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イーロン・マスク氏のTwitter買収に見る“解雇劇”はどれほど「異常」なのか

イーロン・マスク氏は、Twitterの買収に際して「常軌を逸した人事」を実施した。その内容と、それがどれほど「異常」なのかを専門家が語った。

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HR Dive

 イーロン・マスク氏によるTwitterの440億ドルの買収について「ほぼ全てが常軌を逸している」と専門家は指摘する。

 億万長者による2022年10月27日の単独買収から数日後の一連の人事変更まで、「間違いなく異常だ」と、人事・法律事務所Dixon Whyteのアイーシャ・ホワイト氏(弁護士兼最高人事責任者)は言う。

 一般的に、企業が買収された後には経営陣が交代するが、「経営陣は次の仕事まで持ちこたえられるゴールデンパラシュート(注1)を抱えている」とホワイト氏は言う。一方、マスク氏が経営幹部を理由なく解雇したという報道もあり、退職金が剥奪される可能性もある。

Twitterの買収後、マスク氏はどう振る舞うべきだったのか

 もしマスク氏が「訴える手段や資力」を持つ経営幹部からの訴訟に身を投じようとするなら、資力の乏しい他の従業員に対しても同じように対応する可能性が高いとホワイト氏は指摘して、「だからこそ、これだけ不安があるのだ」と言う。

 Twitterからはすぐにコメントを引き出すことができなかった。

 危機管理会社Hennes Communicationsのトム・フラドゥン氏(マネージングパートナー)は、「合併や買収の場合、従業員がパニックにならないためには、コミュニケーションをオープンかつ頻繁に行うことが一番だ。人はうそをつかれた、何が起こっているの分からないと思うとパニックになる。不確実なことがあってもそれを正直に話して“分からない”と認めることは、分からないのに“分かったふり”をするよりも良いことだ」と語る。

 まずは社内で、次に社外でコミュニケーションを図るべきだ。従業員とのコミュニケーションは頻繁でなければならない。たとえニュースがないときにも、混乱の最中に従業員に定期的に最新情報を提供することによって、「不確実な時期に少しでも確実性を与えられる」とフラドゥン氏は話す。

 ところがマスク氏は2022年10月30日、Twitterの人事部から自動送信された、会社のマネジメントコースへの参加に招待するメールに対して、批判的なツイートをした。そのメールの一部には、「M101(Twitterが企業向けのTwitter活用法などをまとめたWebサイト)は、インパクトのある機会を作り、Tweeps(Twitterを利用している人)のキャリアを伸ばし、チームに配慮する方法を示すことで、Twitterで優れたマネジャーであることの意味を扱っている」とあった。

 人材紹介会社Genesis10のハーレー・リップマンCEOは、Twitterの従業員は「非常に有望」なので、おそらく他社からオファーが来ているだろうと述べている。

 リップマン氏は、「人材紹介会社は、どこかの会社で何らかの混乱があると聞けば、その従業員を狙う傾向がある」と述べる。同氏はマスク氏と彼のTwitterベンチャーに投資しているとして「これらの技能労働者は、求人市場に出てくることになる」と話した。

 ホワイト氏は、買収の際に「何年もそこで働いている従業員の重要な知識」を失わないようにすることが不可欠だと述べている。

 「マスク氏はCEOになるのが非常に早く、ビジネスで多くの決定を下してきた。変更を実施する実務担当者たちのことを念頭に置いていない」とホワイト氏は指摘する。「彼は自分の会社で誰が何をやっているのか分からない状態だ。もし、彼らが会社を辞めたら、どうやって代わりを見つければいいのかも分からない。テクノロジー企業ではナレッジマネジメントが最重要だ」

出典:Elon Musk’s Twitter takeover is an ‘anomaly’ in human resources(HR Dive)

注1:敵対する企業による買収で経営陣が解任された場合、経営陣に多額の退職金などを支払う契約を締結して買収コストを引き上げ、買収者との交渉材料にする措置のこと

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