退職者の間で復職への関心が高まっている。2022年に発表されたResume Builderの世論調査では、退職者の5人に1人が仕事に戻る可能性があると回答し、そのうち19%は以前の職場に戻る予定であることが明らかになった(注1)。
さらに、非営利団体Eastersealsと、Voya FinancialのプログラムであるVoya Caresが2023年2月9日に発表した報告書によると、50歳以上の労働者のうち、定年後も働く予定の人が増えている。
ベテラン従業員はなぜ、定年を迎えても働くのか。調査結果から「お金」以外の理由が見えてきた。
定年後に働くモチベーションとは
EastersealsとVoya Financialは、1000人以上の「雇用延長者」(定年後も働く労働者)を対象に調査を実施した。その結果、43%が「当面の出費や退職金を補うため」と回答した一方で、60%が「健康でまだ働けるから」、58%が「頭を使っていたいから」、56%が「仕事にやりがいを感じているから」と回答した。
それでも、92%の人が「老後資金が必要または増やしたい」と答え、「老後を快適に過ごすのに十分な資金があると確信している」と強く同意した人は22%にとどまった。また、60%の人が「退職後の貯蓄は50万ドル以下」だと回答している。
両団体は回答者をいくつかのグループに分けられると指摘する。働く必要性や経済的なニーズが主な動機となっているグループもあれば、「働くのが楽しい」「以前のキャリアから脱却したい」と答えた人もいる。
Eastersealsのプレジデント兼CEO(最高経営責任者)であるケンドラ・ダベンポート氏は次のように述べる(注2)。
「多くの人はある年齢に達したら退職を考えると思い込んでいるが、退職を先送りにし続けたり、全く退職しなかったりする傾向が強まっている」(ダベンポート氏)
ZipRecruiterが2022年に実施した調査によると、高齢者の職場復帰にはハードルも多いようだ。従業員の年齢層が若い業界では、雇用主が高齢者を採用候補として見落とす傾向にあるようだ(注3)。また、オンラインによる求職活動や年齢差別も障壁になる可能性がある。
雇用主が退職の準備を支援することも、多くの労働者にとって魅力的だろう(注4)。Vestwellの調査によれば、従業員の10人に9人近くが、雇用主は退職後の教育に関与すべきだと回答している(注5)。
出典:Many working past retirement age cite motivations other than money(HR Dive)
注1:Study: 20% of retirees plan to head back to work this year
注2:New research uncovers conflicting reasons more employees are extending their careers
注3:Older workers face return-to-work hurdles ― but employers can help
注4:Employees may be retiring later, but transition to ‘pre-retirement’ is a big factor
注5:Employees want more education with their retirement benefits, study shows
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