会議の3分の1は断ってOK、スマートに会議を断れる組織の作り方
カレンダーに積み上げられた会議の約3分の1は、時間の浪費の可能性があることが分かった。余計な会議は莫大な費用の無駄遣いになっているという。
意外に思われるかもしれないが、カレンダーに積み上げられた会議の約3分の1は、時間の浪費の可能性があることが調査で分かった。音声から文字を起こすサービスを提供しているOtter.aiが発表したレポートによると、余計な会議は莫大な費用の無駄遣いになっているという(注1)。
調査では、対象者の46%が「カレンダーに不要な会議が多すぎる」と回答した。細かく分類すると「(週当たり)約18時間を会議に費やしており、そのうち約11時間は重要な会議に属している」と回答している。そのうち約5つの会議は、「常に連絡が取れるようにすれば簡単にスキップできる」としている。
余計な会議は本当に何百万ドルも無駄にするのか
Otter.aiの計算では、専門職は労働時間の3分の1を会議に費やしている。さらに、企業は専門職に1人当たり平均8万ドルの給与を支払い、会議に出席するための報酬も一部負担している。もしその3分の1が不要な会議だとすると、「1人当たり年間約2万5000ドルの無駄があることになる」とOtter.aiは伝えた。
従業員100人の企業では年間250万ドル、500人の企業では1220万ドル、5000人の企業では1億2300万ドルの無駄があると推定できる。どこで、なぜ、どのように、このようなことが起こり続けているのか?
端的に言えば、答えは「罪悪感」だ。回答者の半数以上(53%)が、たとえ重要な議題でなくても、招待された会議には「出席しなければならないと感じる」と答えている。上級管理職よりも一般従業員の方がその傾向が強いという。Otter.aiの計算によれば、ほとんどの従業員(83%)は、受信箱に入ったカレンダーの招待を自動的に受け入れている。また、3分の1は断りたいと考えているにもかかわらず、「そのうちの半分しか断っていない」とOtter.aiは分析する。
コミュニケーション不足も深刻な要因となっている。回答者の大多数は、「上司が会議の辞退(拒否)について話したことすらない」と答えている。従業員がどの会議を断ってよいかという組織的な規範と対話の欠如が、“不必要な会議出席のサイクル”を助長している。
人事部門にできることは何か
もし、従業員がたとえ不必要な会議だと感じても断ることに罪悪感を感じているのなら、経営幹部や人事マネジャーが新しい風潮を作ることで、従業員は会議の出欠を決める主導権を握れるとOtter.aiは提案する。
パンデミックの影響でオンライン会議が浸透して以来、人事の専門家は「どの会話が電子メールや他の文書によるコミュニケーションで代用できるかを、より慎重に判断すること」を勧める。その目的は、ハイブリッドな世界でビデオ会議を多用することによる、いわゆる「Zoom疲れ」や「社会的燃え尽き」をなくすことにある。
潜在的な景気後退への対策と、それに伴う余分なコストの排除は、ビジネスリーダーにとって“余計な会議の削減”に取り組む新たな機会になるかもしれない。Otter.aiのCEO兼共同設立者であるサム・リャン氏は「これまで以上に、企業は会議の文化や慣習、ツールを再評価する必要がある」とプレスリリースで述べている。
ステップ1:「辞退」ボタンを押す罪悪感を減らす
会議の専門家であり、ノースカロライナ大学シャーロット校の教授でもある組織心理学者のスティーブン・ロゲルバーグ氏は、プレスリリースの中で、多くの企業で会議文化に関する期待や規範が「大きく損なわれている」と付け加える。「従業員が参加する必要のない会議に参加しているとき、彼らはしばしば意欲を持たずにその場にいたり、マルチタスク(内職)をしたりして、他の人の注意をそらし、会議を脱線させることがある」と話す。
Otter.aiの調査では、ほとんどの人が会議中にマルチタスクを行っていることを認めている。「これは会議の質に影響を与えるだけでなく、従業員の生産性と時間という本質的問題につながる」と言う。
ステップ2:情報伝達の代替手段を用意する
Otter.aiの調査から得られた複数の知見は、同じ真実を指摘している。従業員が文書によるメモを入手したり、何らかの方法で最新情報を得たりすることができると知っていれば、不要な会議を断れると判断するだろう。
ある調査の回答者は、このような配慮があれば「安心」「満足」「支援」「評価」「感謝」を感じると具体的に述べている。
また、遠隔監視や職場復帰の義務付けなど、「従業員に生産性を上げることを強いる他の方法にも代わるものだ。このような取り組みは従業員の抵抗につながりがちだが、不必要な会議に費やす時間を減らすことは、従業員と雇用者の双方にとってメリットのある解決策だ」とリャン氏は言う。
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