検索
特集

オラクル人事が語る「人的資本データ」3つの活用法

タレントマネジメントシステムを導入したが、せっかく集めたデータの活用が進んでいない企業も多いのではないだろうか。上手く活用すれば「人材の定着」「D&I促進」「エンゲージメント向上」などに役立つようだ。オラクルの人事が語った具体例を紹介する。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

 2023年3月期の決算から、一部の企業を対象に人的資本の情報開示が義務化されたことで注目を集める「人的資本経営」。義務化に際してデータを集めたものの、その先のデータ活用が進まない企業も多いだろう。

多様な「人的資本」指標 どのように分析を進める?

 開示が義務化されたのは、人材育成方針や社内環境整備などの「人的資本」と、女性管理職比率や男性の育児休業取得率、男女間賃金差異などの「多様性」に関する指標だ。

 義務化によって開示が進む一方、日本オラクルの金子泰之氏(人事本部長)は「本質的には、開示のみを目的とするのではなく、人的資本経営を通じて企業価値を向上することが重要だ」と指摘する。では、企業価値向上のためには、義務化された指標の開示を超えて、どのように人的資本のデータを活用すればいいのだろうか。

 金子氏は人事戦略の第1フェーズを「効率性の追求」、第2フェーズを「競争力の強化」と位置付ける。Oracleにおける第1フェーズは、Oracleグループ全体のグローバルプラットフォームを構築し、経営判断に必要な情報の統合とダッシュボード化したことである程度達成されたようだ。このフェーズを達成するには「Oracle Fusion Cloud HCM」のようなHCMやタレントマネジメントシステムを整備し、人事データの基盤を整える必要がある。

 では、第2フェーズ「競争力の強化」はどのように取り組めばいいのだろうか。金子氏は「経営戦略と人材戦略の同期」と「生産性に寄与する人的投資」の2点が重要だと強調する。

経営戦略と人材戦略の同期

 企業の競争力を強化するためには、当然ながら「良い施策」を打っていく必要がある。そして、そのためには施策立案の根拠となるデータが必要だ。ただデータを集めただけでは価値は生まれない。金子氏は3段階に分けてデータの集計、分析を行うことを推奨する。

 まず、積み上がっているデータを集計し「何が起きているのか」を把握することが重要だ。日常業務のレポートなどがこれに当たる。次に、特定の指標をリアルタイムでモニタリングすることで「なぜそうなったのか」を考えるきっかけを得られるようにする。KPIをモニタリングし、ある数値を下回ったら自動通知する機能などが例に挙げられる。最後に、機械学習や予測により「次に何をすべきか」の根拠となるデータを得る。予測に基づいて要員計画を修正するなどの活用法が考えられる。


図1 3段階に分けて行うデータ分析(出典:金子氏の講演資料)

 上記のような分析を経営戦略に沿って行うことで、人事戦略と経営戦略が同期し、より効果的な人事施策を打てるようになるだろう。

生産性に寄与する人的投資

 では、人事施策の具体案を検討するためには、どのようなデータをどのように分析すればいいのだろうか。金子氏は3つのユースケースを示した。

リテンションすべき社員の選定

 1つ目は、従業員の離職を防ぐための分析だ。

 従業員をリテンション(定着)させる施策の検討には、「離職が発生する組織や職種、マネジャーの傾向」「在籍年数や異動履歴、報酬、パフォーマンスなどと離職有無に相関があるか」などの分析が効果的だ。これにより、リテンションさせたい特定の層に対して、報酬増額などの施策を打つことができる。


図2 リテンションすべき従業員の選定(出典:金子氏の講演資料)

D&Iの評価と施策検討

 2つ目は、D&I(多様性と包括性)の達成度評価と改善のための分析だ。

 女性活躍を目指す企業を例にとると、現時点の従業員女性比率や管理職男女比率だけでなく、長期的に女性のキャリアアップにつながる環境を整備するための分析が重要になる。

 「現状の女性比率や女性採用比率はどうか」「どの部署の女性管理職比率が低いか」といったシンプルな集計に加えて、「女性比率や女性採用比率は悪くないが、なぜ女性の離職率が高いのか」といった要因の分析なども必要だ。「勤続年数が短い女性の離職率が高い」ということが分かれば、若手の女性をターゲットに施策を打つことができる。さらに、女性の離職理由や男女の賃金格差などを見ることで、どのような施策を取るべきかを決めていく。


図3 D&Iの評価と改善(出典:金子氏の講演資料)

エンゲージメント向上施策や人材育成施策の検討

 3つ目は、従業員エンゲージメント向上施策や人材育成施策検討のための分析だ。

 定期的に実施している従業員サーベイのデータと、タレントマネジメントシステムやHCMで収集したデータを突き合わせることで、エンゲージメントが高い、または低い従業員の特徴を明らかにしたり、業務に必要な能力が足りていない部署を特定したりできる。これにより、エンゲージメント施策や人材育成施策のターゲットを絞り込める。


図4 エンゲージメント向上、人材育成施策の検討(出典:金子氏の講演資料)

 「タレントマネジメントシステムを導入して、データもたまってきたが、ここからどうすれば……」そう感じている担当者は、今回紹介したユースケースを基に、データドリブンな人事施策の検討に着手してほしい。

本稿は、Oracleが2023年4月14日に開催したイベント「Oracle CloudWorld Tour Tokyo」内のセッション「人的資本経営が導く企業価値の向上 〜経営戦略との連動や、生産性を向上させる本質的施策とは?〜」の内容を編集部で再構成した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る