米国財務省によれば、2020〜2021年にかけて、ロシアによるある攻撃の被害額が急増しているという。ミサイルではないロシアの報復とは。
ロシアの報復は「あの手法」
米国財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)によると、2021年に米国の銀行や金融機関が報告したランサムウェアの被害は約1500件、被害額は約12億ドルに上り、記録的な急増となった(注1)。
これは487件、総額4億1600万ドルだった2020年から188%の増加だ。当局によれば、この急激な増加は、実際のインシデントの急増に加え、攻撃の検出方法の改善による可能性もあるという。
2021年下半期に報告された793件のインシデントのうち、ロシア関連のランサムウェアが約75%にあたる594件を占めた。高度なサイバー攻撃者は、その多くが不正な国家と連携しており、Colonial PipelineやJBS USAなどの重要インフラを提供する組織に対する活動を活発化させている。
ウォーリー・アデイモ財務副長官は2022年11月1日、第2回国際ランサムウェア対策イニシアチブサミットにおいて、ランサムウェアの脅威に言及した。「私たちはランサムウェアの問題に全く別の方法でアプローチするかもしれない。しかし、私たちがここに集まったのは、ランサムウェアが依然として世界中の被害者にとって深刻な脅威であり、悪質な攻撃者に利益をもたらすことを理解しているからだ」(注2)。
同日、36カ国と欧州連合は同サミット後に、ランサムウェアに対抗するための追加措置を講じることを約束した(注3)。同グループは、オーストラリアを初代議長兼コーディネーターとする任意の国際ランサムウェア対策タスクフォースを設立する。このタスクフォースは、早期警戒能力を強化し、不正資金対策に取り組む予定だ。
© Industry Dive. All rights reserved.
関連記事
- 攻撃者に先回りして潜んだ脆弱性を見つける「Web脆弱性診断ツール」の選び方
脆弱性を突いたサイバー攻撃は、事前に対応していれば防げる問題だが、被害は後を絶たない。こうした事態を未然に防ぐ上で、攻撃者に先回りして脆弱性を見つける「Web脆弱性診断ツール」が有用だ。ツールの特性や選び方、脆弱性問題に対応する上で企業として気を付けるべきことをセキュリティの専門家である上野 宣氏に聞いた。 - 日本をねらうサイバー攻撃集団、その手口と有効な対策とは
トレンドマイクロが公開した「国内標的型攻撃分析レポート2022年版」では、日本で活動する攻撃者グループの詳細が明らかになった。その手口と講じるべき対策とは。実際の標的型攻撃事例を基に解説する。