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自動化の波に翻弄される従業員 「人に優しい」AI・自動化とは

自動化したワークフローが従業員をかえって困惑させたり、仕事を奪ったりするケースもある。コンサルティング企業が提言する「人に優しい」自動化とは。

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HR Dive

 コンサルティング企業のBain & Companyは2023年3月13日、企業での自動化ツールやAI(人工知能)の利用は、従業員のニーズに沿って決めるべきだと提言した(注1)。

 企業が技術革新によってコスト削減を図るとき、従業員に新しいワークフローに慣れさせるのは難しい場合がある。Bain & Companyは、企業と従業員の双方に価値をもたらす技術の導入を推奨し、その技術を使うための適切なツールやプログラムを従業員に提供すべきだと指摘した。

人の仕事を奪う自動化とAIは「悪」なのか?

 「人に優しい」自動化を推奨するBain & Companyの指摘の背景には、AIと人間の対立構造があるようだ。

 自動化やAIが従業員に価値を与えられるよう、雇用主は従業員に仕事の進め方の再構築を促すべきだとBain & Companyは述べる。現場の従業員は「どの作業を自動化できるか」「どのプロセスをAIで改善できるか」を自分事として考えることができるため、効果的に自動化すれば、より創造性が必要な価値の高い仕事に集中できる可能性がある。

 自動化やAIに関する話題は「雇用が奪われるか」が焦点になることが多い。予測はさまざまだが、2017年の時点では、Gartnerは「AIは最終的に雇用を奪うよりも生み出す方が多いだろう」と報告している(注2)。

 しかし現実は甘くない。自動化は低賃金の仕事の数を減らし、高賃金の技術職を増やす傾向にある。2022年の論文では、過去40年間における米国の賃金格差の拡大のほとんどは、急速に自動化された産業で賃金が低下したことが原因だと結論付けられた(注3)。製造業と事務職が最も影響を受けている。

 最終的な結果はまだ分からないが、Bain & Companyの提言は、労働者が最も価値の高い仕事をするための時間を確保し、ワークフローの移行によるトラブルを緩和するために技術を利用することに重点を置いている。これは従業員の協力と納得の下に成り立つ。同社のパートナーであるラスムス・ウェゲナー氏は次のように述べる。

 「企業は自動化の価値を組織に認識させるために、影響力の大きい事例を優先すべきだ。(自動化された業務への)シフトが成功すれば、従業員は大きな力を得たと感じるだろう」(ウェゲナー氏)

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