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“ホワイト化”する世の中で取り残される“働き過ぎ”な業界とは?

ある調査によると、世の中は順調に"ホワイト"になっているようだが、一部の業界では労働時間が長いままの状態が続いているようだ。過度な労働がまん延しているのはどの業界か。

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HR Dive

 生産性向上を支援するActivTrak Productivity Labの2023年8月1日(現地時間)の報告によると(注1)、従業員の1日の労働時間は前年と比較して37分減少し、10時間となった。

 この変化は主に終業時に起きており、従業員は過去5つの四半期よりも約30分早く業務を終了している。業務を早く終えられることで、過度な労働が減少し、従業員の幸福に前向きな変化を与える可能性がある。

 ActivTrak Productivity Labの生産性ラボマネジャーであるサラ・アルテムス氏は「業務時間の短縮によって生産性が低下したわけではなく、むしろ仕事量のバランスが改善された。出社の再開や夏季休暇、より良い時間管理などの要因が、この変化をもたらしている可能性がある」と述べた(注2)。

取り残されているのは“あの業界”

 同社が2022年1月から2023年6月までの間に20の業種で行われた3800万時間以上の業務を分析したところ、前四半期と比較して総労働時間は横ばいであり、前年比では6分減少して1日当たり7.6時間となった。過度の労働に従事する従業員の数も第2四半期および前年同期比で13%減少した。これは、マルチタスクに使う時間の減少と、より適切な仕事の配分による変化だと思われる。しかし、世の中が順調に"ホワイト"になっていく一方で、一部の業界では労働時間が長いままの状態が続いているようだ。

 調査によると、依然として3分の1近くの従業員が過度の労働に従事しており、彼らは1日に10時間以上働いている。その内7.2時間が生産的な時間であり、4.8時間が業務に集中している時間とされている。

 業種別にみると、金融サービス業に従事する従業員の労働時間は平均より約1時間長く、保険業界における労働時間は平均より約1時間短い。過度の労働に従事する従業員の割合は、医療従事者が43%と高い数値を記録している。

 この分析では、生産性は長期的に安定していたが、最近の他の報告では、従業員の生産性が5つの四半期において連続して低下していると指摘されている(注3)。経済的な懸念、過去数年間にわたるストレスと疲労などの複数の要因が絡んでいるようだ。

 ハイブリッドワークが生産性の低下をもたらしている可能性もある。従業員の約半数が、ITの問題によって生産的な時間を毎週失っていると回答しており(注4)、これは従業員エクスペリエンスやエンゲージメント、パフォーマンスに影響を与える恐れがある。

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