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経費精算システムの利用状況(2022年)/後編

キーマンズネットは「経費精算システムの利用状況」に関する調査を実施した。後編となる本稿は、現在運用している経費精算手続きに対する「満足度」や「システムの重視ポイント」「今後経費精算システムに期待すること」を紹介する。

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 キーマンズネットは2022年9月2〜16日にわたり「経費精算システムの利用状況」に関する調査を実施した。

 前編では、経費申請時の「領収書の形態」や「精算方法」「電子帳簿保存法への対応状況」を調査した。後編となる本稿は、現在運用している経費精算手続きに対する「満足度」や「システムの重視ポイント」「今後経費精算システムに期待すること」を紹介する。

改正電子帳簿保存法への対応で現場の不満が爆発?

 まず、現在の経費精算手続きについての満足度を聞いたところ、「とても満足」(5.3%)と「まあ満足」(48.1%)を合わせた53.4%が満足と回答した(図1)。


図1 現在の経費精算手続きに対する満足度

 2021年7月の前回調査と比べると、全体では9.0ポイント満足度が低下している。内訳をみると「まあ満足」が8.1ポイント減少し「とても不満」が6.7ポイント増加するなど、1年で不満要素が高まった様子を見て取れた。「不満」と回答した人にフリーコメントで理由を聞いたところ、回答は3つに大別できた。

 1つ目は「電子と紙と両方の提出が必要で無駄と感じる」や「電子化されているにもかかわらず紙提出と併用の状況」「領収書写真に対するタイムスタンプの付与が面倒」といった、電子データと紙を併用した運用に対する不満だ。

 2022年1月に改正された電子帳簿保存法(電帳法)によってデータ保存の義務化などの規制が強化されたこともあり、紙文書で作成・受領した書類をスキャナー保存するなど一部紙運用が残っている可能性がある。複雑な運用からか、「操作や手間が大変。単純に領収書を庶務担当に渡していた時代の方が楽」といった声も多く寄せられた。

 2つ目は「電帳法やインボイス対応がオプション扱いでさらにコストが増える点」や「会社の慣習にシステムを無理やり合わせているため非効率で、OSやWebブラウザのバージョンアップ対応にも費用が掛かる」など、コスト面での負担が増えたという意見だ。

 3つ目は使い勝手に対する不満だ。「システムの使い勝手が悪い」や「入力項目が多く使いづらい」「オンプレミスのシステムが外出先では入力できず使いづらい」「会計ソフトとのデータ連携が不完全で経理担当者の作業効率があまり良くない」など、多くの不満が上がった。

 ユーザーの要望に応えるにも対応コストが発生するため、3つの不満は相互に絡み合っていると言えそうだ。ここ1年で不満が増加した背景には、改正電帳法やインボイス制度への対応によって生じた経費精算の運用変更が少なからず影響していると考えられる。

経費精算システムの重視するポイントは

 関連して経費精算システムを選定・活用する際の重視ポイントを調査したところ、順位に多少の変動はあったが、上位には前年同様「運用コスト」(65.4%)、「操作性の良さ」(63.5%)、「導入コスト」(62.0%)が続いた(図2)。


図2 経費精算システムを選定・活用する際の重視ポイント

 注目すべきは「電子帳簿保存法への対応」(43.8%)で、1年前の前回調査時の23.5%から20.3ポイント増と2倍に近い値を示しており、経費精算システムの選定に大きな影響を与えている。

 他にも「他システムとの親和性」(31.7%)や「領収書を写真で保存できる」(27.4%)「柔軟なフロー設計、カスタマイズ性」(19.2%)など、法改正への対応を意識した回答も増加傾向にあった。

全回答者に聞いた経費精算システムの理想的な未来

 法改正を背景に過渡期を迎える経費精算の運用だが、ユーザーが望む経費精算はどのようなものなのか。「今後、経費精算システムに期待すること」をフリーコメントで聞いた。

 最も多かった要望は、経費精算のオンライン化で「全てオンラインで完結したい」や「他システムとの連携を含め、デジタルで処理が完結するようにしてほしい」「スマホ操作を主に考えるべきだと思う」といった要望が寄せられた。

 中には「在宅勤務の自宅からも全てが完了するようにしてほしい」と具体例を挙げる人もおり、前編で取り上げた出社を伴う経費申請に強いアレルギー反応を示す人が多数存在するようだ。

 次いで寄せられたのは経費申請書類のペーパーレス化だ。「領収書のペーパーレス化」や「領収書原本の送付をやめたい」「領収書の原本提出の省略化」など、申請頻度の高い領収書に関する要望が多く寄せられた。

 改正電帳法の影響もあり基本的にはオンライン化やペーパーレス化は促進される傾向にある。一方、社内の運用フローやシステムを改修するにはさまざまな障壁がある。重要になるのは、ユーザーの意見を取り込みながら、経営層からシステム部門、ユーザー部門まで丁寧なコミュニケーションを取り、目的を共有してフロー設計することだろう。

 なお全回答者数208人のうち、情報システム部門が29.3%、営業/営業企画・販売/販売促進部門が16.3%、製造・生産部門が15.4%、経営者・経営企画部門が8.6%などと続く内訳であった。グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。

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