミングをどう考えるかが悩ましいところだ。
アンケート回答時期(2021年11月10日〜12月11日)時点で勤務先におけるWindows 11への移行方針を尋ねたところ、「既存のOSのサポートが切れるまでは移行しない」が36.6%と、3割強が延長サポート間際までは現OSを使い続ける考えを示した。次いで、「移行する予定はない」が30.4%で、「まだ定かではないが移行の予定があるとした割合は24.3%だった。
UIの刷新とともに「Microsoft Teams」や「Power Automate for Desktop」といった機能がWindows 11に最適化された形でOSに統合され、Microsoftはアフターコロナの新たな働き方を見据えたOSとしてWindows 11を発表した。既存機能の強化や新機能の追加など、随所に変更、改善点が見られるが、こうしたWindows 10との変更点はどの程度認知されているのだろうか。
Windows10との変更点について、主要12項目のうち認知しているものを選択方式(複数回答可)で聞いたところ図2の並びとなった。
今回はUIが刷新されたこともあり「スタートメニューの位置が変更になった」(61.1%)が最も多くの票を得た。長年Windowsの標準OSとして使われてきた「Internet Explorer」のサポートが2022年6月16日(日本時間)に終了することからブラウザへの注目も集まり、「Microsoft Edgeが標準ブラウザになった」(50.4%)が2番目に高い割合を示した。
Windows 10の目玉機能の一つであったAIアシスタントの「Cortanaがタスクバーから消えた」は26.8%と12項目のうち8番目に位置し、他項目の割合と比較すると今回の調査では大きなインパクトとしては捉えられていないとみられる。
「Androidアプリは動くけど……」Win 11の率直な評価
日本マイクロソフトのニュースリリースでは「Windows 11はハイブリッドワークのためのOS」「生産性をより高め、創造性を刺激する」と表現されるが、ユーザーはどのような所感を持っているのだろうか。
既に触れたことがある人もそうでない人に対しても、Windows 11の「便利そうだと感じる点」「不便そうだと感じる点」について率直な意見を聞いた。
便利そうだと感じる点は、AndroidアプリがOSにネイティブ対応した点に回答が集中した。また、Internet Explorerのサポート終了については賛否はあるが、「Microsoft Edgeが標準化されることでIE(に依存したシスシステム)の運用がなくなることが期待できる」といった声も少数ではあるが寄せられた。
便利だと感じる点
- Androidアプリが動作するようになったこと
- コラボレーションツールが強化したこと
- セキュリティ機能が向上したこと
- 更新が年2回から1回になったこと
- スタートメニューとタスクバーの変更
不便そうだと感じる点については、インストール時のハードウェア要件に関するコメントが目立った。問題なく利用できている旧型のPCも、OSアップグレードの際はやむなくリプレースせざるを得ないといった、要件対応への手間や不満の声が聞かれた。また、便利な点とされていたAndroidアプリのサポートについても「従業員が会社指定外のAndroidアプリを入れないよう監視する必要があり、管理の手間が増える」といった声もあった。
不便そうだと感じる点
- CPUなどハードウェアに求めるものが高い
- TPM2.0対応のPC調達が必須となる
- 既存のPCでは利用できない場合もある
- スタートメニューのタイル表示が廃止になったこと
- レガシーアプリが使えない可能性が高いこと
- Androidアプリが動作することで、かえって管理面の手間が増える
- 大型アップデートがなくならないこと
- UIが変わったためWindows 10/11が混在する時に、サポートにおける説明が煩雑(はんざつ)になる
PC買い換える? 買い換えない? ハード要件対応の今後の予定
ここまでで触れてきたUIの刷新や機能追加以外に、インストールに必要な最小要件が変更されたことも大きな点だ。特に目立った点としてセキュリティチップの「TPM.2.0」(Trusted Platform Module 2.0)が必須要件に加わったことがある。
一般的に業務用PCのリプレースサイクルは4〜5年といったところだが、PCによっては要件を満たせず、Windows 11へのアップグレードに伴ってPCリプレースの検討が必要なケースもある。そこで、Windows 11への移行を見据えて今後PCの新規調達およびリプレースを検討する予定があるかどうかを尋ねた。
「予定はない」が大多数を占め57.2%、「検討している」は28.9%、「予定している」は5.8%にとどまる結果となった(図3)。
Windows 11への移行は「する」「しない」の二択ではなく、旧型のPCは当面Windows 10を使い続け、一部をアップグレードするといった「OSの混在」という選択肢もある。一気に新OSに対応させるのではなく段階的に検討を考える組織もあるためか、今回の調査ではPCのリプレースを予定しないとした声が半数以上を占めた。
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