検索
連載

ベテラン社員に「AIで効率化」は必要ない? そのワケとは

AIアシスタントは経験の浅い従業員にとって大きな助けとなるが、ベテランにとってはそうもいかないようだ。なぜだろうか。

PC用表示
Share
Tweet
LINE
Hatena
HR Dive

 スタンフォード大学のデジタル経済研究所とマサチューセッツ工科大学の研究グループによると、AI(人工知能)アシスタントがカスタマーサポートのチャットを監視しながら、担当者にリアルタイムで回答の提案を行ったところ、AIアシスタントを利用した担当者は生産性が平均14%向上したという(注1)。

明らかになる生成型AIの業務利用状況

 同研究では、AIアシスタントによって担当者の1時間当たりの問い合わせ処理件数が増え、問い合わせの解決件数もわずかに増加した。しかし研究グループによると、AIアシスタントは熟練度や経験の浅い担当者のパフォーマンスは向上させたが、経験豊富で高いスキルを持つ担当者の生産性にはわずかな影響しか与えなかったという。研究グループはその理由を以下のように推測する。

 「高いスキルを持つ従業員がAIから得るものが少ないのは、AIのアドバイスが彼らが既に身に付けている暗黙知だからだろう 。経験の浅い従業員は(ベテラン従業員のアドバイスと等しい価値を持つ)AIの提案に従うことでパフォーマンスを改善できる」(研究グループ)

 同研究は、OpenAIが開発した大規模言語モデルで構築されたAIアシスタントを用いている。この調査はフォーチュン500に選ばれた企業に勤務する5000人以上の担当者が対象で、研究成果は米経済研究所(NBER)のワーキングペーパーに掲載された。

 主要なテクノロジー企業が製品に生成AIを組み込む中(注2)、企業は従業員がAIを使用している範囲を把握すべきかもしれない。キャリア関連SNSのFishbowlが実施した調査によると、仕事でAIツールを使用している従業員のうち68%はそのことを上司に知らせていないと回答した(注3)。また、新しいAI技術をいつどのように導入するかを決める際には、従業員のニーズが起点となるべきだと(注4)、コンサルティング企業のBain & Companyは2023年3月の報告書で述べた。

© Industry Dive. All rights reserved.

ページトップに戻る