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「さらば、Apache」の日は近い?:694th Lap

長らく親しまれてきたオープンソースのWebサーバソフト「Apache」に対して、意外なところから「名前を変えろ」とクレームが入ったという。それはなぜ?

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 2021年7月、MLB(米メジャーリーグ)のチームの一つである「クリーブランド・インディアンス」が、2022年シーズンからチーム名を「クリーブランド・ガーディアンズ」に変更すると発表した。

 米国ではこうした改名は珍しいことではない。そして、われわれの主戦場であるIT業界にもその波が押し寄せてきた。オープンソースのWebサーバソフト「Apache」にも“名称存続の危機”が訪れているという。ApacheがApacheでなくなる日は近いのだろうか?

 本題に入る前に、まず、冒頭で述べた野球チームがなぜ改名するに至ったかを説明する。

 旧チーム名は、アメリカ先住民に由来する名称だった。長い歴史を持つチームであり、多くの人に親しまれてきた。だが、先住民たちや彼らを支持する団体から「先住民差別を助長する」との指摘を受けた。

 遠い昔の先住民たちが勇猛果敢だったというイメージからチーム名として採用したようで、決して差別的な意味合いはなかったのだろう。しかし、改名推進派は「先住民は好戦的という差別を生みかねない」と主張する。「Black Lives Matter」運動を筆頭に、人種差別問題の撲滅活動が活発化する米国において、名称変更はやむなしということだろう。

 これと同じ問題が、IT業界でも起こっている。インターネット普及期から多くのユーザーに利用されてきたApacheが改名を迫られているという。

 2023年1月11日、米ニュースサイトのThe Registerがこの件について報じた。記事によれば、NPO団体のNatives in TechがApacheに改名を迫っているという。Natives in Techとは、アメリカ先住民に力を与えるオープンソーステクノロジーの構築を目指す団体だ。彼らは「先住民への敬意と独自の行動規範を守るために名称変更せよ」と、Apacheの開発元であるApache Software Foundation(ASF)に要請した。

 Apacheは、アメリカ先住民最後の部族である「アパッチ族」から名付けられたという。ASFの創立者の一人であるブライアン・ベーレンドルフ氏は、過去にApacheの開発中にアパッチ族と部族にいたジェロニモのドキュメンタリー番組を見たことでロマンチックなインスピレーションを受けて、Apacheと名付けたそうだ。

 だが、Natives in Techはその「ロマンチック」という表現が「無知であり不快」だと訴えた。ASFに対して「選択する言葉に注意を払うべき」と名称の変更を求めているのだという。

 The Registerの取材に対してベーレンドルフ氏は、本稿公開時点ではコメントを出しておらず、ASFの広報も「変更について模索しているが、今のところ共有できる情報はない」とコメントした。

 多くの開発者たちが慣れ親しんできたApacheだが、大リーグやプロフットボールチームが改名したことを考えると、最終的に改名する可能性は決して低くはないだろう。致し方ないこととはいえ、複雑な気分だ。


上司X

上司X: あのApacheの名前が変わってしまうかもしれない、という話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: うーん、難しい問題ですねえ。


上司X

上司X: アメリカ先住民への差別を助長するから、というのが大きな理由のようだが。


ブラックピット

ブラックピット: そういうつもりでわざわざ名付けたワケではないのは明確でしょうに。捉え方はいろいろですねえ。


上司X

上司X: 当事者ではないから、直接的な感情は計り知れないところもあるが、仕方ないんだろうなあ。野球もアメフトも、無理を通して波風を立てるよりは、という感じで名称変更に応じたのではないかな。


ブラックピット

ブラックピット: Apacheもそうですけど、こういう名称に関わる問題提起はIT業界でも増えていくんでしょうか?


上司X

上司X: たぶんな。名称とはちょっと違うけど、IT業界で昔から使われている、デバイスやプロセスの主従関係を表す「Master/Slave」が「Master/Follower」や「Master/Child」に置き換えられて、「Whitelist/Blacklist」もやめようか、っていう動きはもう2年前ぐらいからある。これはそれぞれ……。


ブラックピット

ブラックピット: あー、詳しい解説は大丈夫です。だいたい想像はできますので。しかし、世界的にそういう流れなんですね。まあ、いろいろ思うところはありますが、平和なのが一番です。


上司X

上司X: そうだな。しかし歴史あるApacheの名前が消えてしまうかもしれないのはちょっぴり悲しいというもの。改名するにしても名残ある名称にしてもらえればいいんだがな。まずはこの問題の行方を見守ろうじゃないか。

川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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