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リスキリングとは? 注目の背景やリカレント教育との違い、何を学ぶか、事例を解説

変化の速い時代において、既存の人材の再教育が注目される。企業文化を守り、自社の強みを生かしたままビジネスニーズや社会の変化に対応できる人材を育てる仕組みとは。

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サマリー

  • 注目の背景、リカレント教育との違い
  • 企業がリスキリングに取り組むメリット
  • リスキリングの事例4社

 リスキリングとは「学び直し」を意味し、社会人が就業を続けながら新たなスキルや知識を得る取り組みを指す。

 2020年1月に開催された世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)において2030年までに10億人のリスキルが提唱され(リスキリング革命)、世界的にも注目を集める。

注目の背景、リカレント教育との違い

 リスキリングが注目される背景には「技術的失業」への懸念がある。経済産業省や厚生労働省などの研究によれば、近年のデジタル技術の急速な発展によってバックオフィス業務やルーティン業務、ホワイトカラーの仕事が消失する。経済産業省は2017年に発表した「放置シナリオ」において、2030年までに日本産業は海外企業の下請けに陥り付加価値は海外に流出、国内産業が停滞して成長性の低い低賃金な社会になると予想している。

 一方でデータアナリストなどのデジタルスキルを持つ人材の需要は増加している。AIや機械と競合しない、高付加価値の仕事で高い報酬を得るためには労働人口のスキルをアップデートする必要がある。リスキリングは日本においては、経済経産省の審議会によって「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義された。

 似た言葉にリカレント教育がある。リスキリング同様「社会人の学び直し」を意味するが、就業と就学を繰り返すため一時的な離職を伴う。リスキリングは主に企業が従業員に対して学習の機会を提供するため離職を伴わない。

企業がリスキリングに取り組むメリット

 企業は従業員のリスキリングによって、自社に不足している技術や今後必要になる知識を持つ人材を得られる。既存の従業員に対する教育のため新規人材の採用や高額なアウトソース、コンサルティングなどへの支出を抑えられる。自社の文化を継承したまま新たなビジネスニーズに対応できるようになり、業務の生産性向上やデジタル化への対応を自社で継続的に実施できるようになる。

リスキリングの事例4社

 リスキリングは国内外で取り組みが進む。以下に代表的な4社の例を挙げる。

AT&T

 ワーナーメディアを傘下に持つメディアコングロマリットのAT&Tはリスキリングの世界的な先駆者だ、2008年の社内調査で「従業員25万人のうち事業に必要なサイエンスやエンジニアリングのスキルを持つ人は約半数にすぎず、約10万人は10年後には存在しないであろうハードウェア関連の仕事に従事している」と発覚したのをきっかけに従業員のリスキリングを目指した。ジョブやスキルの可視化、学習プラットフォームの整備を進めた。リスキリングプログラムに参加した従業員はそれ以外の従業員よりも表彰が多く、昇進が速く、離職率が低いという。

Amazon

 2025年までに米国の従業員10万人を対象にリスキリングを実施すると発表した。データマッピングスペシャリストやデータサイエンティスト、ビジネスアナリストなどの高度なスキルを持つ人材を育て、非技術系人材を技術職に移行させる取り組みも進める。一人当たりの投資額は約75万円相当に上る。

日立製作所

 独自の学習プログラムを開発し、DX人材の育成に力を入れる。従業員は「DXとは」「課題発見の方法」「データ分析による課題解決法」「実践」の4ステップでDXやデジタルを使った課題解決について学び、業務で実践できるようになる。同プログラムは国内の全従業員約16万人が受講できる。

三井住友フィナンシャルグループ

 2021年3月から約5万人の全従業員を対象にしたデジタル研修「SMBCグループ全従業員向けデジタル変革プログラム」を実施している。「デジタルマインド」「デジタルリテラシー」「デジタルスキル」のテーマに沿った独自のeラーニングコンテンツやオンラインワークショップによって従業員の学びを支援する。

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