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テレワークはダークサイドへの入り口? メリットとデメリットをどう考える

テレワークのメリットやデメリットが浮き彫りになる中、経営層は従業員のメンタルヘルスに対する悪影響を心配している。企業はどういった働き方を選択するのが正解なのだろうか。

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HR Dive

 テレワークは一般的なものになりつつある。しかし、メンタルヘルスに悪い影響を与えるといったマイナス面を心配する経営者や従業員は多く存在する。一方、テレワークによって男性は家庭に多くの貢献をするようになったり、障がい者の雇用数が増えたりするといったメリットもある。

 テレワークのメリットやデメリットが浮き彫りになる中、企業はどういった働き方を選択するのが正解なのだろうか。

テレワークのメリット、デメリットをどう考える

 監査や税務、コンサルティングを行うRSM USと米国商工会議所が2022年10月に中堅企業408社の経営トップを対象に調査を実施した(注1)。

 調査によると、経営者の約半数(52%)が「COVID-19以前に比べて、広い地域でリモートできる仕事を対象に人材を調達している」と回答した。「今後2年間で物理的な拠点を拡大する予定がある」と答えたのはわずか4分の1だったが、これは中小企業(年間売上高1000〜5000万ドル)を率いる経営者(17%)よりも、中堅企業(年間売上高5000万〜10億ドル)の経営者(35%)で顕著に表れた。

 経営者はマイナス面についても報告している。3分の2近く(64%)が「テレワークが従業員のメンタルヘルスに悪い影響を与えている」と回答し、2022年の55%から上昇した。また、4分の3近く(73%)が、「従業員が孤立していると感じる」と回答しており、1年前の68%から増加した。

 RMS USによると、企業は人材を引きつけするためにテレワークを採用している。Harris Pollが最近行った調査では、パンデミック時にテレワークを導入した企業の採用マネジャーの82%が「今後も導入する予定」と回答し、その主な理由として「人材のリテンションと確保」を挙げた(注2)。

 テレワークは仕事の機会を広げ、ワークライフバランスを維持する方法と考える従業員もいる。

 ケスラー財団とニューハンプシャー大学の障がい者研究所が2023年1月23日に発表したレポートによると、「仕事の機会を広げる」という点について、テレワークによって障がい者の雇用数がパンデミック前のベンチマークを上回ったことが明らかになった(注3)。これは、パンデミックの最盛期に見られた労働時間の柔軟性の高さや、採用マネジャーが労働力不足によりさまざまな層の労働者を考慮するようになったことが一因だと考えられる。

 「従業員ケアの担当者にとって、テレワークは男女間の公平な競争の場である」と、デジタルケアマーケットプレースのコンシューマープレジデントは述べている(注4)。また、ベネフィットプラットフォームのCEO兼共同設立者は「男性は家庭でより多くの貢献をしており、女性は子育てのために仕事を辞める必要はなくなった」と語る。

 RSM USのトゥアン・グエン氏(エコノミスト)は「ビジネス面では、テレワークは企業のコストを削減し、より広い地域から人を雇用できるため有益だ」と報告書で指摘する。

 しかし、従業員のエンゲージメントやウェルビーングに関する懸念は、ポジティブな面を打ち消している。2022年のConference Boardの調査では、従業員は「自分の所属する企業への帰属意識が薄れた」と回答している(注5)。完全テレワーカーの30%はエンゲージメントが低下したと回答し、ハイブリッドワーカーは31%、完全オフィスワーカーは30%で同じような結果が出た。また、3分の1以上が「メンタルヘルスのレベルが下がった」と回答した。

 中堅企業が競争力を維持するためにしなければならない最大の調整の一つに「職場文化」がある。従業員が世界中の地域に散らばっている状況で職場文化をどう維持すればよいのか。RSM USのチーフエコノミスト、ジョー・ブルースエラス氏は「重要なのはオープンマインド(柔軟な考え方)だ」と述べた。

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