応募から1〜2カ月放置…… 業を煮やす求職者への対処法
調査機関の報告書によれば、企業の採用プロセスに不満を持つ求職者が多いようだ。求職者は何に不満を感じ、どうすればその不満を解消できるのか。
人材採用に関する調査機関Talent Boardが2023年1月11日に発表した報告書「Talent Board 2022 North American Candidate Experience Benchmark Research Report」によれば、求職者は2年連続で世界的にネガティブな経験をしていることが分かった(注1)。2022年に求職者の不満度が上昇しなかった唯一の地域である北米でも、依然として高い不満度を示したという。
Talent Boardのプレジデントを務めるケビン・W・グロスマン氏は「COVID-19のパンデミック発生前後は一時的に求職者の不満は軽減されたものの、再び高まりを見せている。」と述べる(注2)。
「求職者が応募してくれるかどうか、同僚や友人を紹介してくれるかどうか、ブランドの支持者になってくれるかどうか、企業の製品やサービスを購入してくれるかどうかなど、(求職者が)ブランドや利益に大きな影響を与えることを雇用主は心に留めておく必要がある」(グロスマン氏)
求職者の不満解消、「オンボーディング」が鍵を握るか
Talent Boardの調査によると、採用プロセスに携わる雇用主は2023年にオンボーディングや候補者体験(注3)、DEI(多様性・公平性・包括性)に注力していることが明らかになった。
Talent Boardのグローバルプログラム担当ディレクターであるロン・マチャマー氏は、2023年に人材獲得チームにとってオンボーディングが最優先事項であることは「核心を突いている」と述べる。
「2022年に新入社員を入社前や入社後すぐに失った雇用主があまりにも多い。それだけ人材市場の競争が激化し、オンボーディングを正しく行うことがいかに重要かが分かる」(マチャマー氏)
150社以上、約20万人の求職者からの匿名のフィードバックを分析した同報告書では、34%の求職者が、応募書類を提出してから採用プロセスの次のステップについて知るまで、少なくとも1〜2カ月待たされたことが判明した。これは、2021年と比べると約1.4倍の数値だ。
同報告書では、採用プロセスの改善を試みるため、人材獲得チームがAI(人工知能)技術に注目していることも明らかになった。回答者の79%が応募や選考プロセスから偏りを取り除くテクノロジー(注4)の購入を予定しており、72%が社員の転職行動を予測するテクノロジーの購入を希望している。また、57%が仕事の成果を予測するテクノロジーの購入を予定しているという。
出典:Recruiters say better onboarding may reduce new hire resentment(HR Dive)
注2:Talent Board Releases 2022 Candidate Experience Benchmark Research Report
注3:求職者が企業を認知し、応募や面接を経て採用されるまでの一連の体験のこと
注4:Despite enforcement delays, attorneys urge preparation for AI, privacy laws
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