日本でもじわりと進む「ChatGPT」活用 国内IT企業の動き
Microsoftは「Microsoft 365」のAI機能「Microsoft 365 Copilot」を発表し、Googleも独自の対話型AI「Google Bard」のプレビュー版を公開した。2023年は“対話型AI活用元年”となるのだろうか。
米国の非営利団体Open AIによって開発された対話型AI(人工知能)「ChatGPT」は、2022年11月の公開からわずか1〜2週間でまたたく間に世間に広まり、大きな反響を呼んだ。言語モデルには「GPT-3.5」が搭載され、2023年3月14日には次期バージョン「GTP-4」が発表された。
Microsoftは「Microsoft Word」や「Microsoft Excel」などのOfficeアプリのAI機能「Microsoft 365 Copilot」を発表し、Googleも「Google Bard」と呼ばれる新たな検索サービスを発表するなど、大手テック企業をはじめ多くの企業が対話型AIへの取り組みを進めているところだ。この流れを受けて、国内ITベンダーもChatGPTを活用したサービス展開を発表し始めた。本稿では、国内ベンダーについてChatGPTへの取り組みの一部を紹介する。
ChatGPTで「データ解析」「ビジネスの創出」を支援
クラウド技術を活用したアプリケーション開発をサポートするクラスメソッドは、ChatGPTを活用したコンサルティングサービスの提供を開始した。メール文章などを自動生成することで工数と時間を削減したり、顧客の購買履歴からパーソナライズされた商品の提案を可能にしたりと、ChatGPTを活用することで業務プロセスの効率化や、時間的、人的リソースの削減が期待できると同社は考える。以下が、ChatGPTとの連携を想定する主なサービスだ。
- データ統合基盤構築、ビッグデータ活用支援
- モバイルアプリ開発、LINE技術支援
- IoT基盤の構築
クラスメソッドは、ChatGPTを活用することで期待できる効果の具体例として、業務プロセスの効率化やコスト削減、ユーザーエクスペリエンスの向上、新たなビジネス機会の創出などを挙げる。また、売り上げデータや顧客データの分析によって効果的なマーケティング戦略の策定が可能になるなど、データ解析の高度化にも寄与すると考える。
「ChatGPT、使いたいけど分からない」企業を支援
AIチャットbotサービス「OfficeBot」を開発、提供するネオスは、顧客のニーズに応じてChatGPTをより効果的に活用できるよう、「ChatGPT 活用ソリューション」の提供を2023年3月22日に開始した。「ChatGPTをどう活用すればいいか分からない」「実装、開発のノウハウがない」などの悩みを抱える企業に向けて、技術、開発支援から環境構築まで幅広いニーズに応える。
また、ChatGPTとの連携ツール「ドキュメント学習 AI GPT モデル」も提供する。OfficeBotの主機能の一つである「ドキュメント学習AI」とChatGPTを連携させることで、組織に蓄積された大量のドキュメントから必要な情報をピックアップし、要約した文章を提示することが可能になる。
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