「Google Chrome」を信用し過ぎてはいけないワケ:685th Lap
最近「YouTube」などでよく広告を目にする「Google Chrome」。Webサイトには「高速で安全なブラウザ」とあるが、「本当にそうなのだろうか」という疑惑が持ち上がった。
GoogleのWebブラウザ「GoogleChrome」(以下、Chrome)は、プライベートだけでなくビジネスシーンでも用いられるほど広く普及した。Webサイトにも「高速で安全なブラウザ」とあり、セキュリティにも力を入れている。
しかし、Chromeのある機能は「安全どころかむしろ危険」とのうわさが広がっている。開発元のGoogle社内でももっぱらのうわさのようだが、なぜ危険だと言われているのか?
2022年10月11日、BloombergのニュースサイトにChromeのシークレットモードに関する記事が掲載され、話題になった。
記事の冒頭には、Googleのマーケティング責任者ロレイン・トゥーヒル氏がGoogleの持株会社であるAlphabetのサンダー・ピチャイCEOに送ったメールの内容が書かれていた。その内容は「Chromeのシークレットモードを使ったWebブラウズは、全くシークレットではない」というものだ。皮肉なことに、このメールは2021年1月28日の「データプライバシーの日」に送られていた。
2020年6月20日、GoogleおよびAlphabetは「Chromeのシークレットモードを使ってWebブラウズすると、閲覧履歴などユーザー情報が収集される」として集団訴訟を起こされていた。原告団は、「Chromeはシークレットモードの場合でも『Google Analytics』や『Google Ad Manager』、スマホアプリやWebサイトプラグインなどを通じてユーザーの個人データを収集している」と主張した。もちろんGoogleはそれを否定したものの、2021年3月に訴訟の棄却に失敗し、賠償金の支払いは逃れられないと思われた。
それに対してGoogleは、「Chromeをシークレットモードにした時に『あなたのアクティビティーが知られる可能性があります』と警告文を表示しており、当社がデータを追跡しているわけではない」と主張した。しかし、前述のBloombergに掲載されたメールから、裁判中のタイミイングで「シークレットモードがシークレットでないこと」を認めていたことになる。
また、2022年5月にテキサス州の司法長官が「シークレットモードであっても個人情報が収集されている可能性がある」と指摘し、訴訟に発展した。この訴訟に関する資料の中から、Bloomberg紙に掲載されたメールが発見され、今回の報道に至った。
トゥーヒル氏はメール中ので「シークレットモードは完全にシークレットではないため、マーケティングに力を入れるには限界があります」とピチャイ氏に報告していた。さらに、2018年には、Google社内のグループチャットで「シークレットモードをやめて、スパイを印象づけるアイコンも辞めるべき」「アイコンはGuy Incognitoが適しているよ」といったアニメキャラにたとえたジョークも交わされていた。こうしてChromeのシークレットモードはGoogleの従業員からもからかわれていたほどだった。
集団訴訟がどういう結末を迎えるかは気になるところだが、Googleはかなり不利だというのが世間の見方のようだ。「Chromeのシークレットモードは必ずしもシークレットではなさそう」ということは心に刻んでおいたほうがよさそうだ。
上司X: Chromeのシークレットモードが全然シークレットじゃないかも、という話だよ。
ブラックピット: またまたそんな。履歴も残らないですし、他のデバイスのChromeとも共有されませんよ。
上司X: そうそう。同じGoogleアカウントで異なるデバイスでChromeを使うと検索履歴なんかも共有されるんだよな。PCで検索した内容がスマホの検索履歴にも表示されるとかギョッとするよ……。
ブラックピット: だからシークレットじゃないことなんてないんでしょ? と言っていますが……。
上司X: 関係者一同も把握しているということらしいな。どこまでプライベート情報が漏れているかまでは明確にはなっていないけどな。
ブラックピット: 個人的に言えば、検索履歴とかが残らないだけでも使う意味はあると思うんですが。
上司X: でもそれがGoogleに把握されているとしたら? さあどうする?
ブラックピット: いやあ、どうすると言われましても……。普段のWebブラウジングだってほぼほぼ情報収集されているようなもんじゃないですか。僕は身近な人に自分が検索したアレやコレを知られないなら、その他は別に……。
上司X: 何ということを言うんだキミは。でも、分からないではない。ともかく「シークレット」とうたっているわけなんだから、「全然シークレットじゃないよ」というのはやっぱりダメだと思うな。早急になんとかしてほしいところだよ。
ブラックピット(本名非公開)
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
上司X(本名なぜか非公開)
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.