タダだから心配……「Windows Defender」を真面目にテストして分かった弱点:714th Lap
Windows OSの標準セキュリティ機能と言えば「Windows Defender」だ。だが、インターネットを検索すると、一部で不満の声も聞かれる。ある調査機関がテストを実施したところ、Windows Defenderの弱点を発見した。
Windows PCを使っている場合、サードパーティーのセキュリティ対策ソフトを入れなくても、OSに標準搭載の「Windows Defender」を利用するという手がある。機能が豊富というわけではないが、一般的なウイルスや外部攻撃を防いでくれる。だが、一方で不満の声も聞かれる。
調査機関で1万2000回もの攻撃を仕掛けてテストをしたところ、Windows Defenderにはある部分で“弱点”が存在することが分かった。
Windows Defenderの弱点を明らかにしたのは、セキュリティ対策ソフトの評価、ランク付けをする独立組織AV-TESTだ。Windows Defenderを狙って調査をしたのではなく、さまざまなセキュリティ対策ソフトの調査をしている中で弱点が炙り出されたようだ。
2023年5月4日にAV-TESTが自社のブログに掲載した記事によると、AV-TESTは「『Windows 10』の保護に有効なセキュリティ対策ソフトはどれか」という世間の問いに答えるために、18本のセキュリティ対策ソフトを調査したという。
対象となったのは、Microsoft「Windows Defender」を含む、以下の製品だ。
- 「V3 Internet Security」(AhnLab)
- 「Free Antivirus」(Avast)
- 「Internet Security」(AVG)
- 「Security for Windows」(Avira)
- 「Internet Security」(Bitdefender)
- 「Smart Security Premium」(ESET)
- 「SAFE」(F-Secure)
- 「Internet Security」(G DATA)
- 「Total Security」(K7 Computing)
- 「Internet Security」(Kaspersky)
- 「Premium」(Malwarebytes)
- 「Total Protection」(McAfee)
- 「eScan Internet Security Suite」(Microworld)
- 「Norton 360」(Norton)
- 「Application Allowlisting」(PC Matic)
- 「Total AV」(Protected.net)
- 「Internet Security」(Trend Micro)
さまざまなウイルスやマルウェアを使って1万2000回もの攻撃を仕掛けるなどしてテストを行なった。検査項目は「保護」「パフォーマンス」「ユーザビリティ」の3つで、それぞれ6点満点(0.5点刻み)で採点し、合計点で比較するというものだ。
AvastとAvira、Bitdefender、G DATA、Kaspersky、Trend Microの製品が18点満点でトップタイという結果になった。そして、AhnLabとAVG、F-Secure、K7 Computing、Malwarebytes、McAfee、Nortonが17.5点を獲得して次点となった。これらは、それぞれでしっかり得点していて、保護についてはほぼ全てが6.0点を獲得した。最下位となったPC Maticだけがユーザビリティで3.0点を付けられたが(保護とパフォーマンスは満点)、どのセキュリティ対策ソフトもしっかりとした保護能力を持つことが証明された。
そして肝心のWindows Defenderはどうだったかといえば、保護6.0点、パフォーマンス5.0点、ユーザビリティ6.0点で、合計17.0点だ。まずまずの結果と言える。次点入りを逃したものの、「これなら問題はないのでは」と思うほどだった。
だが、「パフォーマンス5.0点」というのが問題だ。セキュリティ対策ソフトの中で、パフォーマンス5.0点を付けたのはWindows Defenderだけだった。つまり、これらのセキュリティ対策ソフトの中で最も重いのがWindows Defenderということになる。
AV-TESTは、各セキュリティ対策ソフトがPCに常駐している時、Windowsのシステムリソースをどれだけ占めているかをチェックした。6点を獲得したトップ製品をはじめ、ほとんどの製品がPCに常駐していてもシステムリソースを消費しない中で、Microsoft Defenderは他製品よりも多くのリソースを消費したという。5.0点という最低点を付けられたのはそのためだ。
記事の中で、AV-TESTは「Microsoft Defenderのシステム負荷は他の製品に比べてかなり高い」と述べるにとどめ、結果の詳細は掲出していない。「かなり高い」というのがどれほどかは不明なものの、1点減点されたという事実は間違いない。
ただ、その他の項目は満点であることを考えれば、他のソフトウェアよりも重いからという理由だけでWindows Defenderの利用を避けるのも考えものだ。冒頭で触れたように、追加コスト不要でセキュリティ保護を果たしてくれるのだから、パフォーマンスの若干の低下には目をつぶってもいいのかもしれない。ユーザー自身で最適解を見つけてほしいものだ。
上司X: Microsoftのセキュリティ対策ソフトWindows Defenderが、セキュリティ対策ソフトの中で一番システムリソースを食っているという話だよ。
ブラックピット: へー、重いんですねアレ。Windowsを開発するMicrosoftがなぜ標準搭載のソフトを重くしちゃいますかねえ。
上司X: どれほどシステムリソースを食っているのかは明確になっていないんだけどね。マイナス1点されたのはWindows Defenderだけだからなあ。悪目立ちしちゃうよね。
ブラックピット: 確かにそうですねえ。
上司X: しかし、イマドキのセキュリティ対策ソフトはみんな優秀なんだな。昔なんて常駐させるだけでシステムが重くなるのは当たり前だったけどな。
ブラックピット: 昔っていつの話ですか? 「Windows 2000」ぐらいでしょうきっと。何年も前からセキュリティ対策ソフトってほとんどシステムに影響しない設計になっていますよ?
上司X: ああ、確かにWindows 2000のセキュリティ対策ソフトは重かったさ……って、確かにいつの間にかセキュリティ対策ソフトの重さを意識しなくなったな。
ブラックピット: そもそも、僕こそWindows Defenderで十分と思ってる派ですからね。普段使いでも、特段重いとも感じていませんし、他に乗り換える必要はないかな、と。
上司X: そりゃ何よりだ。ま、システムリソースを食うっていっても、最近のWindows PCならそこまで大変なことにはならないだろうしな。キミみたいなDefenderファンは今回の話題を気にすることなく使い続けたらいいと思うよ。
ブラックピット(本名非公開)
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
上司X(本名なぜか非公開)
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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