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テレワークして分かった「本当に理想的な働き方」とは

テレワークで経験値を得た企業は、自社にとってさらに最適な働き方を模索し始めている。従業員と組織にとって、本当に理想的な働き方とはどのようなものか。寄せられた意見からその答えを探る。

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 キーマンズネット編集部は2022年に注目すべきトピックスとして「セキュリティ」「SaaS」「従業員コミュニケーション」「Windows 11」「オフィス」「デジタルスキル」「人事制度」の7つのトピックスを抽出し、読者調査を実施した(実施期間:2021年11月10日〜12月11日、有効回答数678件)。企業における2022年のIT投資意向と併せて調査結果を全8回でお届けする。今回は「働き方」と「オフィスの縮小、移転の意向」について尋ねた結果を紹介する。

調査サマリー

  • 全社または一部の部署や部門でテレワークを取り入れている割合は合計で約8割
  • 月当たりの平均出社日数は「15日以上」が最も多い
  • 従業員が考える「理想の働き方」に変化
  • オフィスを解約、縮小、移転する企業はほとんどみられず

 テレワークも働き方の一つとして浸透し、ワークシフトは次のフェーズに移りつつある。企業はさらなる働き方改革を進めるために、オフィスワークとテレワークを柔軟に組み合わせた「ハイブリッドワーク」や、休暇の合間に仕事をする「ワーケーション」など、自社にとって最適な就労形態を模索している。一方でテレワーク疲れのためかオフィス回帰を望む声もある。

 本稿では「働き方」と「オフィス」にフォーカスし、企業が採る就労形態とオフィス環境について状況を探る。なお、本稿で紹介するのは2021年11月10日〜12月11日にかけての調査結果であり、2022年1月に感染者が再拡大する前であることをあらかじめご承知いただきたい。

オフィスへの出勤日数は月平均で「15日以上」が半数近く

 まず、アンケート調査時期時点での勤務先の就労形態を尋ねたところ、「全社的にテレワークを実施」が45.0%、「限られた部署や部門でテレワークを実施」が34.7%となり、合わせると8割近くが全体もしくは一部でテレワークを取り入れた就労形態を採っていることが分かる(図1)。その他の回答には「育児や介護など対象者を限定してテレワークを実施」「テレワークを実施していたがやめた」などがあった。


勤務先での就労形態について(n=678)

 前回のアンケート実施時期(2020年11月10日〜12月11日)はCOVID-19の感染者数が減少傾向にあり、少しずつオフィス回帰の動きが見られた時期だった。そこから1年がたち、オフィスへの出社割合に変化は見られるのだろうか。

 月当たりの平均的な出勤日数を聞いた項目では「4日未満」が22.9%、「10日程度」が16.2%、「15日程度」が11.8%となり、「それ以上」としたのは46.9%と半数に迫る割合を示した。前回の調査と比較すると、「4日未満」が1.4ポイント減少し、「10日程度」が1.4ポイント増加した。


月当たりの出勤日数(n=678)

「理想の働き方」に変化 いま社員が本当に求める働き方とは

 2020年に国内全体にテレワークが拡大した時期は、「効率的な働き方」「時間に無駄のない働き方」など肯定的な意見が聞かれたが、組織の従業員にとって今もなおテレワークは理想の働き方であり続けるのだろうか。

 本アンケートの回答者に対して「今後、どのような働き方を望むか」と尋ねた。寄せられた意見は大きく2つに分けられる。中には「働き方に見合った業績評価が必要」など、ワークシフトと一体で組織制度も改めるべきだという意見もあった。

 最も多く寄せられた声は、業務や必要に応じてオフィスワークとテレワークを柔軟に切り替える「ハイブリッドワーク」を望む声だ。オフィスとその他の環境の特性を理解した上で、適宜働く場所を選択する働き方だ。以下に、寄せられたコメントをまとめた。

ハイブリッドワークを望む声

  • 従業員がテレワークとオフィスワークを選択できるハイブリッド型を望む
  • 必要に応じてテレワーク、オフィスワークを組み合わせて働きたい
  • テレワークとオフィスワークを組み合わせたいが「出社しなければ業務管理が進まない」「業務効率が落ちる」などのイメージを経営層が強く持っている。まずは経営層の考えを変えなければ、口先だけの業務改革になってしまう
  • オフィスはあくまでも「人が集まる場所」「資源を管理する場所」として機能させ、業務は個人ワークを含めてどこでも可能にしてほしい。電話も自宅に転送して、在宅で電話対応ができるようにしてほしい

勤務地や勤務時間を選ばない自由な働き方を望む声

  • 柔軟にロケーションを選択できる働き方がいい
  • どこに住んでも良しとするテレワーク。現状は、呼び出されたら出社できる範囲に住むことが条件となっている
  • 個人の希望に合わせて自由な働き方にしたい。それには業績評価連動型であることが必須となると思う
  • 就業時間が固定されない働き方にシフトしたい

 上記以外のコメントでは「テレワークでは意識共有が難しく新たな事業拡大は難しい。言われたことだけやるのなら問題ない。テレワークが向くのは一部の高スキル者や作業が定型化できる業務だと感じる」といった万人にとってテレワークが良いとは限らず一長一短だという意見や、「テレワークの継続を望むが、印刷できないのが不便」といった不満の声もあった。また一部ではあるが、「在宅勤務は飽きた。孤独感が強いのでオフィスで働きたい」といったオフィス回帰を望む声もあった。

世間的にワークシフトが進む中でも「オフィスは今のまま」

 ここまでは現状の就労形態と働き方に対する読者の考えを紹介したが、ここからは、「今後の就労形態」と「オフィスの縮小、移転」に関する意向について深掘りして尋ねた結果を伝える。

 勤務先における今後の働き方について尋ねた項目では、最も高い割合を示したのが「テレワークとオフィスワークのハイブリッド型へ移行」で45.1%、次いで「テレワークを実施しておらず常にオフィスワーク」が22.1%、「恒常的にテレワーク」が20.1%となった。

 従業員が考える理想の働き方としてハイブリッドワークを望む声が多いことは前述したが、企業においてもその傾向が顕著に表れた(図1)。二者択一ではなく、業務と状況に応じて働く場所を自由に選択できる働き方が、今後のスタンダードになるのだろうか。


勤務先の今後の働き方に関する意向(n=678)

 首都圏に置いていた本社を地方に移転または規模を縮小させるなど、オフィスの在り方を見直す企業事例も聞かれる。リモート業務が当たり前となり多様な働き方が浸透しつつある現在、企業は今のオフィスをどう考えているのだろうか。

 「勤務先では今後オフィスを縮小、または分散させる計画はあるか」と尋ねたところ、「特に何も予定はない」が大多数を占め72.4%、オフィスを解約、縮小、移転させるとした割合はそれぞれ1割にも満たない結果となった。


今後オフィスを縮小、または分散させる計画はあるか(n=678)

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