米人材マネジメント協会(SHRM)の調査によると、仕事がメンタルヘルスに与える影響には世代によって大きなギャップがあるという(注1)。
Z世代は他の世代に比べて……?
同協会が2023年3月に実施した1000人の従業員を対象とする調査では、3人に1人の従業員が「過去6カ月間に自分の仕事がメンタルヘルスにネガティブな影響を及ぼした」と回答した。また、回答者の30%が「仕事に圧倒された」と答え、29%が「週に1回以上不安を感じた」と答えている。
この結果を世代別に見ると、どのような結果になるのだろうか。
「過去6カ月間に週1回以上、仕事で憂鬱な気分になった」と回答したのはZ世代の27%であるのに対し、ミレニアル世代は18%、X世代は14%、ベビーブーマーやその上の世代は7%だった。「仕事に圧倒される」と感じている割合は、Z世代とミレニアル世代はそれぞれ42%と36%だったが、ベビーブーマーとその上の世代は20%だった。Z世代とミレニアル世代の従業員は孤独感のレベルも高いと報告されている。
SHRMの会長であるウェンディ・サフストロム氏は次のように述べる。
「職場において従業員のメンタルヘルスに取り組む雇用者の役割は明らかに重要性を増している。特に多世代が働く職場では、従業員のニーズを反映した福利厚生やサポートを見つけて、伝え、利用できるようにすることが重要だ」
多くの企業がメンタルヘルスに関心を寄せているが、まだ課題は多い。ヘルスケア関連サービスを提供するOneMedicalのレポートによると、メンタルヘルスのケアのために福利厚生を利用した従業員は5人に1人程度で、これらのケアを利用しなかった主な理由はコストや恥ずかしさ、時間のなさなどだった(注2)。しかし、従業員はそのような福利厚生を嫌っているわけではない。ジムの会員権や月次のウェルネス手当、ヨガの会員権のような健康促進を支援するものは、利用しやすい福利厚生として挙げられる(注3)。
Z世代の若い人たちは、自分のメンタルヘルスの状態をよく理解し、積極的に対応する兆しを見せる。2023年の大学卒業者を対象にした調査では、ほぼ全ての回答者が「企業はメンタルヘルス関連の福利厚生を提供すべきだ」と答え、3分の1以上が「求人検索でそうした福利厚生を提供する企業を優先している」と回答した(注4)。
出典:SHRM: 1 in 3 employees says their job has a negative impact on their mental health(HR Dive)
注1:SHRM Research: Work Is Negatively Impacting Employees’ Mental Health(SHRM)
注2:Mental health benefits untapped by many workers, study finds(HR Dive)
注3:Employees reiterate a desire for effective well-being benefits(HR Dive)
注4:Class of 2023 says they’re eyeing mental health benefits during the job search(HR Dive)
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