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アラート地獄で過酷でもセキュリティ人材を目指す人が多い理由

大規模なサイバー攻撃や情報漏えいが世間を賑わせていることでセキュリティ分野に注目が当たり、好奇心旺盛な求職者が増えているという。

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Cybersecurity Dive

 トッド・ホロウェイ氏がサイバーセキュリティの世界に入った理由は、同氏の不屈の精神と決断力にある。それは、30年以上も前のことだ。

 今日のサイバーセキュリティ人材の需要は高く、彼らは好奇心を持って仕事に従事する。求人数が人材の数よりも多い中で、求職者はセキュリティだけの教育にこだわっていない。

技術だけではない、転用可能なあれも身に付くセキュリティ分野

 米国とカナダの2000人以上のサイバーセキュリティ専門家と求職者を対象にしたISC(国際砂糖理事会)の調査によると、この分野に8年以上従事する回答者の67%がサイバーセキュリティ教育を「受けられればいい」と回答したという。

 Malwarebytesのセキュリティアーキテクチャ&エンジニアリング担当マネジャーであり、ヒューストン大学の卒業生でもあるホロウェイ氏は、「学生時代はセキュリティ分野すらなかった。当時できる限り近い分野を選び、応用分析を専門とする数学を専攻した」という。

 サイバーセキュリティのスキルは転用可能だ。

 しっかりとトレーニングを受けて責任を全うする技術力は重要だが、サイバーセキュリティで必要とされるソフトスキル(好奇心、批判的思考、創造性、コミュニケーション)は不変のものだ。

 また、この調査によれば、サイバーセキュリティ関連の仕事を探す人の58%はIT部門からの転職希望者であり、42%は関連性のない分野から転向した人だった。サイバーセキュリティ職を目指す動機は、問題解決や興味の充足、キャリアアップなどだ。

 しかし、サイバーセキュリティに興味を持つ一部の人に頼っていては、世界の310万人の雇用格差をなくすことは難しい。

 ストラットフォード氏は「性別や民族、社会経済など、多様な人材を確保したいと願う人材はたくさんいる。しかし、企業でそのような戦いをリードするのは、ある特定のタイプの人たちだ。そこには多くの固定観念が存在する。そしてその人達は、経歴も似ている」と述べる。

セキュリティ業界で最初の3年間はいばらの道……

 サイバーセキュリティに関連する仕事を探している1010人のうち、40%は40歳以下の若い人たちだという。調査によれば、求職者のうち女性は35%にすぎないが、男性よりも女性の方がサイバーセキュリティに関心を持つ傾向が強く、IT業界以外で従事する女性の42%がセキュリティ関連の職に興味を持っているという。

 新しい分野へのキャリア転換は、マーケティングに長年携わってきたストラトフォード氏が経験したことでもある。ストラットフォード氏は、「セキュリティは成長分野であり、必要とされる職だ。私はここで価値を高めることができたと思っている」と語る。

 しかし、ISCは、在職期間が長くなるにつれて女性の割合が低下していることを明らかにした。報告書は昇進の機会が横ばいになっていることを示している。

 サイバーセキュリティの仕事に就くことは、プレッシャーでもある。ISCは「アンケート回答者は就職して最初の1〜3年間は『沈むか泳ぐか』の環境で生き残らなければならない」と回答した」と述べる。

 調査によると、求職者が追求すべき上位のスキルは「クラウドセキュリティ」「データ分析」「コーディング」「プログラミング」「暗号化」「リスク評価」などだ。ISCの回答者は、最初の1〜3年で学んだエンドポイントセキュリティのシグネチャ更新や、マルウェアのフォレンジック、IT管理のタスクなどが今後の職務に役に立ったと回答した。

 大規模なサイバー攻撃や侵入事件がメディアを賑わせたおかげで、この分野がより注目されるようになり、好奇心旺盛な求職者が増えることだろう。

 ホロウェイ氏は「私は1983年に映画『WarGames』を見た後、『Commodore 64』から300ボーのモデムでウォーダイヤルを始めた。違法なことをして捕まるのが怖くて、ハッキングの方法だけを覚えた」と語る。

 ホロウェイ氏が高校を卒業する頃は、ちょうど『カッコーの卵(The Cuckoo’s Egg)』が出版されだ時だった。それは彼が大学でLinuxを学んだ時期だった。ホロウェイ氏がサイバーセキュリティに興味を持つようになったのは、こうしたきっかけが重なったからだ。それを追求するために、数学科の非常勤システム管理者に、彼が発見したシステムの脆弱(ぜいじゃく)性の情報を送ったのだった。

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