5年後のネットワークセキュリティ市場はどうなる? 富士キメラ総研が調査
富士キメラ総研は2022年のネットワークセキュリティビジネスの国内市場状況と5年後の市場規模予測を発表した。注目すべきポイントを解説する。
富士キメラ総研は2022年12月19日、ネットワークセキュリティビジネスの国内市場規模や注目の市場、市場ごとの5年後の規模予測を発表した。同調査はセキュリティサービス18品目、セキュリティ製品30品目を対象として2022年8〜10月に実施された。
5年後の市場規模予測は?
富士キメラ総研によると、2022年度のネットワークセキュリティビジネスの市場規模は対前年度比9.8%増の6344億円となる見込みだ。
さらに、高度な攻撃の増加、AI(人工知能)や自動化の活用、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進によるセキュリティエリアの広がりによって、2027年度のネットワークセキュリティビジネスの市場規模は2021年度比50%増の8667億円になると同社は予測した。
どのようなサービスが好調?
近年のクラウドサービスの利用拡大やテレワークの浸透によるリスクは、従来の境界型セキュリティでは防ぎきれないため、ゼロトラストセキュリティへの移行が進んでいる。その影響で、企業における端末やWebのセキュリティ対策強化に向けた投資が活発となっており、IDaaS、EDR、Webセキュリティツールなどの市場が好調だ。
特に、2022年のWebセキュリティツールの市場規模は2021年度比53%増の205億円となる見込みで、富士キメラ総研は「テレワークやクラウドサービスの利用拡大によって、Webアクセスにおけるセキュリティ対策需要が高まっている」と指摘する。
また、セキュリティ専門のアナリストがサイバー攻撃に関する情報を収集、分析するスレッドインテリジェンスサービスの利用も広がっている。同社によれば、ランサムウェアによる被害が増加する中、クリティカルなセキュリティインシデントを未然に防ぎたいというニーズが大手企業を中心に広がっているようだ。
最近でも米国防総省がゼロトラストセキュリティ戦略への移行を発表し話題になったが(注1)、今後もゼロトラストセキュリティへの対応強化が世界的に進むと思われる。引き続き、今後の市場動向に注目していきたい。
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