米国の確定拠出型年金制度である「401k」に関する世代別の行動についてVanguardが行った調査によると(注1)、退職に向けて貯蓄をする人が2006年から2021年にかけて増加した。最も増えたのはZ世代で、2006年から2021年にかけて参加率が30%から62%に増加した。2番目に大きな増加はミレニアル世代で、2006年から2021年にかけて参加率が57%から83%に増加している。
「退職金制度」が人材不足の解決策になるかも?
将来に向けて準備する人は増えているが、どうやら米国人の懐事情は明るくないようだ。一体何が起きているのだろうか。
年金および保険商品を提供するAllianz Lifeは2022年10月、経済的な不況によって、米国では54%の人が退職金の積み立てを停止または減らしていると報告している(注2)。このような傾向があるため、自社の退職金制度がどのように資金を調達し運用されているか、企業はより注意を払うべきだと人事の専門家は指摘する(注3)。データ分析からコンプライアンス対策まで、退職金管理業務をアウトソーシングするのも選択肢の一つだろう。
ある福利厚生の専門家によれば(注4)、医療費や車・家の修理費などの増加によって、多くの従業員が本来ならば老後の生活資金に充てられたかもしれない貯蓄に手を付けている。
このような経済的な逼迫(ひっぱく)があるからこそ、企業は退職金制度の提供を従業員の維持や雇用促進のためのツールとして活用できる。競合他社が不況のために401(k)に対する拠出を一時停止し(注5)、退職予定者が退職金として1年分の給与を手にする可能性がある場合(注6)、退職金のマッチング拠出のような特典を提供すれば、求職者へのアピールポイントの一つになるだろう。
出典:Retirement contribution is up, but employees still face challenges(HR Dive)
注1:Generational changes in 401(k) behaviors(Vanguard)
注2:Inflation Causing Majority of Americans to Stop or Reduce Retirement Savings(Allianz)
注3:Inflation prompts workers to cut back on retirement. What can employers do?(HR Dive)
注4:Beyond pay, financial stability increasingly used to draw talent(HR Dive)
注5:Gannett hiring freezes, furloughs draw employee backlash(HR Dive)
注6:How hiring back retirees can fill the talent gap(HR Dive)
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